17日 被る所以は
「ハァイレイちゃん。一気に涼しくなったよねぇ。台風万歳。北風さんこんにちはー。これからどんどん寒くなるけど、学ランがあるなら余裕かな? 温かいよねぇ学ランって。っていうか暑いよね」
「うん、暑いな」
温かいってのはまだ感じたこと無いわ。あ、でも適温やなって思ったことはあるし、温かいでもえぇんかな。
「シルのそれも温かそやな」
襟立ってるし。あ、学ランもかこれは。…………あれ? リオの着てた奴と同じちゃう? ちゃんとベルトもある。ただ、だいぶ丈短いけどな。リオの膝くらいまであったけど、シルのは太ももくらいまで。例えるなら、せやな、ギャルな女子高生のスカート丈。わかる?
「んー? まぁねん。ちょっと暑いけど。黒いから熱吸収しちゃうんだよねー。雲ー、もっとでしゃばっちゃって良いんだよー」
「今日はまだ出しゃばってる方ちゃう?」
あっちこっちあんで。何か、鱗雲みたいなうっすい奴もぶわーって広がってるし。
「いやいや、日本で雲量が八割以下なら晴れですからー。っつってもこれじゃ四割も無いだろうけど。せいぜい二割三割……ま、あたしも専門家じゃないからね、合ってるかわかんないんだけど」
「……えーっと。ウンリョウって何?」
「雲の量と書きます」
あ。まんまか。要するに雲の量な。はいはい。
「あー、入道雲来てほしいなー。入道雲じゃなくてもいいから、分厚い奴来てほしいなー。あたし帽子嫌いなんだよね」
「ほんならそのキャップ取れよ」
なんでそれも黒いねんって突っ込みは似合うからやめとこ。何か、こめかみあたりから生えた角がちょうど帽子押さえてる感じになってる。風吹いても安心やな!
「取りたいから雲来てーって言ってんのー」
あ。ま、まぁえぇやん、似合うとるで。いや別に面白がっとるんと違うから。ほんまに似合うとるだけやから。えぇなー、美人は何着ても似合うなぁ。羨ましわ。
「てか、なんでそんな顔隠すん?」
「そんな聞き方されたら、指名手配犯にでもなったかのような気分になるんだけど⁉」
え、なんで?
「別に顔隠してるんじゃないから、極力直射日光浴び無いようにしてるだけだから! ん、あれ? 直射日光浴びせちゃダメって言ったら金魚やメダカ思い出すなぁ……」
うん、この人の考えること分からんわ! 話飛びすぎやろ! なんで顔隠す事から指名手配犯や金魚メダカが出て来るん⁉
「あー、あとドラキュラの弱点の一つだったよなぁ……アレあたし等ドラキュラ? いやいや。違うから。逆逆。あたしら逆。んっとね、ほらあれよ。あたし等さ、太陽浴びたら暴れたくなっちゃう性分なのよ。いや植物じゃないけど」
うん全然わかんけど。
「えーっと、動きたくなるって言うか。荒ぶりたくなるって言うか。破壊衝動って言うか」
「物騒やな‼」
「でしょー?」
「いや『でしょー?』ちゃうやろ! 呑気か!」
「うん」
うわぁすっげー気持ちいい返事されたー。
「ま、そういうことで太陽から逃げています」
「我慢しろよそんくらい!」
「先祖代々コレなのよー。つらたーん」
「ぜんっぜん辛そうちゃうけどな」
「まね。慣れたし。でもそうだなー、最近全然暴れてないからなー。後半月溜めるか、一回落ち着いておくかどっちの方が良いかなぁ」
いや知らんけど。
あれちゃう? 思い込みちゃう? とか、思ったけど、相手妖怪さんやし分からんか。ホンマやったら危険やし、こっそり離れとこ。
「あ、ばいばーい。また今度?」
……即ばれたわ。




