3日 さよなら
…………リオンのおっちゃん略してリオッチャンが案内してくれたここって。ああ、神社の裏の、前に誰かが穴掘って掘ってしてたとこ。ほんで魔女さん達が何か魔法かけて何かやってた所。
崖にぽっかり穴あいてんのに崩れへんのかいな。
『あっ‼ こ、こんばんは!』
……背中にひやっと来た。めっちゃ、冷ッと来た。あー、首の動き悪いわぁ、そのくせ体はカタカタカタカタ。もーえぇわ、なんか、もーえぇわ、アレやろ、後ろに何か居るやろコレ。
『死神様!』
後ろに何か居たらアカンやろコレェ‼ ちょ待て、死神居んの⁉ うち死ぬやん、あ、もう死んでたわぁてこれ今まで何回やったっけか。
『死神様、これです。関西弁』
………………あれ、何かうち紹介されてる? でも今のリオッチャンの声違うし。むしろ高いし。女か子供かの声。
「ヒッ⁉」
骨、見えた。
目の前に、手の形した骨ある。
何これ、どうやってつながってんのん、どうやって動いてんのん、筋肉無いと動かへんモンらしいで、色々知ってるおにーさんが言ってた。あの人どこ行ったんやろな、無事なんやろか。
現実逃避したいけど無理やから。こんなこと考えてても無理やから。嫌や、ちょ、触らんといて⁉ カラカラ音立てるな‼
『お前さんは確か、前にも見たなぁ……。京都だったか。シヴィルが何か実験とか言っていたが、何の実験だったかね。……まあいい。早う、行け。我が世界は愉しいぞ?』
『死神様ァ、俺ぁまだ霊界を堪能しきれてません』
『そら、次へ行こうぜ、ユージーン』
『流さんでくだせぇや』
……何やったんや。
白い骨に黒いぼろ布まとったモノと、黄色い肌に黒い着物まとった男の子が空に跳んで見えなくなった。
『はぁあい皆さんお疲れ様ー! あらかた片づけは終わったかな? え、何、リオ帰って来てない? うん、まぁあの人なら大丈夫でしょ。今やってることが終わったら皆さん帰ってよろしい! とか、偉そうに言ってみるけどコレ、アトからの伝言なんで! 一応上司からの伝言なんで偉そうに言ってみましたーってね。えー……今が? 日本時間で0時25分。あらららてっぺん越えちゃったわ。まぁ、何? 多少残ってるかもしれないけど、それはもう次回に流しましょうということで! それじゃあみなさん、解散! お疲れ様でした!』
……シルは何をやっててうちらは何でこんな目にあってたんや。
『よくも、よくも!』
『こっちゃこれが仕事なんだっつの、しつけぇなぁ。クスクスクス』
あれ、鬼さんと、ドイツのお兄さん? コトネとよく一緒に居った……一人?
『落ち着けよ。感情に流される人間は弱い。感情が豊かな人間は強い。テメェ、流された玉かよ。なぁ? 殺しに来いよ……俺は、戦場のスリルが好きなんだ』
……物騒言うか、中二やな。ごめん鬼さん。とりあ、それを素で言ってるんやったら最低なうえに痛いぞお前。
「……人の世にはね、幽霊が安心できる場所は無いんだよ。というか、幽霊になった時点で何か不安要素があるわけだから。それを全部忘れようと記憶はごちゃ混ぜになるし、生まれ変わる時に記憶は押さえ込まれて均されて、封じ込まれるとか、何かよくわからないや。俺は授業あんまり聞いてなかったから知識がね、ちょっとね……うん、元々馬鹿だったからね……」
え、勝手に落ち込まれても。よしよしてしといたったらえぇんか。よしよし。
「えぇと、その記憶を押さえ込んだり均したり、それをゆっくり楽しみながらできるのが霊界。ちなみにスピード重視なら冥界。生まれ変わりについてはまだ謎が多いから、ノーコメントで」
リオッチャンに連れられて、神社裏の穴に入った。……ドイツのお兄さんは……
「あ……」
「……ああいう風に、光になって天に上った幽霊は冥界に直行するんだけど……。まあ、俺はあのやり方が好きじゃないんだ。ごめんね、完全に俺のエゴだった。でも、霊界は楽しい所だから」
「えぇよ……。あんなん、痛そうやし」
穴の一番奥には、さらに畳位の大きさの四角い穴が開いてて、その真っ暗い内側には紫の筋が何本も入ってた。……あー、アレか。次元歪んでるとかそういう系のサムシング。
「じゃあ、行こうか。林玲ちゃん。今までどうもお疲れ様。こちらでは落ち着いた生活を送りましょう」
……うん。
何か、よう分からんけど。もう考えるのやめとく。
さよなら、…………何か。




