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011 【人物】先輩/後輩、【器物】薬
「先輩、お薬買ってきましたよー」
大学の後輩の女子が、お盆片手に部屋に入ってきた。病気で寝込んでいた男は、ベッドの上で上体を起こした。
「ありがとうな。お陰様で、だんだんよくなってきてるよ」
「効いてきたんですね」
「そりゃもう」
錠剤と水を受け取る。ごくりと飲み干してから、続きを言った。
「可愛い女の子が看病してくれているんだ、これで治らない男子はいないだろうな」
しばらく沈黙が流れる。後輩は目線を泳がせながら、薬とコップを運んできたお盆で顔の下半分を隠す。
「……うわあ、臭い台詞。先輩ってもしかしてアレですか、ロリコンってやつですか」
いつもより早口になっていた。
「二つ違いでロリコンはないだろう」
咳を一つ挟んで、続けた。
「それに、ロリコンも恋心も大して違いはないさ」
「その心は?」
「治す薬なんてない、なんてな」
ぱちりとウィンクしてやる。後輩の赤く染まる顔は、すぐにお盆に遮られ、見えなくなった。




