7日 笹に願いを
笹の葉の音ってえぇなぁ。さらさらーって。歌あるけど歌ったらあかんねんて。著作権引っかかんねんて。ちぃ。
笹の葉と一緒に短冊も流れてさらさらーって音立ててる。他にもわっかつづりとか、和紙で作った天の川とか。でっかい笹にてんこ盛り。先っぽの方がしなってます。あれ、しなってんのは元から?
ちなみに、この笹は神社近くの保育園の物。短冊に願い事を書く字が不慣れで可愛いわぁ。解読できんけど。
……ん、せや。
「なーなー、アケヤマさん! 居てはりますー?」
「はい。何でしょう?」
「皆の家周ってさ、短冊書いてもらいたいねんけどな、笹とか持ってはりません?」
「…………はい?」
……あ、いや、こんな急に来てさっと笹出てきたらすごいよな。凄すぎるよな。
「まあ、笹ならありますけれど」
あるんかい‼
「何をするって?」
「んっとな、うちのな、知り合いの家周ってな、短冊書いてもらって笹に飾りたいねん!」
「面白そうですね」
苦笑してはるけどな。
「ちょっと待っててください」
「何のお話なの?」
「お、マリーちゃん。暇? 一緒に行かん?」
「マリーさん、今、帰ってきたの」
あ、何の話か分からんってか。
「あんな、今日七夕やから」
「たなぼた……?」
惜しい、違う! 惜しいけどだいぶ違う! 棚から牡丹餅では無い!
「七夕!」
「わかったの」
「皆にお願い事書いてもらいに行きたいねん!」
「楽しそうなの! お願いかなえるの?」
……書くだけや。
「えーっと……」
「はい。このサイズでも大丈夫ですか?」
「うわ、ありがとぉございます!」
うわ、うちと同じくらいの高さある! えぇやんえぇやん。大きすぎず小さすぎず。
「ほんじゃまず、うちらのお願い事書こー。アケヤマさんもお願いします!」
「紙とペンならここに」
おぉ、めっちゃ準備えぇな。んーと……
「マリーちゃんのは言ってくれたら僕が書くよ」
「お願いしますの」
『世界一周旅行したい (ハヤシ レイ)』
『誰も死にませんように (マリー)』
『お客様のお願い事が叶いますように (アケヤマ トシユキ)』
何か、並べてみたらうちめっちゃ自己中みたいや。まぁ願い事なんかこんなもんやんな! よしゃ、次爺ちゃんに書いてもらお!
『幽霊に安らぎを (テンホレイ)』
……名前の読み方間違ってる気がするわぁ。絶対間違ってるわぁコレ。まぁえぇわ。うちが気になるのそっちちゃうねん。
「爺ちゃんって名前あったん⁉」
「何を言うか」
ちょっと怒られてから、コウチ家行ってー……トーカを通じて書いてって頼も。
『鳥になりたい (トウカ)』
何があったし。
『バスケがうまくなりますように (カエ)』
『柔道が強くなりますように (エイト)』
スポーツしてる子の鏡や!
『家族が皆幸せで過ごせますように (お父さん)』
『世界に平和が訪れますように (母)』
せやな、外国行って楽しいまんま帰って来たいもんな。あれ、そう言う意味違う?
次に幽霊見える兄妹さん家のアパートに……と、思ったら、コウチ家とアパートの間にある道で、マリーちゃんが声かけられた。
「あらお嬢ちゃん、そんな大きな笹持ってどこ行くの?」
「皆にたなぼた書いてもらうの!」
「たなぼた……?」
ちょっ、マリーちゃん違うって! 優しそうな小柄なお婆ちゃん困ってはるって!
「短冊じゃなくて?」
「うんと、お願い事書いてもらうの。書いてほしいの」
『家族が皆幸せに暮らせますように (おばあちゃん)』
あれ、なんやデジャヴが。
今度こそアパートに行ってみたら、
「うぉ、今日七夕か!」
「お兄ちゃん酷いー! 私七夕ゼリー作ったのになんで気付かないの⁉」
それはひどいな。
『理不尽が減りますように (ガク)』
『外国に行ってみたいな❤ (ヒカル)』
やんな! 外国行きたいよな!
「よぉジュジュ、お前も書けよ。願い事」
お、久しぶりやなぁ。ベランダから小さい子供がそろーっと入って来た。……ちょー待って、うちまだ怖がられてる感じ? 自分も妖怪やん。怖がられる側やん。
『みんながなかよしになれますように (ジュジュ)』
この町平和主義者多いな。って言うか、みんな仲良しってわけではないんやな妖怪も。
さーて、次どこ行こ……。
……知り合いでうち見える奴ってったら、あとアイツやんな……河童。どうしよ。みんななかよしって短冊見た後やしな……
着てみた。
「あら! 来てくれたのぉ?」
……うん。絶好調やね。
短冊も書いてもらった。
『織姫は私 (ルー・カッパ)』
無理!




