31日 少年VS少女 オニゴッコ
「あっ! 来たの、エイト!」
キタノエイト? 誰それ。ああ、あれ? マリーちゃん、アレはコウチエイトやで。
神社の境内、開けた場所で、マリーちゃんとエイトが対峙した。
「来たなーなの!」
「来たぞー」
めっちゃやる気出してるマリーちゃんに対して、エイトは中々気の抜けた返事。今日は何するつもりやろ。
「何すんの」
「雑草抜き勝負なの! いっぱい取った方が勝ちなの」
あの、マリーちゃん。それは特技を出して来たんですか、『手伝ってー』って意味で持ちだしてきたんですか。
「えー」
「マリーさんの勝ちでいいの?」
「うん、いいよ」
あっさり⁉ エイト負けた、あっさり負けた! そんな嫌か、現代っ子か、外で遊べ! 草むしりくらいしたれよ!
マリーちゃんも唖然。そらな。いきなり勝負放棄されたもんな。
「え、えっと……じゃあ、祝詞勝負なの!」
「海苔と勝負してどうすんの?」
「え?」
ノリトって何? マリーちゃんの言ったノリトとエイトの言う海苔が違うのは分かるんやけど、ノリトって何?
「えっと、えっとー。じゃあ、鬼ごっこなの!」
変わった勝負諦めた! めっちゃ普通なん持ちだしてきた!
「いいよ。三分で捕まえられたら鬼の勝ちな」
あ、それはええんやな、エイトも。……三分勝負って短ない?
「じゃあ鬼決めよ。じゃんけんポン」
「ふぇっ⁉」
おぉ……不意打ちとかエグイなエイト。突然やられたらマリーちゃんもグー出しちゃうよな。……うん? 違う。チョキや。この子出してるのチョキや。すげぇなマリーちゃん! エイトは当然パーやから、マリーちゃんの勝ちや。
「よし、じゃあそっちから鬼ね」
『えぇえええ⁉』
なんでやねん!
「普通、負けた方が鬼するの!」
「負けた方って、嫌な役みたいじゃないか。鬼が可哀想だろ」
何その屁理屈!
「うっ……分かったの……いーち、にーい」
マリーちゃん、納得したらアカンやろそこ。納得したら負けやで。
「きゅーう、じゅう、なの!」
マリーちゃんが探し始めるのと同時にうちも探してみたら、エイトは拝殿の側を通って本殿の裏にまで来てた。そこで体を本殿の建物に預けて、ゆったり休んでる。腕時計はちゃんと三分タイマーでセットされてるって所は凄いけどもやな。
「私、マリーさん! 今、拝殿の側に居るの!」
おいおいマリーちゃん……鬼が居場所ばらしたらエイト逃げるで。何やなこの隠れ鬼みたいなノリ。
「私、マリーさん! 今、本殿の前に居るの!」
マリーちゃん足速ない⁉ さっきから全然経ってないで⁉ そんな拝殿と本殿近かったっけ……
エイトは本殿の下を覗いて、マリーさんを探してる。……見当たらへんけどな。
「私、マリーさん。今、本殿の上に居るの」
上……? 見上げたけど、誰もおらん。死角にでもなってんのかいな。エイトは探すのをあきらめて、慎重に本殿から離れようとしてる。本殿がこの神社の一番奥やから、逃げるには引き換えさなあかんねん。
「私、マリーさん。今、貴女の目の前に居るの」
「ぎゃあ‼」
角を曲がると同時に目に飛び込むマリーちゃん。怖い怖い怖い怖い怖い! ちょっと俯いてるあたりが滅茶苦茶怖い‼
「捕まえたの! マリーさんの勝ちっ」
得意分野やったんやな……。マリーちゃんが飛びのいたエイトに抱き着いてにっこりほほ笑むと同時に、ピピピピッていうアラームの音。
エイト、完敗! マリーちゃんおめでとー!




