6日 オカシイアパート
「あ、やば、五時じゃん。急がなきゃ遅刻コースだコレ」
「え? 自分寝てへんやん。どこ行くん?」
「あー、何だろこの、オカンが家に居るような感じ。おかしいな、相手十四のガキなのにな」
誰がオカンでガキやねん。どっちやねん!
アパートのお兄ちゃん姉ちゃんの隣ん家の人、なんやかんやでずっと話しててんか。まあ、正確には勉強しながらやったから、ついでに部屋漁ったり探検したりもしてたけど。ほんでま、そしたらな? 途中から何か完全ガキ扱いやねんか。さっきオカンとか言われたけど基本ガキ扱いやねんか。本人曰く『さすがにそこまでストライクゾーン広くない』らしいけど。いや、うちもこの人……コウって人なんやけど、そのストライクゾーンには入りたないわ。だってコウ兄変やもん。あ、や、変態やもん。
「バイトだよ。風呂入ったりなんたりしなきゃって」
入ってへんのかい。あ、そか、うちずっと居たもんな。
「ふーん、いてら」
「もうちょっと可愛く言えね?」
「無理」
やったことないし。やる気も無いし。うちはカッコいいの方がえぇもん! カッコいい言われる方がうれしいもん! 学ラン着てるしな、ドヤァ。イケメンやろ、わからんか。この人声しか聞こえへんて、残念やなぁ。
……そんで、うちどうしよ。もうついでやし、コウ兄ん家の隣も見て行こ。言うて、まだ五時やしな。起きてへんかもしれんけど。
うん、ほら、真っ暗やん。寝てはるやん。部屋の真ん中に布団敷いてあるし。寝てはるし。
「ぶぅーん、それゆけべびーかー……」
うん、まあ、うん。寝言謎いけど。それゆけベビーカーて。ベビーカーにそれゆけさせたらアカンやろ。乗ってる赤ちゃん偉いことなるやん。
「きゃぁっはーふぅうーっふふふふふふふふ」
………………怖いわッ‼ やめろ笑うな怖い言うねんお願いやめろぉおおおおお‼
叫びながらその隣。こっちは……おっきいおっさんがアニメ見てた。何のアニメや。てか、こんな時間にアニメとかやってるか? ……いやー、さすがにな? こんな、顔がアンパンなヒーローの語、こんな時間にやってるとは思えへんねんか。てか自分何見とん⁉ いくつ⁉ 大人も好きなんやな、このアニメ!
……あれ、この隣は外か。……どうしよー、ここ二階やったから、一階部分にまだ四部屋あんねんけど……まだ見てみる? どっかの家から目覚ましの音聞こえるで? ちょうど寝起きの誰かさんが見れるで? 誰得やねん。いや別にノリ突込みはいらんくて。
んー……ちょっと、さらっと、流し見してこか。
一部屋目。何もなかった。まさかの空き部屋。いきなり心折れるわぁ。やめてぇな。
二部屋目。目覚ましの部屋やった。長い金髪のおねーさんがのそのそ起きて、のそのそ立ち上がって、のそのそフライパンと卵手に取って、フライパンに水と卵入れて、ゆで卵つくり始めた。
……あれ? 何か違うやろ。何かが違うやろ。
三部屋目。本と漫画だらけの部屋。本で作ったベッドの上で小さいおじさんがいびきかいてた。大の字なってるせいで足ベッドから落ちてんで。なんでそんなややこしい場所で寝てんのこの人。
最後の部屋。同じくらいの背丈の女の人が、背中合わせで胡坐かいて、お互いに寄りかかりながら寝てた。え、なんでそんなややこい寝方してんの? なんで倒れへんの? って、疑問に思ったそばから倒れんなし。
……ああ。総合して、オカシイねんな。




