15日 だって、元は人間だからさ
ダム、ダム、ダム、ダム、ダム、ダム、ダム、ダム……
終わらへんな。
ほんで、ゆっくりやな。
そんで、規則正しすぎるな。
夜、中学校に来てみた。そしたらまぁ、ずぅっと、ずぅうっと、中でボールがダムダム言うてんのよ。
言ってえぇか? ホラーにしかなってへんねん‼ 怖いわ! もううち、中入るわ。ダイ爺がやってること確認せんと気ぃ済まんわコレ。
「ダイ爺ー」
……うっわー、体育館の真ん中でぼんやり人型が光ってるー。怖いって。何回言わすねん。怖いわ。やから何回言わすねん。
「あ……ん? ああ、レイか」
ダムダムやってたボールを手に取って、そのままシュート。お、3ポイントで入った。
「どこ行ってたんだよテメェ!」
「うぉおっ⁉ 何⁉ どしたん⁉」
急に胸倉つかまれた! ちょ、待って、何なん⁉ カツアゲ⁉ っていうか近い! あ痛っ、ちょ、なんで頭突きされたんうち!
「リノの居なくなった途端行方くらましやがって……お前も消えたかと思っただろうが‼」
「んな訳無いやん。っていうか、うちそんなちょくちょく来てたか? こんなもんちゃうっけ?」
「知るか! 一番居なくなられたら心配する時期に、ややこしいことすんじゃねぇ!」
「よ、要するにアレな、ダイ爺、寂しかってんな。いや、心配してくれてありがとぉ」
「ったく……ま、無事で良かったけどよ」
「ダイ爺寂しがりー。うぉっ‼」
顔面狙ってバスケットボール投げんな! すり抜けるからいい物の、当たったら滅茶苦茶痛いぞ⁉
「ダイ爺ツンデレー」
いや、それやったら『ツン』と『デレ』が逆になってるような。うん? いや、いつデレたっけ? っていうか『ツン』とか『デレ』とかって何や。あれ、ほんまにわからんよなってきた。
「よしゃ、ダイ爺! またボール取りっこしようや!」
考えんのやーめた。
「……お前、この4、5日間何してたんだ?」
「んー……? 落ち込んでもふもふしてアホ見ていたずら見学した」
「……充実してんなぁ」
「要するに、その辺漂ってただけやで」
「俺も学校出てぶらつこうかな」
「そんなん引き戻されるやん」
「その辺の生徒にでも憑りつくって。お前もそうやって京都出たんだろ?」
「まあそうやねんけど」
「お前の知り合いって、どんなんが居るんだ?」
知り合い? 知り合いって言って良いんかなぁ。まあ、知ってる人言ってけばえぇよな。
「んとな、まず、うちが京都出るときに憑いて来た一家やろ」
「ああ、コウチさん家だっけか。それは前聞いた」
「神社の神様……うちは爺ちゃんって読んでるけど」
「失礼だなオイ」
「大丈夫やって。神主のアケヤマさんも爺様って読んでるし」
「すげぇな。緩いなその神社」
「あ、このアケヤマさん、幽霊見えはるんやて。うちも喋ったし、マリーちゃんって妖怪? の女の子も居候してはるし」
「マジか。本気ですげぇな。なんて神社?」
「リョーホ神社やって。あんな、幽霊の霊に、えっと、保健? の保の字で、レイホやなくてリョウホって読むねんて! すごない⁉」
「……ああ、あそこか。俺知ってるわ」
「マジか!」
「生きてた時行ったし」
「マジか!」
「あの近くに高校あんだろ? 俺、あっこ通ってたんだよ」
「マジか!」
トーカと同じ学校⁉
「何回マジか言うんだよ」
「いやだって、知らんかってんもん!」
「はぁ? このユニフォームにちゃんと書いてあんだろ『ニシナガ高校』って」
「あの学校の名前知らんかった……」
「マジかよ」
めっちゃ呆れられた。
「よし、このことは忘れた。ええな。忘れたで」
「おい」
「コウチ家の向かいにあるアパートに住んではる兄妹さんも知ってるで」
「へー。なんて人?」
「……あれ? 忘れたわ。っていうか、多分知らんわ」
「マジか……お前すごいな。よくそれで会話に支障出ないな」
「でやー」
「いや褒めてねぇ」
「あ、あとな、その人らの家によく来てはる、ジュジュって妖怪と豆腐小僧って妖怪も知ってんで!」
「え、マジで居るのか? 豆腐小僧って」
「普通に居るで。なんで?」
「いや、フィクションだと思ってたから」
「あ、わかる。豆腐小僧居るんやったらさ、もっとほかの奴らも居るやんね! ろくろ首とか見てみたない?」
「あ、見てみたい。あの首どうなってんだよってな」
……この後、妖怪談義に花が咲きました。
幽霊が怪談話で盛り上がるって、どうなんやろ。




