27日 扱い注意。境目注意。
……山から銃声。誰かハンティングしてはるわー、エキサイティングしてはるわー。……あれ、エキサイティングってなんやった? 何かエキサイトって言うやつもあったよな、似てるよなー。……あかんわ、全然英語わかれへん。
どうしよ。せっかく近くまで来たしなぁ。入ってみよかな。
「ああ、レイちゃ」
「おー、レイじゃん。お前もアレ? サワガニ探し?」
「なんでやねん」
自分らサワガニ探ししてたんか? 普段バスケに浸かってる野郎どもが二人そろって川ん中でサワガニ探しかおい。……見つけた後どうすんねん。
「あ、違うんだー」
「うちはほら、散歩してたら銃声聞こえて来たから。ちょっと見てみたいなー思て」
「ああ……」
「あー、俺も行こかな。一回見てみたいよな、銃!」
「なっ!」
「……君たちねぇ……」
あれっ、鹿さん乗り気ちゃうやん。あれか、戦争系とか嫌いな人か。平和主義者か。えぇ人やん。
「んじゃ、うちらだけで行こか!」
「おう!」
「えぇええ、僕も行くよ。……君たち馬鹿だから不安」
さらっと罵られたぞ今。心配してくれるのはうれしいけど罵ってるからな自分。わかってる? 気付いてる? 分かってて言った?
「おっ、また鳴った。もうちょい上だな」
「もう頂上でえぇんちゃう?」
「一回頂上まで行くか!」
いや、幽霊って楽よな。山登りダッシュでできるからな。獣道やからあっという間。来たったぜ頂上ー!
の、一歩手前くらい。
「どしたんダイ爺」
「……いや……ちょっと、ヤバい感じが」
「どうしたの?」
「黒服居るって。色々散乱してるって、ちょ、ちょっと待てよーおい」
ダイ爺が木の裏に隠れてもたから、横から頂上のちょっとした広場を覗いてみた。
「うぇ……」
何アレ、めっちゃあるやん。小さい銃とか、ライフル? とか、種類分からんから違いが色とか形くらいしかわかれへんけど、めっちゃある。少なくとも……十? 二十? くらい。
あと、撃ち落とされたっぽい鳥も落ちてる。これが一番グロイ、無理。うっげぇー。
で、そんな散乱した中に座ってるのがキーヴァっていうな。何なんあの子。怪我してたやん。治ったん? 嘘やろ? そんな、ギャグ補正やあるまいし。ほんで隣に黒服の男。いや、サングラスかけてないから言うほど怖ないけどな。細身やし。キーヴァに何か教えてるっぽい。
「ほれ、キヴ。何か動いたべ? 大物かもしれんけ、撃っちゃれ!」
何処の人やねん! とか、突っ込み入れてる間無いからな。銃口こっち向いてるからな! 木の陰隠れな、
「おいシューさん! シューさん‼ 隠れろよ‼」
鹿⁉ 何しとん!
「おいったら!」
ちょ、ダイ爺、飛び出したら危ないってぇ!
銃声、光、粒。はじけた。
「シューさん、大丈夫か?」
ダイ爺が押し倒したけど、ちょっと遅かった。また一発。
「待てキヴストップ! やばいやばいやばい、マジかぁおい、ちょ待たんね」
「どうした?」
「見えねぇかアレ、やべぇ、幽霊当たっちまったよ……。キヴ、町の境ってどの辺やった?」
「大体、この十メートルくらい先が境」
「あの木の裏は?」
「ギリギリ、こっち側」
「ぶっはぁー、良かった。救われた。あーぶーねかったぁ。あっちは撃つなっつったじゃろうが」
「だってシノブが」
「俺が言ったんはあっちじゃボケェ」
……どしよ。鹿が。消えちゃった。茶色い光の粒で、消えちゃった。
「ダイ爺、だいじょぶ?」
「……あぁ、あぁ」
「鹿が……」
「シューさんだ。シューイチさん」
……ふーん……そういう名前やったんや。
最後まで鹿の着ぐるみ着てたな、自分。
「……帰ろ?」
「……ああ」
町から、ほんの数歩出ただけでも安全ちゃうんかい。なぁ爺ちゃん。




