20日 ぬー?
「きゃぁああああ‼」
「るっせぇ」
「自分口悪なったなホンマ」
「放っとけ」
ほんで無愛想なったわ。
……こんにちはー。レイですー。町中で、ぼろ雑巾みたいなキーヴァを見つけましたー。ヤバいよこれ、出血量半端やないよ。痣とかもえぐいよ。何このほっぺ。いつもシミ一つない、まさに乙女の敵(うちは乙女やないからうちの敵ではないんやけど)な綺麗なほっぺが今めっちゃ仰いで。痣、ちょ、コレ。え?
「何があったん?」
「関係無い」
「いやいやいやいや、関係あるから。うちかてこの町住んでんねんで? こんなん見たまま何も分からん状態とか、不安すぎるて」
「別に、何も無い」
「嘘こけ。自分でやったってか、その怪我」
「そ。自分でやった」
「ドMか!」
「五月蠅い」
「なら素直に言いよし」
喋らんと耳元でわぁわぁ言うたるぞ! ……あの、うちさ、さっきの『ドMか!』って、結構ふつうの声で言ったと思うねんけど。いやま、ちょっと強く言ったけどさ、そんな、『うるさい』とか言われるほどじゃぁ……。きっとこの子は無駄に耳えぇんや。そういうことにしとこ。
「ってか、自分大丈夫か?」
「ん」
「……爺ちゃん呼んで来よか? たぶん、救急箱くらい持ってはるやろ」
「いい」
「いや、でもさぁ……」
「いい。無駄」
「無駄って……まさか自分、死ぬんか⁉」
「なんでそうなる」
うっわー、めっちゃ軽蔑するような眼差し頂いちゃったわー。めっちゃ目ぇ死んでるこの子。この年にして目ぇ死んでる。……この年って、どの年や。
「な、自分、年いくつ?」
「十」
と? あ、『とお』か。十か。
「嘘やん。もっと上やと思ってた。十二とかそんなんやと思ってた」
「ふーん」
流された。会話続かんやんか! なんで流すねん!
「十にしちゃ大きいな自分」
「ふーん」
「流すなし」
「ふーん」
「楽しんでるやろ自分」
「ふーん」
「……めんどなってきてるやろ」
「ふーん」
「大丈夫か? 意識ちゃんとしてる?」
「ふーん」
……あれ、ひょっとして意識どっか飛んでる? あかんであかん、ちょっとほっぺの痣はじいてみた。デコピンならぬ痣ピン。戻ってこーい。
「……何」
思った以上にリアクション薄いし。
「で、誰にやられてんさ」
「しつけぇ」
ごめんなさいごめんなさい。
「さーせんっした」
「うきゃー、地味にやられてるねキヴ。どっか折れてんじゃない?」
背後に立つな角の少女シル! あ、アルプスの少女っぽい。いや、パクッたんちゃうで。結構本気やで。
「折れてる」
「やっぱし」
うそん。え、ちょ、早よ固定せなあかんのちゃうん! お医者さん……って、どこに居んねんな!
「アト来てるからさ、変に骨くっついちゃう前に行きなよ?」
「あとって?」
「お医者さーん。マッドサイエンティスト、いや、闇医者? うーん、闇じゃないから違うか」
あ、人の名前やったんか。
「無理」
『は?』
「今、四肢全部折れてる。くっついてから行く」
「は。は? え……ししって、ライオンやんね?」
「……………………ねぇ、君ボケてんの? それとも本気で馬鹿なの?」
「本気で馬鹿ですいません……」
しし座ってアレ、ライオンやったもん絶対! それともあれか? ししじゅうに、か。4×4=12……ん? あ、十六か! あかん、頭おかしい。元からとか言うな。
「両腕両足」
「嘘やん⁉ え、全部折れたん⁉」
「ジンも酷いことするなー、もう。容赦ないんだから」
ジン? ……あれ、シルが言うジンって、鬼さん?
「うわ……えっぐ。怖いなぁ」
「あー、大丈夫大丈夫。この町に居る限り襲われないから。キヴはまあ、部外者というかむしろ身内というか、ま、うん。まあ、そういうこと」
「どういうことやねん」
「派手な親子喧嘩ってこと。あ、もう立てる?」
「アト、探してくる」
「え? あたしアトと連絡取れるよー。遅いか。ガンバレキヴ」
酷いな自分も。
……え、あれ? 派手な親子喧嘩って、キヴと鬼さん? あれ、鬼さん頑張っても二十代前半くらいにしか、う? あれぇ?




