23日 屍を越えて行『死んでないから』
うわー……めっちゃ雨降りそう。雲すごいもん。っていうか、山の上の方たぶん降ってるもん。めっちゃ白い。山のてっぺん見えへん。
とか思ってるうちに何か空光りよったし。ピカッ、ゴロゴロ……あ、ドカーンまではいかんかったか。空がちょっと光って終わり。とはいっても、結構雷ちゃんと見えたんやけどな。しっかりと雲を這ってるところ見れたんやけどな。
「うわー、これヤバくない?」
「ヤバいですね」
「てか、後ろ誰も居ないんですけど」
公民館近くの大通りに、今まで特に見た覚えのない子らが三人。トーカと同じくらい。つまり高校生くらいの。うち二人はチャリを押してる。今は止まってるから、支えてるって言うんかな。
「もー、あいつら遅いー」
ちょっと長めの横断歩道を挟んだ向こう側を眺めつつ、空を眺めつつ。どっか行くなら早よせにゃ降るで。
「あっ、カエデさん!」
信号が青になってから、向こうからチャリ乗ってやって来た……えー、髪が長いから女の人か……うん、その人が「待てよー!」とか叫んだ。叫ばんでも聞こえるやろ、この距離なら。人一人分の距離やん。
「お前らー! 先行き過ぎ! ちょっと、後ろめちゃくちゃ怖がってるから!」
『ああー』
雷か。雷のせいか。何人いるんか知らんけど、雷怖がって進めないってことは女子ばっかか。それも女子力高そな女子やろね。
「はー。これからどうしようか。神社今から行くのはちょっと怖いしな」
「とりあえず、降る前に公民館でも入っときます? 屋根ありますし」
え、もう大分暗いで? 公民館って何時まで開いてるもんなん?
「あー、そうだな。じゃあちょっと伝えるから、先行っといて」
『はーい』
……あ、二人乗りしてる。三人いるのにチャリ二台しかなかったんはそれでか。あかんで、あかんねんでー二人乗りー。棒読みなのは気のせいや。
えー、とりあえず進む方ついて行ってみよか。二人乗りの方が先を進んで、一人しか乗ってない奴の方が後を追いかけ……なんで距離開いていくねん。普通逆やろ。だって二人乗りの方が重いもん。重いはずやもん……。あかん、自信無くなってきた。いや、さすがに二人の方が重いよな? 重いよな? ペダル。
悶々と考えながら、一人で乗ってる方の籠に乗ってみたら、めっちゃ揺れてる。一定の間隔でガタンガタン。……自分、パンクしてるやん。納得。うん、納得。納得したから、前の二人のところ来た。
「ハクバ先輩ー」
「んー?」
「何か、さっきのカエデさん見て『ここは俺に任せて先に行け‼』って言うのが出てきてしまったんですよー」
「中二だね」
「中二ですねー。もうちょっとアレですね。三年前に卒業すべきところをずっと留年しっぱなしですね」
なんちゅー不毛な会話や。そんなコト喋りながら、公民館前の横断歩道通過。あ、信号チカチカなった……。
「あ」
「ん? あ」
もう一人があっち側取り残されちゃった。
「トモリー‼」
手ぇ降ってる。行けって感じの。
「また『ここは俺に任せて先に行け‼』だね」
で、ホンマに行くんやな自分ら。
「いえ、今のはアレです。敵兵に馬打ち取られてうわーってなってます。捕まった感じです」
「あー」
「で、一番最初に一気に減ったのは敵軍の爆撃によるものです」
……公民館行く間に、偉い壮大な物語出来上がったなぁおい。なんで戦場と化しとんねん。




