28日 実験台のその意味は
「……お菓子だと?」
「うん、お菓子。めっちゃうまかってんでー、えぇやろ!」
「……おまけにお茶だと?」
「うん。こっちも美味しかったでぇ」
どやっ! 別にうちが淹れたんとちゃうけど。
「……しかも美人と」
「うん、それは言うてへんけどな。まぁ美人さんやったけど」
「……しかも、ちゃんと、腹ん中に入る⁉」
「せやねん!」
「何だそれ羨ましすぎるだろぉおおおおおお‼」
おぉう、そんな急に叫ばんといてぇや。そらな、羨ましいのはわかるで。うちも昨日のうちがめっちゃ羨ましいもん。ああ、昨日に戻りたいーって、あ、レイツェルさん所行きゃえぇ話やん。
「で、ダイ爺はどれが羨ましかったん?」
「あん?」
「お菓子か、お茶か、美人さんか、お腹に入ることか、えーっと……あ、こんだけか」
「とりあえず全部だな」
「贅沢か」
「お前それ昨日全部やったんだろうがぁあああああ‼」
「そんな叫ぶなて! びっくりするやん!」
「あぁくそ、俺、レイに生まれたかった」
「今、自分霊やん」
「上手く言ったつもりかそれ」
え、うん。うち的に。自分の名前にかけるのって、なんやちょっと恥ずいな。ごめん、ちょっと忘れといて。
「あ~っ、レイちゃんだ~。そっちはお友達かなぁ、今暇~?」
「まぁ、時間はいくらでもあるやんねー」
「……レイ、この可愛い子知り合い?」
「ん? まぁ」
シルのー……何やったっけ? 知り合い? 友達? 仕事仲間? ごめん、忘れたわ。
「え~っと、ダイくんかな? シルから話聞いてるよ~」
「え? シルの知り合い?」
え? ダイ爺、シルと知り合いやったん?
「シルの妹、ヒルデガートで~す。ヒアでいいよ、よろしくね~」
妹かい。知り合いでも友達でもどれでもなかったわ。
「あ、あぁども、よろしく」
「それでね~、ちょっと実験台、じゃなくて、モニターになってほしいんだけどね~?」
いや、今自分実験台ってハッキリ言うたよな。もう実験台としてしか見てへんよな絶対。
「はい、これ。良ければどうぞ~。美味しいかどうか分からないんだけど……」
「……開けて良いか?」
「どうぞ~。ジンとは違うお兄ちゃんがもうすぐ誕生日だからね、たまには何かあげようかな~って」
えらっ。『実験台』とか言うてるくせして、めっちゃえぇ子やん。『実験台』とか言うてるくせに。
「ヒアさん、コレ何スか」
「爆弾おにぎり」
あ、ごめん。前言撤回。全力で撤回。この子怖い。
「何かお兄さんに恨みでも」
「無いよ~。いつもの事だから、気にしないで食べてみて~?」
「いや気にするやろ‼ ダイ爺吹っ飛ばす気か‼」
「ちょっと爆薬の効き方を試したくて~」
「実験台ですまへんやんけ!」
「実験台はね~……壊れてナンボなんだよ!」
「アカンアカンアカン‼ 幽霊かて道具ちゃうねんから! 自分ちょっと精神科行って来い!」
見た目に対してヤバいわ、この子。……なぁ、ダイ爺、ちょっと、逃げへん?
「あら~、ざんね~ん」
普通に怖いしさ。




