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18日 弱肉強食

 昼間の住宅街って、平和やなぁ。

 レイちゃんはただいま、普通に歩いて住宅街を散策中です。今、公園の近くにある団地のあたり。

 遠くから聞こえてくる電車の音と、たまーにすれ違うお婆ちゃん。風が雑草をさわさわ言わせて、色んな形の雲がのっとり流れて……ふぅ。平和やわぁ。

 でも、そんな中でも生死の境さまよってる人って言うかモノって言うか虫って言うか、そんなんも居たりして。っていうか、すでに生死の境越えてこっち側来ちゃってるものも居たりして。

 たとえば、この車道の茶色いペッちゃんこの甲羅とかな。カブトムシか何かやなこれ。

 たとえば、この綺麗だったであろう甲羅の亀さんとかな。……なんで亀が車道に出てきてんねん。池帰れや。いや、今更やけど。

 それから、何が起こったんか、単純に寿命やったんかわからんけど、公園のそばに落っこちてるこの……

「ジジッ‼ ジジジジッ‼」

「うぉわぁっ‼」

 怖いわっ‼ 急に動くなセミ!

 あれか? もう死んじゃってる感じの奴にカウントしようとしたんが気に入らんかったんか? ごめんな。だって死んだふりしてるんやもん。あ、ふりちゃうんか。死にかけてたんか。

 …………あれ、なんか自分、狙われてるくない? 電線の上のカラス、めっちゃこっち見てはりますけど。

 狙われんよう移動さしてあげようにもなぁ。触りたないわ。怖いわ。バタバタされたらめっちゃびっくりするもん。あと、なんか飛ぶときに体液かけられんのいやや。

 ……あ、もう飛べへんか。

「カァー、カァー」

 お、良かったなセミ。カラスどっか行ったで……と思ったら今度は茂みの中に何か居るー。めっちゃ大きい鎌持ってる、緑の生物居らっしゃるー。

 もー嫌や。そんな目でこっち見んといてー……と言いかけた途端どっか行くしな。よかったなセミ。自分、めっちゃ運えぇんとちゃうん。……あれ、ここに転がってる時点で運はイマイチか? カマキリが行った方向から『ジジジジジジジジ!』とか聞こえてくるのは気にしない方向で。

「にゃー」

「お、ミヤビ来たかー」

 いや、『来たかー』とか言うたけど、うち。アンタ、ホンマは家から出たらアカンの違うん。うち普通にお散歩とか付いてったりしてたけど。

 ……あ、無視ですか。無視してセミのコトガン見ですか。何? うちは死にかけのセミに嫉妬したら言い訳?

「ジジジジジジッ!」

 お、飛びついた! ほんで頭からくわえた、ってやめてぇや! グロいわ! 怖いわ! 頭がぁ! ほんで、羽だけ口から出てじたばたやってんのがまた怖い。

 あれ、吐き出すの? 食べへんの?

 ポイしたセミを、前足でちょいちょいしながら転がして……おもちゃか! ボールかセミは! それとも何か? アスファルトあったかくなってるから、それで料理しようってか。セミのテリヤキって美味いらしいな。羽とって、ジュージュー焼いて。しゃくしゃく触感らしいで。あ、羽は取りな。あとアブラゼミはアカンねんて。

 コロコロやってたミヤビは、目の前を通った蝶々に惹かれたらしくて、セミを放って公園の中に。……うわー、セミの背中が凹んでるわ。これでもまだ生きてるわ。ガンバレセミ。ファイトやセミ。

 ……残り数分、精一杯生きろ。

 ってこれ、ひょっとして鬼畜な事言ってる?

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