1日 間は与えない。
怖い怖い怖い怖い。
嫌や、怖い。嫌や。
なぁ爺ちゃん、この町に居ったら安全やし、大丈夫なんと違うん‼
嘘吐くな‼
何なん? 今夜やのにめっちゃ明るいやん! 月とか星明りとかいう意味ちゃうで。月に至ってはもう、めちゃくちゃ細いからな。幽霊が寝たり殺されたときに、つまり幽霊が消えた時に出て来る光が空埋め尽くして、めっちゃ明るいことなってんねんて。
ああ、たまに隣町で光が上ってくの見たわ。毎回な、見るたんびに色違うねん。一人一人違う色してんねん。
綺麗なぁ、思たよ。
綺麗なぁ思うてたよ。
でも、いろんな色がごちゃ混ぜになって空に昇って行くの、何も綺麗ない。
この町でで登ってく光、何も綺麗ない。
分かるかな、テレビの何も放送してないチャンネルって、砂嵐なるやん。白黒で、暗い場所でじっと見てたら目ぇチカチカなるアレ。あれの、虹色バージョン。特に多いところやとむしろ真っ白に見えてまうあたり、うちちょっと目ぇおかしなってるかも。
『ィ――――――リェ――――――、ィェ――――――ンソ――――――』
やめろその歌!
コウチ家の屋根の上で、シルの妹とか言うてた人が甲高い声で歌うとんねん。なんでコウチ家の上って、そこが町のド真ん中やから。これ、散歩でわかったことの一つ。
何なんやろな、あの人の歌声聞いてたら、つい、そっちの方に行きそうになってまうねん! 事実、いろんな霊がそっち行って、本人とかその隣に居る誰かさんにやられてんねん。やから、もう、うちは動かん。動いたらうちもああなってまう。…………はぁ。ダイ爺どうしたかな……。ダイ爺もやけど、ヤンちゃんとか、コトネとか。
「耳栓は役に立たないからな……。意識だけ、しっかり保っとけ」
「ぉん」
ヤンちゃんに立ち方教えたお兄さんと一緒に居てるんやけど、さ。この人おかしいねん。いっこも慌てた様子無いねん。この人もあいつらの仲間なんやろか。せやったら、めっちゃ演技下手やな。それともあれか、ただの幽霊の振りするつもりがもともと無いんか。……聞くの怖い。もう、全部怖い!
「んにぃいいいい」
「あ…………チーニル」
「知り合いか? ……ネコ」
「おん、可愛いやろ……」
ああ、見てるだけでも落ち着くわ……。ちょっと撫でさせてー。
「逃げるぞ」
「ふぇっ?」
「んにぃいいいぁああああ‼」
え、ちょ、え? チーニル? 自分変やで。めっちゃ頑張って走ってるのに遅いし。何かちょっと体大きくなってくるし。声低いし。
「あの猫はあっち側だ。人型ばっかだと思うな!」
「そんなん知らんやん‼」
「泣くな!」
ふぇっ? ぇ、あ、ごめん……。
『皆さーん、いつの間にやら十二時越えてましたよー、やぁ、あたしは全く気付かなかった。とうとうHalloweenが終わっちゃったよ‼ お菓子まだもらえてないよ! はい、まぁ過ぎちゃったもんは仕方がない。人生諦めが肝心だよ。うんうん。あ、あたしら人じゃなくて死霊神ね。そうでしたそうでした。死霊人生ね。はいはい。
はい、そういうわけでーえー、今日は11月1日! この世界では諸聖人の日だそうです! 全ての聖人と殉教者を記念する日なのだそうなので、ぶっちゃけあたしたちには関係ございません。まぁ、あれよ。殉職した我らが同僚と、それぞれの神様にちょっと祈りでも捧げてみちゃったりしましょうか。ああ、仕事の手は休めないでほしいかな。はーい、以上! 予想以上に多いみたいだけど、頑張りましょう!』
頑張るな。
「なぁ、これどこ行ってるん、すか?」
「神社」
「え?」
「あいつ等の死角になってる可能性が高いから、神社」
……おう。神社か。……爺ちゃん……。
ま、祈りは捧げてみちゃう気無いからな。
……爺ちゃん、どこや。




