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26日 奇人変人

「Hi」

「…………………………ぎゃぁあああああ‼」

 鬼さん居た! 最近会わんわ良かったわぁとか思ってたのに、鉢合わせた! あいさつされた! 逃げろうち、とにかく逃げろ、どこに逃げるんかは知らんがとにかく逃げとけ殺される! あ、もう死んでたわぁとか幽霊ジョーク言うてる場合ちゃうねんって‼

「逃げる事ぁねぇだろ? ん?」

 何、瞬間移動? うち全力で逃げたぞ。50m走7秒台やぞ。あ、男子じゃ普通なんかひょっとして。でも火事場の馬鹿力や、逃げろうち。どこに⁉

「逃ぐ者追ふべし、そこなふべし」

 何、何て、何語⁉

「……だっけ?」

 いや聞かれても知らんから!

「逃げなきゃ追わねぇ」

「そらそうやわな!」

 だって逃げへんかったら追いかける事できひんもん! 追いかけっこやめたところで何が起こるか分かったもんやないのに、止まれるか!

「……ん、やっぱ、つまんね」

 お、良かった、追いかけるのやめてくれ……た……? と、思う間もなく世界が反転、待って待って、うち今どういう状況。

「ほ」

 待って待って、なぜかうち投げられたって。うち今どこ飛んでるの。この先には何があるの。っていうか一体全体あの鬼さんは何がしたかったの。

「……これを等速直線運動と言いまーす」

 アパートの姉ちゃん、何か解説してる間あったら止めてぇや。そのアパートもはるか向こうになってしもたけんど。よーいしょ、体制立て直して、ストップ。

「……ハァイ。何かあったの?」

「あ……いや、えーっと……なぁシル」

 夜、目ぇ光るんやな自分。そういや鬼さんも光ってた。あれ、目ぇ見る角度変えたら光らんくなった。なんで? どうなってんのその目。っていうか、猫もこんな感じよな。

「んー?」

「シルってさ、鬼さんの家族やったよな」

「鬼さんって、あたしも鬼さんなんだけど」

「いや別に、角生えてたら鬼さんってわけちゃうし。あれやん、めっちゃ怖いやん。金棒持ってはるやん」

 っていうか、金棒持ってたらそれは皆鬼や。うん。

「あー、はいはいジンね? うん、うちのおにーさまよ」

「ほんまかいな」

「うーん、知り合いの中では『似てる』が大多数。ちょっと会話しただけの人は『似てない』が大多数。さー、どっちが正しいのでしょう!」

 いや知らんけども。

「あの人、何がしたいん?」

「知らなーい。あたしはジンじゃないからねぇ」

「でも兄妹やん」

「ジンは変人、あたしも変人、というか一族代々変人、でも変人は変人でも方向性の違う変人だから考えてることは分かんなーいと、そういうわけ」

「いや、分からんわ」

「もー、あたしこれ以上懇切丁寧に教えられる自信無いよ?」

 まじでか。分からんまま終われってか。これからの生活不安で不安でしゃーない事なるやんけ。……いざとなったら神社か。

「いつの間にか甥っ子姪っ子居たし。あたしより先に何か色々浸かってたし。知らない内に煙草始めてたし。ふふーん今はある程度追い付いてやったぜってこれは関係なくて、そういやぁ一緒に飲みに行ったこと無いなぁ、今度誘お。いやこれは置いといて」

 シル、もう諦め。もう関係ない方向にばっか考え進んでるで自分。

「よしっ、ありがとレイ。おかげで次の研究対象がジンに決定したよ」

「知らんがな。何が起こってん」

「連想ゲームが起こってたの、あたしの中で」

 あの逸れまくり思考でよう連想ゲームできたな。

「こうなったら幽霊の研究はもうちょいさくっと終わらせてー、うん、ジンの研究はきっと楽しい。アトには言っちゃだめだな。とりあえずこっちの研究だけ早めてもーらお」

 めっちゃるんるんやな。うきうきやな。うふふうふふ状態やな。……あかんわ、やっぱ付いてけへん。

「ああ、アトー? あたし、シル。今やってる研究あるでしょ――?」

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