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041 【器物】船、【器物】護符
「……何故、こんなところにこれが?」
旅人が、帆柱に張られた紙片の前で立ち止まった。近くを通りがかった水夫が、上機嫌そうな顔で答えた。
「そいつぁ、俺らの親分が東の国で貰ったお守りでさぁ」
「へぇ」
「なかなか綺麗だろう? 結構な値がしたらしいけど、これで厄を祓ってくれるんなら御の字ってやつよ」
「そうですか、ありがとう」
男は、おうよ、と返事しながら去る。その背を見送ってから、もう一度、件の紙を見た。
(……これって、確か……)
方々を旅してまわっている彼は、異国の品々にも詳しい。今、眼前にあるこれの模様にも、見覚えがあった。確かに、幸運を願うためのものに違いない。しかし、記憶が正しければ、これは。
「……安産祈願、だよな……」
騙されたのか、言葉が通じなかったのか、それとも単純に間違えたか。理由は分からないが、いずれにしても旅行安全などの類ではない。教えておこうかとも思ったが、結局、そのまま客室に引っ込んだ。そして港に着くまで、誰にも喋らなかった。
乗組員の明るい顔が、脳裏から離れなかったからだ。
(信心深い海の男を、わざわざがっかりさせることもない。全幅の信頼を寄せられるのなら、それが何であれ、最高の魔除けになるだろうしな)




