10日 祝う火の……
……おー、かわえー。
やっぱえぇな、小さい子。何このなめらかそうな髪。めっちゃ弄りたいねんけど。ポニテがいい。ほんでできた毛束も、柔らかくて気持ちえぇんやろなー。
レイです。不審者じゃありません。いや、他人の家に勝手に上り込んでるけど……まぁほら、幽霊やし? あれやん、座敷童みたいなもんやん。未成年やで! 子供でえぇやろ! 本物の座敷童のみなさんごめんなさい。めっちゃ舐めてます。
えー、うちが突然訪問したこの家のちびっ子は今日誕生日なんやって。よかったな。プレゼント何もろたんやーって心の中で語りながら見てたら、プレゼントお洋服やって。おもちゃ違うんか……違うんか……!
「良かったなー、おしゃれさんだもんな」
お父さんがそのちびっ子の頭なでなでしながら言ってあげる。あぁもう、可愛ぇわぁこの子、お父さんの足にぎゅーってしてんねん! めっちゃ可愛い‼
……すいません荒ぶりました。
お母さんは台所でケーキのデコ。お、めっちゃ頑張って『おたんじょうびおめでとう』って書かはった。でも、最後に名前も入れたかったんやな。ちょっと変な隙間開いてるわ。かといって書くにはキツイ。どうするお母さん!
………おぉ、ロウソクでごまかした。ロウソクを円状に並べるんじゃなくて、そこに全部並べはった。五本。五歳かぁ。幼稚園やな。
ほかのデコレーションもサクサク進むで。イチゴとイチゴとイチゴとイチゴばっかやけど、まあこんなもんか。後はデコレーション用の、ほらアレ。食べれる銀色の小さい粒粒。アラザンって言うたっけか。それを散らして。
……イチゴとか余ってますよお母さん。
あっ、食べた‼ ずっこい! うち食べれへんけど!
さすがにアラザンは食えんから、袋をくるくる巻いてゴムで縛って冷蔵庫へ。何に使うんやろ。クッキーとか? でも、しょうみ言うてそんな美味ないよな。飾りやし。
「はーい、ケーキだよー」
もう晩御飯は終わっててんな。食器類が流しに積み重なってるし。
「ほら、この服はしまっとこう。汚しちゃやーだろ?」
「うんっ」
あらなんて素直なの。えぇ子や。
椅子に上って、ちゃんと座って。その間にローソクに火ぃ点けて部屋の電気消して。
「あー、妖精来た!」
「ホント! こんにちはーしなきゃ」
「こんにちはー」
妖精……?
「チーッパ、パッパッ」
「踊れや踊れ」
「燃やして光れ」
「チーッパパパッ」
……何これ、火の精? めっちゃ小さい、赤いのんが、ローソクの火の周りで回ってる。アレっぽい。バレエ。
『ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー』
歌に合わせてさらに踊りだした! 何これ、めっちゃおもろいっていうか可愛い。でも、変。
『ハッピーバースデートゥーユー。おめでとー!』
「ふー」
お、ローソク消えた。
一緒に、バイバイってして火の精も消えた。……何なん、あの一瞬だけの愉快な人ら。




