30日 懐かしのアレ
「ねぇねぇねぇ! これやってみたいの!」
「……ん? 何コレ。実験か? 理科の?」
「氷を溶かして、最後には空気にするの!」
「空気にゃなんねぇよ」
『え?』
って、あ、うちも一緒に驚いたらあかんやん。うち中学生やったもん! 氷溶かして気体にする実験くらいやったはずやもん! あれ? 水って最後何になるんやった? 空気ちゃうねんな、えっとー?
あ、水蒸気や。
「これ何て読むのー?」
「水蒸気」
お、合うてた。良かったー。……って、安心するって、ひょっとしてレベル低い? うちちょっとレベル低い?
「ジーくん、物知りなの!」
歌歌ってばっかなんとちゃうかってんな! ……着物なんでなん。ほんま、なんで着物なん。外国人みたいな顔してるだけに、なんや観光に来て着物ではしゃいで結局はぐれる感じに見える。
「えっとー、鉄の、三角のやつと~、足持ってこればよかった」
あぁ、あれな。下にアルコールランプとか置いて。ほんで熱して。って感じのやつな。
「それから、エタノールランプも居るの!」
「アルコールな」
「………………似たようなものなの!」
「いや確かに似とるけどやな」
「エタノールは、ランプの中に居れたりしてるけど」
おお、フォローありがとぉな。ジーくん? やった? えぇこやな自分。いつかなでなでしたろかいな。
「ほんで、なんで急に理科の実験なん」
「この御本が落ちてたの~。マリーさん、御本好きなの」
マジか。本落ちてくるって、それ絶対上誰かがが落としたやつやん。今頃ちょっと探してたらいややな。どんまいすぎるわ。ま、本言うても古そうな理科の教科書やけど。さすがにもう使ってはれへんわ。
「で! マリーさんこれやりたいの! でも、これ、どこにあるの……?」
「道具か? こんなん皆学校にあるわ。小学校とか。むしろこれ、小学校でやるもんやし」
あれ、ちょ、マリーちゃーん? なんで急に走り出すのーん? まだお昼やで、まさかお昼間っから怪奇現象起こそうとしてるわけちゃうやんね。あ、帰ってきた。
「小学校の……どこなの~……?」
「はいはいよしよし、一緒に行こうな」
理科室さえ見つかったらたぶんすぐ見つかるわ。
「ジー君も一緒にやるの! 面白そうでしょ?」
「……俺ぁパス。氷が水になったり水蒸気になったりなんてぇのは、日常茶飯事」
うん、まぁ、せやな。ドライな自分。怖いやん。もうちょっと優しい言葉使ったげて。あいてマリーちゃんやで。子供やで。
「ねぇ、レイ兄様」
「ん?」
「アルコールランプって、飲めるの?」
……………………うわ、知らんとか言いたない。あれ? アルコールランプの中身って何やっけ、飲んだらあかんのは分かってんねんけど。えーっと。




