3日 あだ名は番長
それは、とある中学校での出来事。
というか、町の中学校での出来事。
ってか、カエの学校での出来事。
ただいまレイちゃんは中学校に居りまーす、あれ、うちレポーター? 違うからなー。
今は中学校お昼休み。そこらでお弁当広げたり、購買でパン買って来たのをむさぼったりしてる生徒がいっぱい。あと、ゲームとかしてるのもちょいちょい。お前等何しとん。うちも混ぜろし。
「えっ⁉ アイマイミーマインって何⁉」
「え?」
「I、my、me、mine」
「だからそれ何⁉」
何か、和やかな雰囲気の中で切羽詰ってる奴が居る。
「Iが『私は』でー」
「やさしっ! 教えてくれるの?」
「止めた」
「あぁあああごめんカエ様! カエたん! カエ! カエこの野郎ぉ!」
「なんでだんだん乱暴なってくん⁉」
「わ、出た関西弁」
……カエの友達かい。テンション高いなお友達。めっちゃ笑うやん。ほんで、周りの人は何も反応せぇへんのな。慣れてるんやな。
「で、続きは?」
「え、何の?」
「アイマイミーマイ教えてくれるんじゃないの⁉」
「Iが『私は』で」
「それさっき聞いた」
「myが『私の』で」
「ふんふん」
「meが『私に』で」
「ん、ん」
「mineが『私のもの』だったと思う」
『思う』かい。アンタ英語苦手やろ! いや、うちも今知ったようなもんやけど。そこは突っ込まんといて。
「全部『私』じゃんか‼」
「うん。そだよ」
「Iとか四つも要らないじゃん! Iだけでいいじゃん‼」
せやせや‼ もっと言うたれ‼ ややこしすんの反対!
「いや、意味違うんだって」
「っていうか、もう日本語が全世界共通語でいいじゃん!」
「日本語難しいよ?」
「知らないよ‼」
そやそや、我ら良ければ全てよし、や! どやぁ‼
「レイくん……? 何、荒ぶってるの?」
「おぉ、リノ! なぁ英語とかいらんよな!」
「まあ、もう外国人と関わることは無いだろうし……ね」
「お、おぉ……そやった」
結構さくっと言われたな。
「いやでも、もしトーカとか誰かが外国行く事なったら着いて行きたいし! そん時周りが何言ってんのか分からんかったらメッチャ虚しいし! やっぱ日本語が全世界共通になればいいと思います!」
「……そう。無理じゃない?」
結構さくっと否定されたぁあああ‼ 酷ない⁉ めっちゃあっさりやったで⁉ 味噌の無い味噌汁並やったで⁉ ……わけわからんな、この例え。あさりの味噌汁で。いや、そう言う事でも無くて。独りコントやめい。
「ふぅ」
「落ち着いた?」
「おん。ごめんな」
「ううん。見てて愉快だったから」
うち何してたん⁉
いや、聞かんとこ。黒歴史になって終わりや。
「ほんで、どしたん?」
「散歩してたら、黒いのが居たから」
く、『黒いの』か……。学ランの上も着てるせいやな。見てて暑そうやわ、我ながら。でも別に暑くないねんな。ダイ爺とか、冬でもタンクトップやろ、きっと。リノは年中長袖シャツの制服か? 中間やな。
「レイくんこそ。どうしてここに?」
「いつも通り、漂ってただけやでー。学校の昼休みって賑やかよな」
「そうね。うるさいくらい……」
「嫌いなん?」
「別に。嫌いではない、かな」
と、言ったリノの頭をすり抜けて、うちの目の前で座っていたカエの頭に上靴がスパァン!
「痛っ⁉」
「……やっぱり、嫌いかも?」
おい。簡単やな。
「誰⁉」
「うぉやべっ、チビゴリラに当たった!」
「誰がチビゴリラだ‼」
いや、チビは合うてるやろ。ゴリラは無いけど。
おぉ、カエが男子を追いかけはじめた。男子は散り散りに逃げ出……情けなっ‼ 小さい女子相手に、情けなっ‼
あ、男子が一人捕まった、殴られた。中々強いぞアレ。
「いってぇ‼」
ちょ、男子涙目やって。やめといたれよ。もっとやれ! いや、何も言うてへんよ?
『チヒロォオオオ‼』
叫ぶくせに助けには行かんのやな。アーメン、チヒロくんとか言う人。




