28日 準備だから、ただの。
「おおー」
すっげ、すっげ、お祭りの雰囲気やん。やっぱあれよな、祭りはやってる時より準備の方が気持ち盛り上がるよな! ……んなことない?
えっと、今、高校の体育館。なんかめっちゃ準備してはる。先生とか先生とか先せ……あ、この人生徒か。あれ? あっちの先生も生徒……? あかん、分からんかった。先生若いなぁ。
あ、でもこの人は絶対先生やな。めっちゃ顔おっさんやもん。
「イシイー、お前暇だったらちょっと手伝って」
……おっとぉ、まさかの生徒? さっきの先生と見間違えた生徒さんが、その顔おっさんのイシイさんを呼ばはった。
「あーはい、このシートっすよね。どこ引っ張ったらいいっすか」
あれ、敬語? 先輩?
「先生こっち引っ張るから、そっちよろしく」
「はい」
……自分先生かよ! あ、先生ちゃうな生徒やなーとか思ってたら先生か! 合ってたんか! で、こっちの先生というかおっさんにしか見えないのが生徒? どうなってんのこの学校。おかしいて。絶対逆やって、顔。
「はぁーい皆さんさっくさっく動きましょー! 当日にガッシャーンなんて照明落ちたらコトですからねー! その、緞帳を吊り下げるバー! それもぜったいぜぇったいしっかり固定するんですよぉー! ほらほら、シートはもっとピーンと張る! 足にひっかけて転んだら、危ないでしょぉ? はいはいもーっと素早く動きましょー! 長引くのは嫌でしょー?」
……何か、めっちゃハイテンションな子居る。あ、子ってほどでもないか。可愛いおばさん、くらいの人。コレは先生よな。先生やんな⁉
こんな変な先生居るかい。
しかも、こんだけ騒いで回りガン無視とか悲しすぎるやろ。
「元気やな自分」
「ほら、こんなところで油売ってないで自分の仕事に戻ーる!」
………………うちの仕事って何ですか。
くるっとうちの方を振り返ったおばさんと見つめ合うこと……えー、五、六、七、八、あ、単位は秒な。
「はぅぁああああっ⁉」
「おぉふ。何やな」
「ききき聞こえてた聞こえてたよねうぉぁぅおあいあ」
凄いな、同やって発音してんの。うおあいあいあい? 違うな。
おばさんはそんな不思議な言葉を発しながら、壁の向こうへと旅立っていきました。……何やったんや。
「せんせー、せんせーっていくつ?」
こっちは何してんのやろ。コードの上に段ボールかぶせて、それをテープで固定して……あれか、足に引っかけんようにするためか。
「いくつに見える?」
あ、トーカやん。一緒に居る先生はー、体育の先生か? よー焼けてる。こんがりきつね色……いや、きつね色は無いな。茶色で。
「んー、しわ多く見えるから、四十二歳?」
何なんその微妙な数字。『二』ってなんなん、『二』って。
「しばくよ」
「あれ、違う?」
「違う」
そんな老けてるように見えへんし。
「いやー、前は二十代かなーって話してたけど、ハヅキと話してる内にしわ多くね? ほんならもうちょい年いってんちゃう? って話になって、じゃあ父さんくらいかなって」
極端やなー。間は無いんか、間は。
「ほんまは何歳?」
「何歳でしょう」
しつこっ。
「三十八歳?」
あんま変わってへんやんそれ。
「三十路越えてないから!」
「うそやん! 老けてるなぁ」
「外に居る時間が長いから老け顔になるの、いい?」
「じゃあ二十八」
「正解」
「うそやん」
「なんでだよ」
適当に言ったんやな。そろそろめんどなってきたんやな……。




