19日 梅雨時ですから下校道。
……雨やなぁ。どっしゃぶりやなぁ……。
皆ちゃんと傘持って行ったんかなー、と思って傘立て見たら、もう学校から帰って来たエイトと家に居るお母さん、それからまだ帰って来てないはずのトーカの傘が。
……あれ?
トーカちゃーん、傘はー? 傘どうしたのー? 濡れて帰るつもりですかー?
よし、高校は結構近いから行ってみよう。走って五分の県立高校! 別に見ても何の感想も出てこない。結構通い慣れてるからなぁ、うち。ほら、授業参観的な感じでしょっちゅう来るから。
部活どこでやってんのやろー……と、駐輪場かつ駐車場な後者の外側から眺めてみた。聞こえてくるのは吹部の音と雨音と、やっさーいもっさーいって男子の声。だけ。
……変なん混じってへんかった?
「そーれそーれぇー」
……あれー、何か変なん来るー。
盆踊りとドジョウすくい混ぜたみたいな踊りしながら、歌いながら、男子高校生がやって来るー。しかも二人居るー。傘も差さんと何しとるんアンタら。
片方イケメンなんが色々残念。ノリ切れてないだけマシか? いや、慣れてないって感じなだけでめっちゃ楽しそう。複雑やわー……。
『ふう』
あ、やめはった。疲れたんやな。めっちゃハイテンションやったもんな。動きデカかったもんな。
「あ、やめてる」
トーカ居った。ってことは? 部活仲間? こんなんばっかなん?
……あ、いや、隣に女の子居ったわ。そのさらに隣に男の子二人居ったわ。その男の子達は相合傘して、トーカの友達らしき子は白い傘差して、トーカは黒い傘差してた。なんや、持ってたんやな。
相合傘の子らは校門までさっさと行ったから、部活の子と違うんかも。トーカと友達は踊ってた男子が駐輪場でカッパ着て自転車出してするのを待ってから、校門に来た。
「じゃー、お疲れ様でしたー。つっつん、傘ありがとう」
「いいよいいよー」
借り物か‼ やっぱ忘れてってたんか、傘!
ほんで、なんであだ名がつっつんなん? どんな名前がどうやったらそうなったん?
「あっついー」
「いや、俺等の方が暑いっすよ」
「カッパ舐めたらダメっすよ」
「だろーね」
トーカに敬語……? あぁ、後輩か。
「……いや、舐めないよ? 美味しくなさそうだし」
「……そう言う意味じゃ無いでしょう」
「美味しくなさそうってったら、カビだな」
「いや何でそっち行った?」
ツッコミお疲れ。後輩……えーと、後輩Aとしとこう。ボケたもう一人はイケメンだからちょっとカッコよく後輩Kってことで。何かKってカッコよくない? わからん? まあええわ。
「カビだって美味しいものは美味しいよね? ブルーチーズとか」
「あー、俺、アレ無理っす」
「まあうちも無理だけど」
何やねん言いだしっぺ!
「なんで? 美味いじゃん。俺家で作るぞ」
凄いな後輩A。ブルーチーズって家で作れんの?
「いつの間にか黒いのとか、緑とか付いてたりする」
「それダメだろ。カビだろ」
「……あんね、ブルーチーズのブルーはカビだよ? 青カビだよ」
「あ」
後輩Kに突っ込みは無理、と。後輩Aに笑われた後輩Kは自転車で突進。いや、別に危なくはないで。歩くスピードやからな。トーカの。えぇ子らやなー。
チーズの発酵……あれ? ヨーグルトって牛乳発酵させたものやんね。チーズって、牛乳から出来てるやんね。あれ? チーズ発酵させたらヨーグルトなるくない? ……黒と緑のヨーグルト? いや、無いな。
「黒と緑ってそれ腐ってるでしょ。捨てよ?」
「もう捨てましたけど」
「取っとけよ」
「どっち!?」
ボソッと何言ってんの!?
「いや、面白くないじゃーん」
「どういう面白さ求めてんの!? てか家の冷蔵庫死滅しますが!」
「取っとけよ」
「お前まで何言っちゃってんの?」
「え?」
めっちゃ真顔です後輩K。お、後輩A諦めました。早いなおい。
「人生諦めが肝心だよね!」
肝心やんなー。と、トーカに便乗して言ってみた。
少年、ため息とかついてたら幸せが逃げるぞ。いや、じめっとなってカビが生えるぞ。梅雨だから。
……気をつけましょう。




