14日 みんなで堀り堀り
……神社の拝殿の裏でさ、うずくまってさ、土掘り返す様子って、めっちゃ怪しいよな。
ってか不審者よな。
何してんねんって突っ込み入るよな。つかうちが入れるわ。うん。やってんの自分やけど。あと、マリーちゃんとかダイ爺とか小っこい妖怪共とか? プラス爺ちゃん。なんや久々に会ったらちょいやつれてたんやけど。神がやつれてるってどうなん。不吉極まりないわ。まぁ今は楽しそうっぽいからえぇけども。
「お芋なの!」
「おー、でかいのとれたなぁ! 取られんように持っとき」
いや、うちは取らへんて。そんな、生のサツマイモとか盗ってもなぁ? 食えへん言うねん。そもそもうち幽霊な。食うてもエネルギーなれへんからな。幽霊なってからも色々食うたけどさ。
「のぁああああ芋折れたぁああああ‼」
「やかましわ!」
「いや、だってよぉレイ。見ろこれ。ぱっくり真っ二つ」
こらまた綺麗にいったな。見事な真っ二つっぷり。ダイ爺、どうやったらそうなったん? どうやったらそうなるん? 断面が謎に綺麗ーな円つくってるやん。いや、それよかさ。
「残り半分は?」
「土ん中だけど」
「掘り出そうや! 絶対コレめっちゃでかい奴やもん!」
「どんだけ食い意地張ってんだお前……」
引くなし。うち食い意地張ってんのちゃうもん!
「もったいないやろ!」
「さーせんっした‼」
なんでダイ爺そんなビビってんの? うちなんかした?
「レイ兄様、これ、おいしくなさそうなの……」
マリーちゃんの持ってるのは、ちょっと虫に食われてる芋。……うん、まぁ、泥だらけやしな。気持ちはわかるで。
「虫ん食われてるところ切って捨てたら食えるで」
「…………でも……」
「あー、ほら、あれやん。虫食われるほど美味いってことやん。虫も食わんような芋と、虫が『美味そー』言うて食いにくる芋やったら、虫来る芋の方が美味そうやん?」
「うーん……」
「あっちぃなぁレイ。ただでさえこの暑ぃのに……」
もうダイ爺結局上脱いでもーとるしな。蚊に刺されんのをえぇことに。それ見てちびっ子妖怪共も上半身肌蹴る言うな。土木作業ちゃうで。芋掘りやで。言うとくけど。
「おっ、どや! 綺麗に採れたで‼」
一番上から根っこの先っちょまで‼ ドヤこの綺麗さ! 手のひらサイズのめちゃくちゃ小さい奴やけど‼ ……ドヤ顔するほどの事違うってか。ほっとけ。
「取れた」
「すっげぇ! ジュジュのでけー‼」
「へへ……ふふんっ」
可愛ッ‼ 小っちゃい子が照れくさそうに胸張るとか。やめろジュジュ。うちが悶え死ぬ。あ、もう死んでたわぁ。でももっかい死ぬ。あ、向こうの方でエンドウさんが軽く悶えてるわ。何してはんのあの人。
よっしゃ、芋掘り続行! もっとでかいの見つけたんねん。
「み、皆さん、お芋の蔓の炒め物できましたよー……!」
「おお、ミキ。うむぅ、旨そうだが、今皆して手が泥だらけでなぁ……」
「あ、大丈夫です! 長いお箸ありますし……。子どもたちならお箸使いまわしても大丈夫でしょうし、神様にはもう一善ございますので」
あれ、うちとダイ爺も『子どもたち』に分類されんの? それとも幽霊は食べへん方向?
「おねーちゃん、僕食べたい!」
「おいらもぉ!」
「あたいもー!」
「順番に、一人ずつね。はい、あーん」
ぬ、聞き損ねた。……ま、えぇわ。また掘っとこ。
穴掘るのにハマりそうなん、うちだけ?




