29日 霊は見ていた
「レーイーツェールーさーんっ」
お菓子ちょーだーっい。一か月早いけどトリックオアトリート! まぁな、もうカボチャのランタン置いてある店とかいっぱいあるしな! ……日本人気ぃ早ない? え、普通こんなもん? いや、せめてハロウィンは十月入ってからやろうや。ハロウィンって、十月の三十一日やろ? 十月の最期で、二、四、六、九、十一、の中に十が入ってへんから、三十一日まであるもんな。『にしむくさむらい』って、三十一日無い月なんやって。めぇえっちゃ小さい頃に知ったんやけど、誰が教えてくれたんやったかな。ほんで、なんで十一が侍なんやろ、コレ。
「あれ、レイツェルさーん?」
ぶつぶつ考えてたのはどっか置いといて、レイツェルさんどこ居はるんやろ。前お茶飲んでたのが木漏れ日差してるこの辺やから、近くには居るんとちゃうかなー、って、単純思考で思ってんけど。
『こんな感じですかねー』
『ええ……。あ、そこを少し直していただけますか? 【・・・】の部分を【・・・・・】という具合に』
『はいっ、こうですか?』
『そうですそうです。……スキルは高いのに、もったいないことですわね』
『魔法使いのくせして馬鹿なのは知ってますハイ、ちょっと凹んでいいですか』
『いいえ、まだ続きがありますの。その反対側の部分も直した方が良いですわ。少々荒いので。それから、こちらの裏部分を回収しきれていらっしゃいませんので、それも付け加えていただけますか?』
『うわ、ほんとだ。……これだから無駄が多いって言われるんだ……』
……急がしそやなぁ。謎い言葉めっちゃ使わはるやん。一部完全に分かれへん言葉あったで。
なぁなぁ、この人らさ、誰かが掘った穴ん中に入って、チョークみたいな何かで変な模様いっぱい書いてはんねんか。あ、ごめん、レイツェルさんは指示出してるだけやったわ。うん、男の人。リオン? やっけ? その人が描いてはんねん。で、その模様がさ、どう見ても魔法陣やねん。……いやま、魔法使いらしいし魔法陣まではえぇけどさ。なんでな、その魔法陣光ってんの? なんでそのチョークみたいななにかも光ってんの? っていうか、二人の足元に転がってる、光るとげとげ何⁉ 宝石みたいなそれ何⁉ めっちゃ綺麗やけど、綺麗やけど異世界感漂わせすぎやろコレ。
『うぃっす、魔力結晶の追加‼ あれ、レイツェルおばさん、今日、菓子は?』
『少々急がなければならないようですから、今日はお休みですの』
『えぇええええ‼ んじゃ俺、何しに来たんだよ‼』
『それを運ぶために来たのでしょう?』
ギア? やっけ? その光るとげとげどっから持って来たん。
『チェッ、ド畜生』
……え、ちょ、木、凹んだ? え? 自分どこ行くん? あっという間に跳んで走ってどっか行ってもた。
『また、あの子はどこかの争いに飛び込んでいくのでしょうか』
『…………好きだね、ジンの周りは、そういうのが』
『この道も、何のために作っているのかご存知ですか?』
『そりゃもちろん。うちは、隠し事嫌いなんだ』
『知っていて、仕事だからやるのですか?』
『まぁね……。俺も自分の身が可愛いから』
は? え? 何? この洞穴、道になるん? この人らトンネル作ってんの? ……魔法使って? アホちゃう?
『結局皆、自己中なんだよなぁ……』




