18日 広い流を
「あー、疲れたー」
「お疲れさーん。何してたんか知らんけど」
「はは……知らなくていいんだよ」
「大丈夫か? おじさん、めっちゃ疲れた顔してるで」
「うん、おじさんもう歳だから。……うん? なんか自分で言ってて違和感あるなぁ……」
知らんがな。自分はまだまだ若いってか! そういうことか!
「おじさんいくつー?」
「いくつに見える?」
……五十! 嘘やで。うーん。パッと見若いねん。一応。でもちょっとおじさんって言いたくなる貫禄? があんねん。あ、落ち着きとも言う。でもやっぱな、しわとかそういう外見を見ると若いねん。んー。
「間を取って三十!」
「はははー、何の間を取ったんだろう」
外したらしいわ。それもでっかく。大きい方向に。
「んっとな、二十と、五十の間」
「あー、それで三十かぁ」
…………あれ?
………………んんんん?
「ねぇヒア。アレは突っ込むところなの? 突っ込み待ってるのかなあの人達。ってことはあたし突っ込んだ方がいいのかしらん」
「放っといて良いんだと思うよ~」
……うん、何か背後から聞こえてくるな。あれ? 計算間違えたかうち。
えっと、小さい方から二十、三十、やろ? ほんで大きい方から五十、四十、三十、ん? えっと、三十一と、三十九と……
「二十たす五十で七十で、七十割る二で三十五だよねぇ」
えっ、何、シルさん。今の何? 何今のめっちゃスマートな解き方。ホンマにそれ真ん中なん?
「……背後からすっごいディスられてる気分」
「ディスってないよ~?」
ディスるって何やねん。おじさん大丈夫かー?
「ほんで、ほんまは何歳なん?」
「二十六かな……」
「でも精神年齢は軽く四十越えてたよねー」
「ね~!」
合うてたやん‼ 別に何も落ち込むこと無いやん! だって事実やもん! ほら、言うやん。外見は中身が現れるとかなんとか。
「そいや、シルとかヒアとかっていくつなん?」
「えー、あたし花の女子高生、十八歳よー?」
「私十九~」
「おかしいやん」
「ヒアー、合わせてよー」
「私は正直者なんだも~ん。シルは本当はね~、二十四歳なんだよ~」
……若くもなくおばはんってほどでもなく。ただ、思ってたより年行ってたな、シル。
「何その微妙な顔」
「別に?」
「そういえばさー、年齢の話で思い出したんだけど、レイツェルって何歳なんだろ。リオ、なんか聞いてない?」
レイツェルって誰や。何か聞いたことはある気がする。ってか、めっちゃお嬢様っぽい名前やな。ヒアの本名も何かすごいご令嬢みたいな感じやった気がする。お金持ちなんかな、やっぱ。
「レイツェルさん……? あの人はすごいよ‼」
お、おぉ? どうしたん? 急に元気になったな自分。
「魔界史上最高の魔術師で、既存の魔法を大幅に改良する他、自らもコストやリスクが少なく効果的な魔法を開発、また、安全にも配慮した超家庭的な魔法、初心者でも簡単に強さが調節できる実用的な魔法式を編み出して魔界に広めた平和を愛するお母さん的魔法使い‼ 今の魔界は彼女が居るからこそ、魔界になったんだよ」
なんか、めっちゃ、語りだした。ヤバいこの人。何? レイツェルさんの事大好きか。
「うん、知ってるよ、うん」
ほんでシルやヒアはこれ知ってるっていうな。なんっやねん、常識なん? 妖怪の常識? うちは幽霊やから関係ない? 関係無いよな。
「加えて、ジンと張り合える戦闘力の持ち主~」
「で、何歳なんだろう」
……めっちゃ、歴史人物みたいな紹介されたくせして生きてはんのやな。あれ? 魔界の人ちゃうん。なんで居んねん。
「ジンが十歳のころからやりあいしてたとか言ってたよね~?」
「でも、見た目そのころから変わってないとか言ってるし」
「歴史に最初に出てきたのは三百年前だし~」
「お祖母さんってレベルの話じゃないよねそれ。何それどゆこと。不老不死の魔法とか薬とかってあった?」
「広まってないだけとか」
……世界は、広い。




