8日 まさかのテスト
うぉ……こんなガヤガヤしてんのに。こんな騒がしいのに。
皆勉強しとる‼
何コレ、何なん、偉っ! 何が起こってんの⁉ ……あ、黒板に『古典 8:40~9:30 物理 9:45~』とか書いてある。テストか。なるなる。
「こらー、三分前だぞ。席つけー」
あ、先生来はった。……何や見た事ある人やな。何処でやろ。覚えてへんわ。知らんわ。うん。
「今更詰め込んでも遅いぞ。大切なのは毎日の勉強だ」
「枕草子は随筆で……」
「随筆ってどんな感じだったっけ」
「これこれ」
先生ー、ガッツリ詰め込もうとしてはる人がいますー。例のちっこい男子……えー、テツやっけ? とか、近くの席の人のグループが詰め込もうとしてはりますー。あ、トーカも居る。
「何とか『もの』が類聚章段で」
「ものづくし、な」
「取り敢えず自然が随想章段って覚えとこ!」
「宮廷社会が日記章段……」
「こらそこ!」
「うぉやべっ」
テツが猿なみの身軽さで手に持ってた教科書を後ろに持ってった。流石、顔が猿に似てるだけあるわ! ……悪口ちゃうで?
「あー、危なかった」
って言いながらうちわをパタパタ。いや、アウトやったやろ今の。
「あっ! うちわ駄目じゃねーかよ‼」
やっぱアウトやろ。
「こらテツ‼」
「さーせんっ‼」
アウトやったな。ほんで名前テツで合うてたな。
「配るぞー」
二つ折りにされた中に解答用紙とか問題用紙とかが挟まれている冊子を配る先生。配る途中でキンコンカンコン鳴り始めて……
「よし、配られてきたら始めなさい」
全然「よし」ちゃうやろ‼ まだ全員分配れてへんやん! 後半の人めっちゃ不利やん! あれか? まだ配って無い列はテツとか居る列やからか? 一番最後の人可哀そ。とばっちりやん。笑ってはるけど。
まぁなんやかんやで配り終えて、皆名前書き始めた頃に女の先生が1人は行って来はった。……あ、前に見たことあるわこの人。登場人物くん付けで呼ばはる先生や。たまに言葉に棘のある人や。
「おはようございまーす。問題用紙二枚解答用紙一枚ですよ。裏にもあるので間違えないように。質問ありますか?」
え、裏表でその量⁉ えぐっ。この人やっぱ実は腹黒やろ。小学校の先生みたいな雰囲気かもしといて腹黒やろ。
……それとも何か。高校ではこの量が普通なんか?
「先生」
あ、一人の男子が手ぇ上げた。何やろ。何か聞いてはるけど小声で聞こえへん。寄ってみようとしたら質問終わってしもてた。
「そんな事応えられるわけないじゃないですかー」
「え、ダメすか」
「答え教えてるようなものですよー、いけません」
何聞いたん⁉
「じゃあ皆さん頑張って下さいね」
あ、行っちゃった……
こつこつこつこつ、こつこつこつこつ
……やー、静かやわぁ。
テスト中のシャーペンの音って、聞いてると何や雨みたいよな。今日は曇りか。あ、でも青い部分も見える。曇りは雲の占める範囲……なんぼやっけ。8割とか9割とかそれ以上とか、何や多かったような。あかん、思い出せへんわ。何や記憶力悪なってるくないか、うち。いや、元々イマイチやったけども。
んぉ? シャーペン落とす音が。あぁ、居るよな。シャーペン落とす奴。あと居ると言えば……うん、あの、一番席が後ろの女子みたく、消しゴム落としたけど先生になかなか気づいてもらえへん人。
『おにいちゃん、めぇるだよ★ おにいちゃん、めぇるだよ★』
………………………………コレは無いな。
いや、携帯鳴ることあってもコレは無いな。
恥ずすぎるやろ! 誰や! テスト中やのにめっちゃざわついてますよ小声で! 声殺して大爆笑してはりますよ一部! 先生もちょっと引き笑いですよこれ‼ 平静装ってはるけども‼
……あ、あの子ちょっと赤面してはる……お前か! 女やったんかいこれの持ち主! お兄ちゃんちゃうやん‼
先生が教室の後ろにあるカバンの中から携帯を見つけ出して切った。と、同時に、
『盛り上がってるかぁああああ⁉』
という超ハイテンションな男の声。ついでにドラムの音。ついでにギターの音。
誰やねん‼ 今盛り上がるべきところちゃうねん! 空気読め‼ あ、無理か。
また先生が回収。
……大変やなぁ、テスト。




