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26日 雨と彼等と揚げ物と

 どもです、レイです、リノ連れです。

 リノは一人だと音楽室内でしか動けないらしいけど、うちと一緒やったら外にも行ける見たいやねん。前、体育館にも行けたしな。行動範囲ってどういう基準で動くんやろなぁ……うちも今、普段は行けへん町の外出れたし。え、なんで?

「すごく、広い。そして変わった」

 ビルの上で、ぽつりと呟かれたリノの感想。アンタいつの人やねん。うちにはあんま違いとか分からんねんけどなぁ……あ、ここの出身ちゃうからか。なるほど。

 ビルから見える街の風景は、雲と駅とコンビニと人と……その他諸々。いつも隣の町から見えてる通り、ハンパに都会の灰色の街。雨が降ってるからなおさらやな。

「あれっ? トーカや」

 友達の女の子……『つっつん』って呼んどったっけ? と、後輩Aと後輩Kと一緒や。他の二人はどうした。

「何?」

「ほら、あのコンビニの前の、制服集団居るやろ? それの白い傘の女子」

「どっちも白いけど」

 ……トーカの傘もつっつんの傘も白か。

「小さい傘の方。あれな、うちが憑いて来た子やねん」

「ふぅん……」

 うちが町の外に出れたんは、トーカがこっちに来てたからか……。

 なんでわざわざ学校から大分離れた場所で買い食いしようとしてんねん! コンビニくらい近くにあるやん! いや、まあ、部活仲間と一緒に居るって事は部活の用事か何かやったんやろけど……

 あ、袋持ってるのはつっつんだけや。その子が駅の方指しながら何か言ってる。

「行ってーみよっ」

 何買わはったんやろー。

 駅の出入り口はめっちゃ広くて、高校生が四人駄弁ってても迷惑にならないくらいのスペースがあった。何やこの無駄な広さ。そこでつっつんが後輩Aの方に紙で包まれた物を渡す。

 紙破って出て来たものは……ん、えー、何やコレ。チキンかコロッケ。揚げ物。説明以上。

「ケイシ、ちょ、ソースかけてー」

 ……あ、後輩Kってホンマに頭文字Kやったんや……名字もKやったりしたら凄いな」

「あー? しゃーねぇなぁ」

 ダイ爺のノリで『この○○様が~』とか言ってくれへんかなー。……流石に無いか。

「ツバキ先輩、ソース入ってます?」

 ……やっぱ無いか。つっつんはツバキって名前やったんやな。どうやったらつっつんってあだ名になるん!?

「あるよー。はい」

「あざっす、よーしアカリ頭出せ」

「なんでだよ!」

 後輩Aはアカリ!? こっちもAで合うてるやん! うちすごいな! 

「パピー頭出せ」

 パピーって、お父さんやんね? アカリお父さんなん? ほんで、めっちゃエラそうやな息子ケイシ。

「誰がハゲだ」

 え、パピーからハゲに繋がんの? アンタむしろもっさりしてるやん。ちょ、トーカ、スマホ……お、ちょうどいじってるやん。

『レイですー。なんでパピーからハゲに繋がんの?』

「うわっ!? あ、いや、何でもない」

 急にスマホ借りて文字打ったから驚かれた。ごめんトーカ。

『パピー → 父親 → お魚一家の波○さん → ハゲ』

 ……めんどくさっ! 何なんこの経緯! ほんで、なんでアカリがパピーやねん。……見た目か? 見た目ってことでえぇんか?

「あんがと」

 あ、無事にかけてもらえたんやな。よかったな、頭にかけられんで。ツバキはソースかけへんタイプなんかな?

 ……あれ。

『トーカら食べへんの?』

『うちとケイシ金忘れたん』

 あ、そう……。

「トーカちゃん食べる?」

「いいの? いただきますー」

 えぇなあ、食べさせっこ。いや、あげてるのツバキだけやけど。

 あ、男子組も貰ってる。あーっ、あっちも美味そうやなぁ!

「あっ、あっ、お父さん! ソースが垂れそうですお父さん!」

 ホンマや。銀色の小さい袋の切り口から、赤茶色のソースがたらー……。それを見た女子二人、

『ドリンキング!』

 飲めってか!? 

「こっちかけて」

 アカリの揚げ物にソースをかけて、事なきを得ましたー……いや、また垂れてきてるわ。

「かなり残ってんだけど。……よしアカリ、もっとかけるか!」

「やめて。辛いって! ちょっと待て!」

 あ、あのソース辛いんやー。ちょっと赤いもんな。なるほどな。どっぱぁ。それでも ソースそぉすはへりません。あれ、なんか童話みたい。

「ケイシ、ドリンキングしよ」

 ツバキさん、目が遠く見てますよ。何、その、『もう頑張らなくていいよ、君はもう十分頑張った』的な視線。

「マジすか、これを?」

「いっちゃえドリンキング!」

 いやいやいやいや、なんでトーカまで……って飲んだー‼ ホンマに飲んだー‼ アホなん!? 辛いんちゃうん!

「さすがソースマスター!」

 何そのソードマスター的な称号! 似てるけども!

「あれ、ケイシ何処行くの?」

 急に駅の外に飛び出してった……。上見てはる。いや、天に向かって口開けてはる。

「……雨、飲んでる」

 うん、リノが言ったので正解やと思う。

「……アホや」

「それよりレイくん、涎拭いたら」

「うぉっ!?」

 あかん、あんまりにも美味そうで……どんな食い意地張ってんねん、やろ。あぁーっ、爺ちゃんおごってくれへんかなぁ!

「食べる?」

「ん? ……飴ちゃん? 持ってんの?」

「えぇ。のど飴だけど、良かったら」

「ありがとぉおおお! もうリノ大好きや! もう、グッジョブやぁ!」

 ドン引かれました。凹みました。雨はまだまだ降り続いています……

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