表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
68/163

9日 つかめんな

「やー」

「にゃー」

「……何なんこの挨拶」

「あたしも聞きたい」

 小学校の屋上、学ラン少女うちのコトなと服のフードで顔見えない少女(たぶん少女)が片手をあげて挨拶をする図。発してる言葉は『や』と『にゃ』やけど。何なんこの子、猫なん? 猫娘?

 この子はたぶん、前に川の上流に何が居るか見に行ったときに会った子。上流の方に魚とか体に鱗生えた子ども居るとか鱗ある魚居たとか言うてた子。

「なあ、その服でかない?」

「まあ、大きいの選んだからねー」

「なんで?」

「大は小を兼ねるってね」

 え、ダイ爺がショウ爺? ショウ爺って誰や。

 ……意味取り違えてるのはわかってる。わかってるから、そんなポカンとした口せんといて。

「……You are Japanese?」

 え、えっと、とりあ最後が『ジャパニーズ?』って聞いてたから……『日本人?』って事か。

「日本人やし!」

「O.K. O.K. わかってる。見たらわかる。the 日本人顔だから君。自信持って」

 何の自信⁉ 褒められてんのこれ、けなされてるように聞こえるんやけど。

「自分何人?」

「えぇー、日本人だよぉー?」

「声が嘘くさい」

「うん、嘘くさくしてみた」

 あははー、って笑うてはる。つかめんなー。……つかめんなー。とりあえず、嘘くさい声は可愛かった。

「んー、影がこの辺にあるから太陽あっち?」

 屋上に出るドアの部分。そこって屋上に何かポツンって出っ張ってるやんか。その子はその上に座ってたんやけど、影になってるところに飛び降りて、羽織ってた大きいパーカーのフードを取った。……結構高さあると思っててんけどなぁ……ってこっちやのーて。

「………………あー、妖怪系の人か。あ、そっか、幽霊とか見えてはったもんなぁ」

「ありゃっ。そんなあっさりした返事だとつまんないじゃん」

「何を求めてんねん」

「あははー」

 いや、まあ、とりあえず、めっちゃ美人ってことはよっく分かった。アパートの姉ちゃん以上。うちの中では最上級あげられる。ただ、アレやな。こめかみから生えてるコレやな。

 何この、細いくせして硬い硬いのん。牛の角みたいに緩いカーブ描きつつ、先に行くほど細くなる。先っちょ尖りすぎやろ。何か刺すんか。肉とか刺してバーベキューでもするんか。

 こめかみから、真っ白い角が生えてた。

「なあ、これでバーベキューしたことある?」

 これ、つまり角。

「ああ、あるよ」

 …………あるよ⁉ え、やったん、バーベキュー⁉ 角で⁉ 頭焦げるやん‼

「生え変わる時に落ちたやつで、ちょうど焼肉も食べたかったし」

 え、えぇえ⁉ 自分から言うたけど、ええええ。この人頭大丈夫か? いや、うちが言うのもアレやけど。

「嘘やん‼」

「いや、ほんとだよ? でもやっぱり、味が薄かったな」

「何の話⁉」

 アカンわこの人。ちょっと異世界情緒あふれすぎてる。フード取った途端えらいことなった。あれか! 臭いものには蓋! ……あ、『ダイはショウを兼ねる』やのーて『大は小を兼ねる』、か。今更やけど。

「んー……まあいいか、いいよね」

 その人は、脇に抱えてたボードを取り出してうちの方に向き直った。え、なに。何か雰囲気真面目になった。

「アンケートにお答えくださーいってことで、一ついい?」

 あ、全然真面目ちゃうかったわ。

「この町、どう思う?」

「は?」

「だからー、まー、うん、素直に、君的に、この町どーお? って聞いてんの」

「突然言われてもなぁ……まー、おもろいと思うけど?」

「へぇ? おもろい?」

「あ、えっと、面白い」

「いや意味が分からなかったわけじゃないんだけどー」

 なんやな。外人さんみたいな顔してるからわからんかったんやと思うやろ、そら。

「どんなところが?」

「え、だって、人外めっちゃ居るやん。妖怪とか? あ、あと、うちもやけど、幽霊とか」

 っていうか、自分もやん。角生やしてるやん。……角でバーベキュー……あかん、頭から離れへん。めっちゃシュールや。

「ふーん……。この町の外知ってる?」

「まあ、何回か行ったっていうか、外から来たけど。それがどしたん?」

「んー…………んん、あー、やっぱやめとこう。怒られそうだ」

 え、何それ。え、何なん⁉

「はーい?」

 ……角生えた女が携帯電話普通に使っとる。何なんこの近代的な人。そのボードも、使い方からしてタブレット的なサムシングやろ? っていうかタブレットやろ。

「耳が痛いれす。あたし耳良いんですって。気ぃ使ってあげて」

 自分で言った。いろいろと。携帯電話やのにテレビ電話みたいに使ってはるわ。イヤホンいらずかこの人。うちには何も聞こんぞ。

「――うん、それで? ――あたしは何も言ってないですから。ちょっとしたアンケ。直で聞くのが一番正確でしょー。――いや、無理でしょ。――……ん? 貶しましたけど。もうちょっと表情柔らかくなんない?」

 相手、立場的に上の人っぽいけどめっちゃ舐められてるなおい。

「あ、ごめんね、もういいよ。協力ありがとう。――こっちの話です。――…………え?」

 何、どした。急に表情凍ったで。

「……うっそー。酷いよ抜き打ちなんて。――いや、そうかもしれないですけど。――ん? ああ、キヴ達にも伝えときます。――はい……」

 シッシッてされた。どっか行けやって。……何やねん、何があんねん、こっちまで怖いやん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ