5日 チーン……
「あー、よしよし。怖かったんだな」
「うー」
「よしよしよし。もう大丈夫だ。ダイ爺が居るからな」
「うーうー」
「俺が、守ってやる」
「うぅうううううう‼」
「やー、見せつけてくれるねーひゅーひゅー」
「ははー」
「っぷはぁ! 何がひゅーひゅーや年黙れ鹿! ほんでいきなり何やねんダイ爺‼ キモいわ! びっくりするわ! うざいわ! 苦しいねん! 暑いねん! 何が守ってやるや、寒いねん!」
レイです。マジギレ中。ダイ爺がおかしい。半端なくおかしい。
「暑いんだか寒いんだかどっちだよ」
「やかましい!」
「なんでお前そんな遠いところで喋ってんの」
とりあえず、うちはダイ爺から五メートル以上の距離を取ることにした。
「あー、びっくりした」
「言っとくけど、びっくりしたのこっちだからな? いきなり頭突きかまして来るんだから、なぁ? びっくりするよなぁ?」
「そうだねー」
何意気投合してんねんこの二人。あれか、馬鹿と鹿で似てるからか。うん、それでやな。間違いない。
「ま、あれだ、いつも暴力振るってくるから仕返し。ずっと考えてたんだぜ? まだあるからどんどん振るってきな、暴力」
むかつくわぁ、あのドヤ顔むかつくわぁ。
「最後の部分だけ聞くとただのMだよ君」
「そーか? まあ名字がモリシタだからな。それでか」
「いやー、関係ないと思うけどなー」
「なあ、鹿の人、バスケ好きか?」
「好き好きー。中高とバスケ部だったよ」
「お、じゃあやろうぜ」
何⁉ 何意気投合してんのこの二人⁉ ほんで鹿の人、着ぐるみ脱げるんかい! なんで今までずっと着っぱなしやってん! 中下着だからかと思ったら全然やし‼ ただのタンクトップのおにーさんやんけ!
くっ……何二人でボール追いかけまわしてんねん。うちの事放ったらかしか! 何やねん!
「レ、にぃ?」
「あ?」
「ひゃぅ」
「ああああごめん、ごめんなジュジュ。どしたん、こんな所で」
「親分にお使い頼まれた、から……」
……………………親分? え、ジュジュの? そんなん居んの?
「あっ、ダイ兄ちゃん、親分から!」
「おーサンキュ、ちょっと待って、なっ、お、あっとと」
「もーらいっ」
「くそっ!」
何やねん。必死か。楽しそうやなぁ?
……地味にめっちゃレベル高そうなんがまたムカつくわ。うぉ、鹿ダンク入れた。マジかおまっ! って言うか身長結構出かかってんな、鹿の中身やのに。顔しょーみ普通やけどかっこよく見えるわ。やっぱ鹿やけど。鹿のイメージしかないけど。
「で、どしたジュジュ」
「親分から」
「ってか、知り合いやったん?」
「まぁなー。って、葉っぱじゃねぇか。どうしろってんだ」
「美味しいんだって言ってた」
葉っぱ、おいしい……アレか!
「山菜や!」
「なんでわざわざ山菜なんか送ってくるんだよ。俺食えねぇよ」
「ちがうよ。えっとー、化け狸さんの使うヤツ」
……金? 葉っぱが金になるって、アレ? いやまさか。
「頭に葉っぱおいて宙返りしてみなよー。化けれるかも」
「んなまさか……」
でも頭にはおいてみるんやな。お、やるんか、やるんか宙返り?
「ほっ!」
「それは後ろ回り言うねん! 宙返り違う!」
「宙返りなんかできるわけねぇだろ!」
「僕できるよ」
『マジか』
というわけで、今度は鹿の頭の上に葉っぱを乗せてみた。
くるんと一回転。
ガチの鹿になった。
『うぉわあああああああああああああ‼』
……なんで鹿やねん。とは言わんとこ。
「すっげぇ! ちょ、俺練習しよ。俺もやってみてぇ!」
「な、な、もっかいやって!」
「反対向きの宙返りしたら戻れるよ」
…………ん? どうしたん、鹿。早よ戻りや。アホ、それただ横にごろごろしてるだけやん。
「……なぁおい、まさか……」
「え、なに?」
「鹿になったせいで、宙返りできないんじゃね?」
…………………………おい、誰や今仏壇のチーンって音鳴らしたん。




