27日 安らかに静かに
あれ、何やろ。うち、絵画の世界にでも入り込んだか?
「……あら、ごきげんよう。よろしければ、ご一緒しませんか?」
いやあの、うちテーブルマナーとか知らんで? いや、テーブルないけど、それでもその、そんな高そうなカップで飲む紅茶の飲み方とか知らん言うねん。そんな高っそうななドレス来たお嬢様とのお茶の飲み方とか知らんわい。
「ふふ、そんなに硬くならないで。普通に、楽しみましょう?」
お嬢様の普通って何⁉ 普通にどう楽しんだらえぇのん⁉ 精々『お菓子うまー』しか言えへんぞうち! そんな優雅な微笑できひんぞ! ただの変顔にしかなれへんぞ! あ、自分で言うてて悲しなってきた。
「ほら、お菓子もありますわよ」
あれ、何か子供お菓子で釣る感じになってへん?
「魔界で評判の、ディリツモーネというお店から取り寄せましたの」
あ、店の名前持ち出してくる所は大人っぽい。
「魔界の評判に狂いはございませんわ。ためしに召し上がってみてはいかがです?」
そんなん言われたら食べるしか無いやんか! いや、顔笑ってるとか知らんから。頂きまーす! いや別にマナーもうどうでもえぇわとか思ってへんで。でもな、ほら、勧められたら、な?
「い、いただきます‼」
「ふふ、美味しそうに食べますわね」
うちまだ食うてへん。まだ口開けただけ。あむ。お?
「うっま‼」
「でしょう? このお茶もご一緒にどうぞ。とってもよく合いますの」
んー、うち麦茶くらいしか飲まへんかってんけどなぁ。まぁえぇわ。頂きまーす。
「あ、美味い」
ふつーに美味いわ。あ、やば、めっちゃ合うやん。後から味が来た。
「これも、ディリツモーネで販売していますわ。お菓子一種類ごとに、合うお茶をブレンドして一緒に販売されていますの」
え、何その、三時はオールマイティなお店。食器も一緒ちゃうよなまさか。
「このカップやお皿ももちろん、ディリツモーネですわ」
そのまさかやったぁああああ‼ もう完璧やん! 三時に必要なセット一式揃うやん! 完璧やん! いつかテーブルと椅子まで販売しはじめるんちゃう?
「……あれ?」
「どうかなさいました?」
「……うち、お菓子食べれてる」
「ええ」
「お茶飲めた」
「ええ」
「なんで?」
「……ああ、貴方様は幽霊でしたわね。このお菓子は、ディリツモーネ霊界支店のお菓子ですから、幽霊の方にも召し上がっていただくことができるようになっておりますの」
「……なんっも分かれへん……」
「このお菓子とお茶は、特別ということですわ」
あれ、何か今すっごいざっくりしたまとめ方せぇへんかった? 何やねん特別って。いやま、特別なんやろうけど。
「やっぱり、自由が一番ですわね」
「……ん? どしたん?」
「いいえ、なんでも」
……変わった人やな。あ、元からか。
お菓子お変わりしてもえぇかな。




