15日 発見しました。愉快なお宅
ほんとに降った。
猫が顔を洗ったら雨が降るってホンマやったんやね。
レイです。意味もなく雨宿りしてます。いや、必要ないけども。雨くらいすり抜けられるけども。でもやっぱ、雨と言えば雨宿りやろ! たくさんある『雨と言えば~』の中にちゃんと入れときや。
てか、うちが今ベランダお借りしてるこのお家大丈夫やろか。お洗濯干しっぱなしやで。濡れるで。いや、もうちょっと濡れてるけど。けっこう激しい雨やからなぁ。
「……あら?」
「ん?」
ようやく出てきはった。若い女の人。大学生くらいかなぁ。
「こんにちはー」
「こんにちはぁ」
女の人はそのまま洗濯物を取り込みにかかって、中にぽいっと放り込む。独り暮らしかな? ……と思ったら男物混じってますよ。二人暮らしか。このアパートボロいのに。
「幽霊って、ベランダが好きなの?」
「いや別に。なんで?」
「実家でもしょっちゅうベランダに来てたから。ここでもよく来るしね。ベランダばっかり」
「そら……単純にベランダが入りやすいだけちゃうん」
外か内かわからんし。ギリギリセーッフ。って感覚?
「どこの人?」
「人ちゃいますー。幽霊ですー」
あいたっ! 殴られた! 姉ちゃん優しそうな顔してなかなかキツイな! いや、今のはうちの口調が悪かったんやけども! そっか、美人は怖いってこういうことか。
「京都からです、すいません」
「どすえって使わないの?」
「いや、ガチでどすえ使ってる人見たことないわ。舞妓はんくらいちゃう?」
「八つ橋っておいしい?」
「チョコ味美味いで」
「清水の舞台から飛び降りた?」
「死ぬわ!」
「死んでるじゃん」
あ、ほんまやん。
「姉ちゃんは?」
「ん?」
「どこの人?」
「他県の人~」
「なんでこっち来たん?」
「大学がこっちだから。車使うけどね」
「ふーん。もっと近いところ住めばえぇやん」
「嫌。高いし、うるさいし。山近いところがいいの。実家もそうだから」
「アレか、狭いところが落ち着く感じか」
「そうそう。お兄ちゃんもそう言ってるの」
……なんや。一緒に住んでるのは兄ちゃんか。
「安くて狭くて山が近いところ。ピッタリでしょ?」
家ん中は外に比べてやったら綺麗やしな。確かにえぇとこっちゃえぇとこっぽい。うちは広い家のほうが好きやけどな! ビバ豪邸。
「それにね、なんだかこの辺、幽霊や妖怪が多くて楽しいじゃない」
「あー……せやなぁ」
ふつう逆ちゃう? 幽霊とか妖怪とか見えてたらうるさくてかなわんやろ。
……あ、そっか、この人普通ちゃうんや。納得。
「まあ、お兄ちゃんはうるさそうにしてるけど」
「お兄ちゃんは普通の人なんやな」
「あらー、どういう意味かしらー?」
「痛だだだだだ! 痛いわっ!」
「でも、静かなよりはずっといいわ。うるさい方が」
「勉強の邪魔ちゃう?」
キョトンとされた。
「おーい、姉ちゃーん?」
「君の口から勉強って言葉が出るのが意外すぎて」
「シバくぞコラ」
いや、まぁ、滅多なことではせぇへんかったけど!
「お兄ちゃーん、不良が来てるのー」
「え、お兄ちゃん居てはんの?」
「ううん、留守」
「なんやねん!」
「でも、そろそろ帰って……」
「ただいま」
「来たわ」
「わかるわ」
ナイスタイミングすぎるやろ。なんやねんお兄ちゃん。テレパシー?
うわ、めっちゃイケメン来た。軽く目が逝っちゃってるけど。そのボケッとした目でうちを見て、
「……不良?」
「誰が不良じゃ!」
訂正は入れるけど、やっぱテレパシーやろ!
「見た目が明らかに……ってか、懐かしいな学ラン。どこの学校?」
「京都だって」
「水中じゃねぇのかよ」
あぁ、出身の中学が学ランやったんやな。いや、どっちにしても不良は無いやろ不良は。着崩してたら全員不良なんか、アンタらの中では!
「ボタンが違うじゃない」
「サクラに『中』って書いてあったら全部水中でファイナルアンサー」
「なんでやねん! それやったら学ランが制服な中学校全部が水中? になってまうやん!」
「……本場の突っ込みだ」
「うち大阪出身違う!」
いや、京都でもないけど。引っ越し多かったから。
「お兄ちゃんなかなかボケはるなぁ」
「……どっちかっていうと突っ込みが多かったんだけどね、家では。疲れてるのかなぁ?」
……アンタん家族はボケと突っ込みで二分できんのか。
「お兄ちゃん、お風呂にする? ご飯にする? 私にする?」
「私にする」
「…………本格的に疲れてるみたい」
なんやねん「私にする」て。
「お兄ちゃん、お風呂にする? ご飯にする?」
「ご飯にする」
「お兄ちゃん、ご飯にする? お風呂にする?」
「お風呂にする」
一番最後に言われた奴をリピートしてるだけやないか!
「お兄ちゃん……」
「お前遊んでるだろ」
「バレた?」
あ、お兄ちゃん意識取り戻した。
「お兄ちゃん何してはったん?」
「バイト」
「バイトでそんな疲れんの?」
「夜間バイトの終わって帰ろうとするとなんか毎回背後に女が居るからそれを撒いてから帰ってくる」
「めんどくさっ! ってか怖っ!」
女の方ちゃうで。兄ちゃんの口調がボソボソ長かってん。それが怖いねん。
「明日はもう捕まえてサツに突き出してやる……」
「なんでもっと早くやらなかったのかなぁ」
「言い訳しても無駄だ……」
いや、言い訳って。
「ザマァ……」
「寝言ね」
「寝言やな」
……レイは、コウチ家の真ん前に愉快なお宅を発見しました。
午後二時に寝て、起きたら午前七時。
……毎日更新はいきなり破れました(´;ω;`)
今日は二本上げることにします。これは昨日の分(ってことにしてあげて!)




