25日 やっぱりわからない
あれっ? トーカの部活って、どっかの教室でやるんと違うん。なんでトーカと同じ部活の……えー、名前なんやったっけ。笹の……あ、ハヅキや。その子が校舎外に居るのん。
その子が立ってるのは、校舎とは別の小さ目な建物。いや、小さ目言うても普通の家よりだいぶでかいけど。ガラスがはまった入口すり抜けて奥に入ってみたら、トレーニングに使う感じの器具があったからたぶんトレーニングルームとかそんなんやと思う。
……てか、広っ。
レイちゃん暴れて良いですか、いいですね。きゃっほい! 暴れる言うてもごろごろごろーって広い部屋を転がってるだけなんやけど。ところどころ青いビニールテープ張ってるけど何の印やろ。まあええわ、縦にも転がろ。でんぐり返りでごろごろごろー。目ぇ回るわ。側転、ロンダート、バク転! うぉ、バク転は無理やった。床すり抜けて一階に。あ、あそこ二階やったんか……。この一階は更衣室か。そういや前掃除してたなここ。
よいしょっと。ただいまトレーニングルーム。あ、皆中に入ってきてる。ハヅキと、えー……名前何てったっけ。会うたことあったっけ。そんな記憶あいまいな男子一人、あとトーカ。
「もずくーじゃないわ、アミ達は? ……あ、放送部もあるって言ってたな」
独り言か、これは独り言に入るのか、トーカ。
「ツバキは?」
「今日無理って言ってた」
「あーい」
トレーニングルームの隅っこには赤くてでっかいフェルト(っぽいけどやたら柔らかいから違うかも)がかかった塊があって、その布をハヅキが引っぺがした。
……えー、内容物。でかい段ボール箱×2、馬鹿でかい扇風機、黒い箱×6、その他小さいのがいろいろ。音楽かける奴、えーっと、何て言ったっけ。CDとかMD(っていうんやっけ?)とかを鳴らせるアレもあった。
何部やねん。
何部やねん。
大事なことなので二回言いました。
うちが『何部やねん』言うてるうちに、トーカ達は黒い箱を床の青い印に合わせて置いていく。……何、何の儀式始まんの。扇風機も回し始める。何『わーれーわーれーはー』とか言うてんねん。いや、わかるけど、扇風機でそれやりたくなるのはわかるけど。
今度は段ボール箱の一つから、結構本格的な折りたたみ座卓取り出してきた。もう一個は『業務用扇風機』とか書いてある。あれ業務用か。でかいわそら。えー、それで、座卓を黒い箱のそばに置いて、座って、鞄から筆箱とか取り出してるとき――
「あっ! 先輩!」
「こにゃちはー」
先輩三人衆現る。私服やから……えっと、何ていうんやっけ卒業生のコト。あ、OBか!
「お久しぶりですー」
「お久しぶりでーす」
「これ差し入れね」
『ありがとうございます!』
おー、ビニール通していろいろ見える。ジュースとかスナック菓子とかやな。
「あれ、少ないな」
「放送部組がそっちに行ってて……」
「あー。早くしないと温くなっちゃうぞコレ。先に飲んだら炭酸の奴抜けちゃうしな……」
「誰か、LIoNEであの子ら呼び出して!」
トーカ、お前どんな飲みたいねん。てか、ライオンで呼び出す……? 怖いな。
「私家に忘れて来たー」
ハヅキ見るときよくいじってる気ぃしてんけどなぁ。
「キリちゃん頼んだ」
「あ、はい、今電源入れます」
まさかの電源切ってた! キリって言うんかこの子。あ、いつだかのイエロー? なんでこんなん覚えてんねんうち。
「鞄の中でも自分の奴が一番早いわ」
トーカが鞄まで携帯を取りに行って、少しの間があってから、
「来れないかも……だと……」
『マジ⁉』
「差し入れあるぞー!」
「差し入れあるぞ……っと」
送信。
……返信早いな、レッドもといアカリ。
『すぐ行きます』
お前ら! 単純化! 子どもか! 差し入れ目当てか!
そんで、ホンマにすぐ来たしなアカリ。猛ダッシュで来よったしな。その後で速足のケイシ、最後に息切らしたアミ。運動能力ゼロか自分……。それでも、OB三人衆を見て突進。
「ゆっきーせんぱーい!」
「アミちゃーん!」
反応した、三人の内で一番ふんわりした感じのお姉さんはアミが来るのに合わせて両手を広げたのに、いざ抱き着く瞬間になったらすっとアミの進行方向からそれてあげるドSっぷりを見せてくださいました。アミの泣き崩れ方に『よよよ……』って声を付けたい。ハンカチ噛ませたい。
まあ、泣き崩れたアミの頭撫でてあげてるあたり優しいわ。たぶんアレやな、単純にアミが弄られ役なだけやな、これは。
なんやかんやでジュースついで、かんぱーい! いやだから何の部活やねん……




