30日 音
「ほい、ほい、ほいっと」
「わぁっ、すごいの! レイ兄様は、どうしてできるの?」
ふふーん、ドヤ。何か年下に褒められるのんてちょい嬉しいな。ただのリフティングやのに。えぇ子えぇ子。
「んー……、どうして撫でるの?」
「マリーちゃんがえぇ子やから」
なでなで。もうこのまま髪ぐっしゃぐしゃしたろ。大丈夫、ちゃんと戻したるから。ついでに何か別な髪型にしたろかな。てか、マリーちゃん今日ハーフアップにしてるけど、誰にやってもらったん? あの人か……えー、あー、名前忘れた。神主さんの隣でよう働いてる幽霊のお姉さん。何とかさん。
んー、ゴム一本しか無いしな……せやなぁ、マリーちゃんが髪アップしてるところほとんど見ぃひんし、サイドテールとかどやろ。イメージちょっと違うけど、あれや。ギャップ萌えやん。
「…………どうして弄るの?」
「楽しいからやーん。じっとしといてな」
前にもやった事あるしな。大人しゅうしてくれてるわ。えぇ子えぇ子。
「そいや、マリーちゃん」
「どうしたの?」
「爺ちゃんの隣の女の人誰?」
本殿の入り口に座って、爺ちゃんと小さい美人さんが並んでお茶すすってんねん。あ、爺ちゃん復活したんや。今気付いた。
「えーっとー…………あ、名前聞いてないの。神様のお世話してくれてる人、じゃなくて、幽霊さんなの」
「へーぇ」
……爺ちゃん、ついに介護が必要になったんか……
いや、コレは違うか。爺ちゃん神やもん。介護必要なったらアカンやん。
『ァ――――――――――――』
え?
『ュ――――――――――――』
え、え、何? めっちゃ甲高い音響いてるんやけど。どうしよ、めっちゃ聞こえてくるのにどっから流れてるんか全然分かれへん。
『ラ、ァ――――――――――――‼』
え、ちょ、怖いからやめろって。ごめんマリーちゃん、髪ぐっしゃにしただけで終わりそうや。何、なんで町の外からわらわら幽霊集まってくるわけ。日本人だけちゃうやん。世界中から集めてきました的なレベルで多いって。なんでどこぞの警備員さんまで来とん。どっこも警備してへんやんけ。
『こ、こ、此処来、此処来よ霊よーー』
……え、何か歌い始めたぁあああ! ほんで町の外からまた幽霊の皆さまの一団がいらっしゃろうとして春からな。いや、いらっしゃったけどな。何なんコレ⁉
『未練はなかろ? あるなら断たん、』。
うん、何て言ってんのか全然わかれへん。
「らん、とん、ろん」
……とりあ、耳に残るわこの曲。そばで聞くのはやめとこ。




