28日 少年VS少女 しんぶん。
「あっ! レイ兄様なの!」
「……マリーちゃん、あんな、うちな、お兄ちゃんやなくてお姉ちゃんやねん」
「……えっと。マリーさんこういう人なんて言うか知ってるの。ニューハーフ?」
わー、訳してオカマやね。怒るで?
「誰がオカマやねん。本物や!」
「……わ、わかったの」
あ。怖がられた。
「ってか、なんや久しぶりやな」
「お久しぶりなの。レイ兄様」
……『兄様』は外さんのな。こんなふわっふわしたワンピース着てるくせして頭は固いのな。
「ほんで、なんでマリーちゃんここ居んの?」
ここ、つまり小学校な。確かに神社はご近所さんやけど、ここ三階やで?
「マリーさん、エイトにおよばれしたの」
「ふーん、んじゃあまた電話で『今、あなたのどこどこに~』ってやんのか?」
「……エイト、電話無いの」
小学生やもんな。そらそうか。
「だからね、マリーさん、頑張って大きい声出すの!」
大きい声? 大きい声出したら何かできるんか?
「私、マリィさぁん‼」
「うぉっ⁉」
「今、三階に居るのぉお‼」
急に大声出すなや! びっくりするわ! そんな小さい体のどっから出してんの? 何? 劇団でも入ってんの?
「ほーい」
……今かすかにエイトの声聞こえたぞ。あいつ、返事するくせして出て来んのかい。ナマケモノかお前は。
「ねっ?」
「……いや、ねって言われても」
軽い足取りでマリーちゃんは『4-1』の札が付いた教室の前に。
「私、マリーさん! 今、あなたの部屋の前に居るの!」
「どーぞー。鍵は閉まってるよ」
そらそうやろ……いやちょっと待て! なんでや! 『どうぞ』って言うなら鍵開いてるやろ普通! それ以前に、なんで生徒居んのに教室の鍵閉められてんねん! エイトお前何かやらかしたんか? 罰として閉じ込められてんのか? 訴えられるぞ学校。
がらっ
……マリーちゃん、普通に開けましたけど。普通に中入って行きましたけど。
「嘘だけど」
何のメリットがあっての嘘⁉
「私、マリーさん。今、あなたの後ろに居るの」
追いかけて教室に入ってみたら、独りで教室の真ん中ん席に座るエイトの背後にマリーちゃん。電気の点いてない教室と窓からの光が謎にそれっぽい。
どれっぽいんやろ。なんか、何か、『っぽい』。ドラマとか映画とかのワンシーン? これかな。
「俺の背後を取るとは、なかなかやるな」
いや、隙だらけやん。アンタ座ってただけやん。
「マリーさんは強いの」
「む。まだ一勝一敗だぞ」
「マリーさんの方が最近勝ったの」
「いざ尋常に、勝負っ!」
とかな、中々小難しい言葉とか使って、張り切って言うからな、勝負は即始められると思ったんよ、うち。もう準備してあるんやと思ってたんよ。
「……ちょっと待って」
「今日の勝負何するの?」
「んしょっ。はい」
……なんやこれ。新聞四部? なんでランドセルに新聞大量に入ってんねん。小学生の持ち物ちゃうって、新聞とか!
「これをこうして」
くるくる巻いて、道具箱の中に入ってたセロハンテープを張って、棒の完成。
お前めっちゃのんびりゆったり座って待ってたやん! 先に用意しとけやそれくらい‼
「叩いて被ってじゃんけんポン」
「マリーさん知らないの」
「えー、しょうがないなぁ」
机の上にそのまんまの新聞を二部、丸めた新聞を二部置いて、
「じゃんけんして、勝った方が棒で叩く」
「叩かれたら痛いの」
「負けた方は、こっちの新聞で頭守るんだって。守りきれなかったら負け」
そのあともう一回違う言葉で説明しなおしてからやっとスタート。説明しなおしてあげるとか見直したで、エイト。
「たったいってかぶってじゃん、けん、ポン!」
マリーちゃんの勝ち!
「えいっ!」
エイトの顔面に、棒がクリティカルヒットォ‼ 大丈夫かエイト。鼻がえらいことなってるで。
「ぶべっ! 顔、無し!」
「頭遠いの」
しれっと言うなや。確信犯やろ!
「早く言えよなぁー。まったく」
エイトが椅子に座って、仕切り直し。
「叩っいって被ってじゃんけんポン!」
またマリーちゃんの勝ち!
「んえいっ!」
「ぉあっ!」
新聞越しに真剣白刃取り! いや、新聞白刃取り‼ 新聞歪む勢いて、マリーちゃんさっきから手加減まったくしてへんな! あれモロ喰らったらどうなんの⁉ あ、鼻が歪むんか。さっき見たな。
新聞を伸ばして、仕切り直し。
「叩いて被ってじゃんけんほいっ!」
なんで毎回毎回ちょっとずつ言い方変わってくるのかが気になるところ。今度はエイトの勝ち!
……無言で打つな! 怖いわ。
「ぴゃうっ」
防ぎはしたけど新聞越しに叩かれた様子。悲鳴が可愛かったです、まる
この後、時計の針が一周するまで決着はつきませんでしたとさ。
あ、ちなみに勝者はエイトな。「あっ、UFO‼」を使った作戦勝ち。……ベタやなおい。




