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15日 喰いしばれ

「いってきまーす」

 うん、皆寝てはるけどな。いてらーみつ姉。あれ、みつ姉で合ってるよな? ミツバさんやんな? ヨツバとかフタバとかそんなん違うよな? 葉っぱ三枚やんな?

 あ、目ぇ合った。なんやちょいちょい目ぇ合うねんな、良く考えたら昨日から。ほんでちょっと顔しかめられんねんな。……自分で言っといてなんや傷ついたわ。

「どうしたの?」

「んや、なんでも」

 えー、現在、一昨日会うたコトネちゃん(名前は再会した時に聞き直したから間違いない)に、町案内してるとこ。言うて、この町店も少ないし知り合いん家周ってるようなもんやけどな。ま、少なくとも、アパートの幽霊見えるお兄ちゃん姉ちゃん所は案内しといたらんとな。あの人ら優しいし。地味に賢いし。頼れるし。あんま頼った記憶ないけど。あれ、忘れてるだけ?

 んーと、とりあ小学校高校神社はそれぞれ近いところにあるから紹介したし、アパートの変人とコウチ家も近いからまとめて紹介したし、コンビニも一応紹介したし……。うん、まあ、使わへんけども。スーパーも紹介したよな、これも使わへんけど。そんでこの、昨日見つけた家やろ。カヤちゃん家やろ。

「ねえ、レイちゃん」

「んー? ちょー待ってな、次行くところ探してるんやけど……」

「中学校は?」

「あ」

 忘れてた。

 せや、中学だけやたら遠いところにあんねん。

 いや、それより先にダイ爺紹介し忘れてたわ。

「カヤちゃん覚えといてダイ爺忘れるとか。やっぱ可愛い女の子は強いな、うん。ミヤビとかチーニルとか猫も紹介しといてダイ爺忘れるとか、やっぱ可愛いモン最強やわ」

 って、中学校まで飛んできて、ダイ爺に言うといた。

「……よぉしレイ、歯ぁ喰いしばれ」

「いたいたいたいたいたい!」

「いやまだ何にもしてねぇだろが‼」

「あれ?」

「とりあ、顔面にボールぶつけてやるから待ってろ」

「あかんでコトネちゃん、こんな大人になったら」

「もう大人にはなれないから……」

 あ。そうやった。なんかごめん。

「その子は?」

「コトネちゃん」

 すっと肩に手ぇ置いたら、意外とでかかった。あれ、ちょ、胸辺りに頭あるの想像しててんけど。さすがにそれじゃ小さすぎるか。いくつなんか聞いてないけど。

「いや名前はさっき聞いたけど。その子どうかしたのかよ?」

「んー、とな、色々あってん! なんやかんやでこの町来たばっかやの。せやから案内しててん」

「お前にできるかぁ?」

「何やねん」

「だってお前最近、すぐ何か忘れるだろ」

「え? たとえば?」

「俺の誕生日いつだ」

「知らんがな‼ 聞いた覚えもないわ!」

 ほんで興味もないわ!

「9月30日でしょう?」

「あれっ? 俺お前に言った?」

「ううん。昨日、たまたま喋ってるのを聞いたの」

「……うち昨日はお前と会うてへんぞ」

「あ、んじゃ別の奴に言ったんだ」

「お前も記憶あやふややないか! そんなんで人の事言うな!」

「あれー、俺お前の事なんかいったっけー、記憶にないなー」

 よぉしダイ爺。歯ァ喰いしばれ。

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