24日 美味ではないかと。
めざし(格安パック)、お魚三匹(タイムセール)。チョコにそぼろ(本日の特売品)に訳あり商品が色々。
……お姉さん、何作るつもりですか。
えー、レイちゃんは、お買い物に行くというアパートの姉ちゃんに付いてスーパーを回ったり回ったりしています。試食の奴っていいよな。こっそりとって食べてもバレへんねんで? ……見つかったらヤバいけど。
いや、それはともかく。ちょろちょろ回って姉ちゃんのところに戻ってきたら、その籠の中身にびっくり。
「なぁ、魚チョコレートでも作るん?」
「あら、よくわかったわね」
にっこり。
いや、にっこりする所ちゃう! 『よくわかったわね』とか言われて喜んだうち、喜ぶところ違う!
「何⁉ どしたん⁉ なんかあったん⁉」
「お兄ちゃんがねー……」
ん? なんで携帯出すの? なんで電話かけようとしてんの?
「お兄ちゃんがね、昨日、お友達と遊びに行くから晩御飯いらないっていうのを言ってくれなかったの」
あ、うちの姿ほかの人には見えへんもんな。独りで喋ってたら、いくら可愛くても変な奴やもんな。
「だからちょーっとムカッときて、妹怒らせたら怖いよー? って言うのを、お友達共々わからせてあげようと思ってぇー」
……最後にハートが付きそうな甘い声がめちゃくちゃ怖い。言ってる内容とのギャップがめちゃくちゃ怖い。何か、ピンクのオーラと紫のオーラが両方見えて余計禍々しい。まがまがしいって何やった? 勾玉? 違うな。
会計を済ませて、姉ちゃんは車を家まで走らせる。安くてえぇもん揃ってんのに、遠いのが難点やな、このスーパー。うちの行動範囲ギリギリの位置やねん。
「ただいまー」
「……んぉ? あー、おかえりー」
……お兄ちゃんだるそやなぁ……。今日平日やのに。夏休みか? ……で、お友達らしき男の人と何してんのん。
はい、百ます計算ですね。間違いなく百ます計算ですね。お前ら大学生やろ⁉ しかも酒飲んでたってことは、二十歳越えとるやろ!? 大の大人の男が百ます計算とかシュールすぎるで! しかも少数の掛け算て何やねん。ちょっと難易度高いやん。
「はいっ、また俺の勝ちー」
お兄ちゃんが勝ったらしい。何の勝負やねん。速さやろうけども。正確さは? 正確さ。
「チッ」
悔しがっとる……この二人精神年齢いくつやな。
「よし、じゃあ次行くかー」
もーえぇわ。姉ちゃんとこ行こ。
えーっと、チョコレートを湯煎で溶かして。どろどろになったチョコレートに、めざしをちぎりながら、そぼろをぼろぼろと入れ、まし、た……って、もしもしお姉さん?
「これ何してんのん?」
「コーティングのためのチョコを作ってるのー」
そんな満面の笑顔で言わんとって。惚れるやん。……嘘やで。逆やで。めっちゃ引いてるで。
「なぁお姉さん。めざしってさ、グリルで焼くモンやった?」
「焦がしてるのー」
なんで⁉ どして⁉ わざわざ焦がす⁉ めざしとかもともと苦いやん! これ以上苦くせんでもえぇやん! あ、奥に一匹普通のおさかな見えるー。ってコレはどうでもよくて! ……あれ? 魚、三匹買ってへんかった?
「本日のメインディッシュ様ー」
ここに居たぁ! 生魚さん居た! まな板の上でぱかーと口開けて! あの、お姉さん? まさかとは思うけど……そのまさかですかそうですか。
生魚さんを、コーティングのために作った特製チョコのボウルへドカン。チョコレートまみれのおさかな。お魚の形が、めざしの欠片やそぼろでやらで凸凹。してる。正直に言えば気持ち悪い。正直に言わなくてもたぶんこれは気持ち悪い。
「……なぁシュウよ」
「勝負中は喋らん約束だろ?」
「いや、命の危険を感じるんだけど、なんでだと思う?」
お兄さん方、逃げて。




