018 【作風】ほのぼの、【器物】サイコロ
くまさんの人形とうさぎさんの人形が、交互にサイコロを振っています。どちらが大きな目を出せるのか、比べっこしているようですね。
「お、6だ。これはボクの勝ちかな?」
「いやいや、まだ私にもチャンスはあるよ!」
うさぎさんの言う通りでした。出た目は6で、引き分け。そして次の勝負で、見事くまさんを上回る数字を出すのでした。
「ほらね、やっぱ私って運がいい!」
「うーん、やられたなあ」
わはは、わははと笑います。けれど、どちらからともなく、黙り込んでしまいました。
「……やっぱり、ボクたちだけだと面白くないね」
「……そうだね」
彼らの持ち主である美加ちゃんは、まだ小学校にいます。人気のない子ども部屋は、暇で暇で仕方がありませんでした。適当な遊びで時間を潰そうかと思い立ちましたが、どうにも盛り上がりません。がっくり、と肩を落としました。
そんな時です。玄関が開く音と共に、ただいまー、という声が聞こえました。ブルーな気分は、一瞬で吹き飛びました。
「帰ってきた!」
「美加ちゃんが帰ってきたんだ!」
手を叩いて喜びあいます。けれどそれも、子ども部屋の扉が開くまでです。ランドセルを背負った美加ちゃんが見たのは、くまさん人形とうさぎさん人形が床に転がっている光景でした。
「たっだいまー、くまちゃんうさちゃん!」
勿論、返事はできません。おもちゃだからです。わいわいとお話ができるのは、人間の目が届いていない時だけ。
だけど、ちっとも寂しくないんですよ。二人よりも三人の方が、賑やかなんですから。
「今日はねー、双六をして遊ぼっか! それじゃあサイコロ振るね。――えいっ」




