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22日 掛け金¥100

「……あれ?」

 おかっしぃな。いつもやったらこの辺で引き戻されんのに。

 レイでーす。高校の近く、でもコウチ家からは高校より離れた場所に来ています。えーっとな。ぎりぎり引き戻されるか引き戻されんかで引き戻されるラインの所。それが何故か、引き戻されずにそのまま進めちゃった。誰か来てるんかなぁ。

「ああああ、飲みたいなぁコレ!」

「どれー?」

「コレ! カフェオレ! なんか大きいねんコレ」

「あー、俺こっちのがいいっすわ」

「あたしもココアかなー」

 カフェオレ派一人、ココア派二人。

 うちカフェモカ派で中間? いや、やっぱカフェオレ……でもでもココアも捨てがたい……いや、どうでもええねん。こんなことは。なんでトーカとケイシともずく(本名忘れた)が、帰る方向とは逆にある自販機の前でたむろしてんのん。あ、こういうと不良っぽい。そう思ったのうちだけ?

「欲しいなぁー」

 トーカはカフェオレが欲しいらしい。いや、ちょいちょいココアの方にも目ぇ写ってるぞ。迷ってるな。

「買えばいいじゃん」

「さっきグレープフルーツの炭酸買っちゃってさ、100円玉無いんよね」

 美味いんか? ソレ。

「100円玉はあるんだけどなぁ……100円玉貸してー」

「えー、あたし帰りにガチャポンしたいから百円玉残しときたい」

 ガチャポンて。自分、高校生やろ?

「俺も今日財布……あ、あった」

 あるんかい。

「100円玉貸してー。ていうか頂戴ー」

 トーカ、それカツアゲ。あれ、違うか? 「オラ持ってんだろ、飛べやコラ」って言ったらカツアゲか! ……いや、何か違うな。

「いいっすよ」

「え?」

 え?

「はい」

 えぇえええ。ちょ、ケイシ軽っ。それに反して太っ腹‼

「いいの? いいの?」

「いいっすよ」

「いやいやいやいやでも……」

 くれ言うたんやったら遠慮すんなや。くれる言うてんのに。

「じゃああたし貰うー!」

「えー」

「なんで⁉」

 あ、もずくちゃんにはあげへんのな。

「トーカにはいいのに⁉」

「どうぞ」

「ええええ、いいの? もらっちゃうよ? もらっちゃうよ?」

「どうぞ?」

 もずくちゃん、息荒げながら手ぇ差し出さない。犬か自分。

「あ、ありがとぉ……」

「あたしには? あたしには?」

「しょうがないですねぇ」

 あげるんか。優しいな自分。

「どうぞ」

 ホンマにあげた、銀色のお金。……うん? なんでもずくちゃん固まってんの。

「1円玉じゃん!」

 あ、遠目に見たらわからんかったわ。

「うーん、じゃあ、どうぞ」

 突き返された1円玉を回収して、今度あげたのは……何かのクーポン。

「どこの、これ⁉」

「え? ほら、そこに書いてあるじゃないっすか」

『電気・ヤマダ屋』

 ああ、大手電機屋さん。

「行った事無いし! 行く予定も無いし!」

「ガチャポンするためにあげるお金はありません」

 何かマトモなこと言った。

「何のガチャポンするんすか」

「えー……いいじゃん何でもー」

「あれでしょ。……ほら、よくアミが見て荒ぶってる。イケメンが歌って踊るヤツ」

 男性アイドル?

「ジャニーズ?」

「違うもん! 分かっててやってるでしょ!」

 え、分かってないねんけど。違うのん⁉

「アイドルってのは合ってるけど。ほら、それをアニメにした、腐向けの……シャカシャカ動かない!」

 奇異の視線集めてるで、もずくちゃん。もといアミノ酸、もといアミ。

「あー、じゃあやっぱダメっすね」

「なんで! いいよアレ! ふぉおおおおおお!」

 やめなさい。いや、見てておもろいけども! もっとやってみてほしいけども!

「ガ○ダムかジ○ジョやるならあげますけど」

「……………………やるよ?」

 嘘吐け。急に大人しなったな。

「はい」

 ケイシが差し出したのは……えー、何処か知らんけど、どっかのクーポン。たぶんマイナー。たぶん。

「何処コレ!」

「しゃーないっすねぇ。じゃあもう、莱來丁でも行っといてください」

 ああ、あの有名な中華料理店? スタンプカードとかあるんや。

「ほとんど溜まって無いっすけど」

「いや、結構溜まってるやんコレ」

「え、これ一回言ったら一個もらえるの?」

「ここまでで1000円とか書いてあるから値段じゃない?」

「いや、何にしてもあたし行かないけど……」

 とか言ってる間に、ケイシ何か次の物探してるで。

「コレも要らんってさー」

「100円ちょーだーい」

 どこぞの怪談思い出させる台詞やな。

「じゃあ、これで。どっちだ」

 両の拳を差し出して見せるケイシ。かたっぽは100円(だと思う。見てなかった)が入っています! どーっちだ!

「ちゃんと片方入ってますよ」

「え、ええっと……こっち!」

「おっ。……当たり」

 マジか!

「やった!」

「どうぞ」

 ケイシが渡したのは11円。

 ……じゅ、10円増えたやん。良かったやん。

「えーっ」

「じゃあコレも上げますよ。絆創膏」

 薄っぺらい紙のケースに入った絆創膏セット。中に大小何枚かの絆創膏が入ってる、広告を兼ねて配ってくれてるような奴。

「中学ん時に貰ったやつっすけど」

 結構古いなおい。

「あ、ありがとう……あたしよくこけるから貰っとくー……」

 パカッと開けたら、ちょうど真ん中に普通サイズの絆創膏が一枚だけこんにちは。

 ……虚し。

 空っぽよりも一枚だけ居るってのがまた虚し。

「アハハ、中学ん時に使ってたんっすねぇ。気付かなかった」

 アンタ、絶対性格悪いやろ。

「じゃあ最後にコレどうです?」

 ケイシが提示した条件は、今アミの持ってる11円と交換で、今度は本当に100円を持ってる方の手を当てるって奴。

「後ポケットに入れるってのもアリなんっすけどねー」

 結果はケイシの勝ち。なんか、持ってない方を相手に選ばせる方法的な物(実際に効くのかどうかはしらんけども)を、やったらしい。

 でもまぁ、後ろポケットには入れてなかったで。うん。えー、ドンマイ?

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