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17日 胸の中の黒い炎取ったげて

 ……でか。

「ははははは。いや、悪かった。ついな」

 でっか。

「まあ飲め」

「どもーっす」

 アンタ未成年やろ、っていう気はもうない。このでっかいお坊さん、もとい、妖怪、見越し入道さん曰く『幽霊に年は関係ねぇや、なぁ?』らしいから。

 はーい、ただいまレイちゃんは山の奥深く、見越し入道さん宅にお邪魔していまーす。昨日、ろくろ首を探しに探して今日になっても探しに探して、諦めかけたところで豆腐小僧に会うて、ろくろ首探してるって言うたら『ああ、母ちゃんならうちじゃねぇかな?』やってさ。

 まさかの知り合いのお母さんやったって言うな。ダイ爺に『息子と知り合いだったんなら早く言えよ』って言われたけどな、知らんかったもんは知らんねんもんな。しょうがないもんな。

 ほんで、あのろくろ首追いかけてた途中で会うたお坊さん。あの人ろくろ首の旦那さんやったんやな。

 ……ほんで、ちゃっかりうちの隣で酒貰てるこの赤毛の子ホンマに誰やねん。外では服のフードかぶってた、小六か中一か、それくらいの子。フード脱いだら髪の色が茶色に赤混ぜた感じやった。むしろ赤って言っていいくらいやった。ほんで、目ぇがめっちゃ大きいって言う……いや、こっちは関係なくて、何か獣みたいな目ぇしてんねん。瞳孔縦に割れてんねん。ちょっと怖いねん。

「レイは飲まねぇのか?」

「うち酒はなー。あんまおいし無さそうやし。何とかテスト真っ赤っかなったし」

「あ、酒強いか弱いか調べるアレか。……なんつったっけアレ」

「パッ、何とかやねん」

「パッパンーがパン」

 地味に踊るな豆腐小僧。あ、食事中やぁ言うて殴られた。手加減したげて、お父さん。

「美味いね」

「ニィ」

 ……くっ。なんやねん、なんやねん、隣でチーニルといちゃいちゃすんなよぅ。チーニルー、猫ちゃーん、うちの胡坐ん中おいでー! いや別に、こんな子供に嫉妬とかしてませんよ。こんなきれいな顔した少年に嫉妬とかしませんよ。いや、年齢差そんな無いやろけども。

 ほんでな、このキーヴァだとかキヴだとか呼ばれてるこの少年の胡坐ん中にチーニル居るのが様になってるっていうのがまたイラッとくんねん! ちくしょう。

「レイ……押さえろよ。めちゃくちゃ殺気立ってるぞお前。なんか変なオーラ見えるぞ」

「知ったことかぁっ!」

「落ち着けってオイ。猫に嫉妬ってお前……」

「はぁ? うちは猫ちゃん抱きたいねん!」

「あ、そっち?」

 ダイ爺な。お前うちを何やと思てんの? 

「てっきりああいう子がタイプなんだと」

「まあやっぱ一番はコウチ家に住んでるミヤビやねんけどな。でもチーニルも可愛いやん!」

「ダメだ、話が噛み合わねぇ。俺酔ってねっすよね? おかしいのコイツっすよね?」

 なんで妖怪一家に聞くねんな! ほんで誰がおかしいって⁉

「チーニル、いる?」

「ニィ」

 ……自分の盃でチーニルに酒飲ませた……やと……

 関節キスやん! なんなんそれ! めっちゃうらやましい! ってこれで五回目くらいやけど!

「っていうか自分さー、普通に飲んだり食うたりできるってことは生きてるんちゃうん。日本ではなぁ、二十歳ならんかったら酒飲んだらアカンねんで」

「大丈夫。アルコール分解酵素っての持ってるから」 

 …………………………アルコールぶんかいこうそって何や。

 アルコールはアレやろ。理科で使ったランプの奴やろ……酒とかに入ってる。ぶんかいこうそって何や。分解するこうそか? こうそって何やねん。

「ダイ爺、アルコール分解酵素って何?」

「あん? そりゃお前、アレだろ。……アレ。アルコール分解する何かだろ」

「何かって何や」

「何かは何かだろ」

 埒あかんな。

「チーニル、俺よりバカって居たんだね…………ハイハイわぁってるよ」

 くそっ、何や仲良さ気に喋るよるし、めっちゃこっちの事馬鹿にしとるし、なっ、に、肉球で顔をポンポンして……⁉

「レイ、本気で落ち着け」

 無理。

「……ちょっと頭冷やしてくるわー」

「おー……。まあなんだ、頑張れよ……」

 ミヤビ、うちの事なぐさめてくれるかなぁ。

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