19日 十五夜なのさ
『…………ぇったー、とーんとーんとってったー、とってっとってっとってったー、おっこねたー、おっこねたー、おっこねおっこねおっこねたー』
え、なに、何の歌? また不気味系童謡? ノリがそんな感じやねんって。ちょぉほんまやめろよ‼ 怖いねんからな! レイちゃんかて怖い物あんねんからな‼
『とっついたー、とっついたー、とっついとっついとっついたー』
取っ憑いた⁉
『シャーンシャーンシャンシャンシャン、シャーンシャーンシャンシャンシャン』
何、何? 鈴の音? 鈴の音、口で言うてんの? 何なん、鈴って言ったら何か神社で使うやつになかったっけ? 怖い怖い怖い。あれ? 神社の物やったら別に大丈夫ちゃう? あかん、もう訳分からんこなってきた。
『とってっとってっとってった!』
お? お、終わった? よかったぁ……
「っしゃーできた!」
え? 何?
「うんうん、できたね良かったねー」
「……なんだよシルさん? 怒ってる?」
「いやー、なんだか、本気で何してるんだろう自分って気持ちになってきた。いや、確かにやるなら今日しかなかっただろうけどさぁー。君今そんな暇なの?」
「休憩時間‼ シルさんもっかいやっちゃいけん?」
……は? 何? 何なん? ちょっと、顔出してみよ。
『十五夜さんのーお餅つきー、とーんとーんとってったー』
…………手遊び歌かぁい‼ なんっも怖ないわ‼ しかも十五夜の歌やん! 十五夜さんってガッツリ言うてるやん!
「おーい、テメェ等‼ 玉売りのお婆から月菓子の差し入れ‼」
『うぉおおおおおおおおお‼』
え、なに今の雄叫び。どっから聞こえて来たんコレ。かなり人居るんちゃうん。
「えっ、月菓子⁉」
「あっ、シルさん! ずれんじゃねぇか!」
「いや、だって、月菓子だよ? 普通反応するよね食べるよね?」
「どんだけ食い意地はってんだ!」
「そこに幽霊ちゃん来てるよ、相手してもらいな。行って来まーす」
『え⁉』
うそん、ばれてた?
「……誰だ?」
「れ、レイでーす」
「幽霊とか、種類とかいう意味じゃなくて。名前だ名前」
「いや、名前が、レイ。ハヤシレイ」
「……………………なんかー、ごめん」
「え、や、別に謝らんでえぇって」
「オイラはチョウだ。えぇっとだな……。シルさんの奴……呼ぶだけ呼んどいて消えやがんだもんよ」
「……ってか、なにがしって?」
「月菓子ー。日本で言やぁ、お月見団子でいいのかねぇ。いやっ、どっちかってーとベビーカステラ。いやいや、それにしちゃ硬ぇから丸いクッキー……? あっ、ぼーろ! ボーロだ‼」
あ、あぁー……うん、何となく想像はついた。要するにあれやろ。お月見団子のサイズの卵ボーロ思い浮かべといたらえぇんやろ? ……でかいボーロって美味いんやろか。あれはやっぱ小さいのを口の中にコロコロ転がすのが一番やと思うねんか。いや、別に気になってへんででかいボーロ。大きさにつられるとかそんな馬鹿な。
「で、自分らは何してたん?」
「日本の手遊び。十五夜さんのーお餅つきー。やろうぜ!」
ごめん、うちそれ知らんねん。
……………………あれ? 今日って、十五夜?




