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019 【作風】ラブコメ、【肉体】骨

 昔の日記を読み返す。中学二年の春から付け始めたものだ。頁を捲りながら、頬がほんのり熱くなるのを感じる。

 入学式でとある男子に一目惚れしたこと。隣の席になって舞い上がったこと。それを友達にからかわれたこと。その後、背中を押されてデートに誘えたこと。何もかもが懐かしい。

 図書室で一緒に勉強中、英単語も数学の公式もまるで頭に入らなかったという嬉しい悲鳴に、我がことながら笑えてしまう。映画館で何気なく言った一言から発展した大喧嘩のことを思い出し、胸がちくりと傷んだ。しばらく続いたぎこちない日々と、仲直りの抱擁の温かさは、今でもしっかりと覚えている。

(ほんと、ベッタベタなラブコメみたい)

 修学旅行先で撮った記念写真も挟まっていた。旅館の前でお互い恥ずかしそうに腕を組んでいる。じっと眺めていた時、背後から名前を呼ばれた。

「……あれ、こんなところにいたの?」

 学生服を着た、十五か十六ほどの少女だった。

「みんな探していたけど、何してたの?」

「ちょっとね、思い出に耽っていたんだよ。私と、おじいちゃんの」

 そう言いながら、老婆は傍らに置いてある骨壷に、皺の浮いた手を置いた。昨日、納骨されたばかりである。

 側面に、遺影が貼られている。

 角ばった笑顔に、中学生時代の写真の面影が残っていた。

「あ……、お邪魔しちゃったかな」

 少女が気まずそうな顔をする。その頭を、そっと撫でた。

「大丈夫だよ」

「ほんとに?」

「おじいちゃんはもう、骨しか残ってないけどね。おじいちゃんとの、甘酸っぱくて優しい思い出は、おばあちゃんの胸の中で生き続けるんだよ」

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