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029 【人物】高校生、【行為】肯定
高校の同級生に、事あるごとに異を唱える男子がいた。文化祭の催し物を決める時や修学旅行の観光ルートを話し合う時も、案の一つ一つに食ってかかるのだ。
「それは正しいのかな」
「もっといいものはない?」
「それじゃあ駄目だと思う」
煙たげられる存在だったのは言うまでもない。だが心底嫌っている人は、存外、少なかった。頭ごなしに否定しなかったからだろう。前述した文句の後は、必ず次のように続いた。
「こういう点を見逃しているようだけど」
「例えば、こんな方法もあるよ」
「手段と目的が区別しきれていないから、半端な結果にしかならないって」
結果として話し合いは上手くまとまる。そういう点でも、一目置かれる男だった。
そんな彼に、同窓会で再会した。聞くところによると、就職してからも根は変わっていないという。
「まあ、あの時ほどはっきり言うわけでもないけどな」
「そりゃ、あんなバッサリ否定しまくりじゃあ、上手くいくわけないわよね」
そう言うと、それは違うな、とはっきり言われた。切れの良さは少しも曇っていない。
「ただ否定するだけじゃないよ。最終的に肯定するために、まず否定から入るのさ。高校生だった時から、それだけは変わらないぞ」




