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赤ルア(テスト用)  作者: あせこ
四日目
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12-3 妨害者の狙いは?



 目的地の屋敷への石段が延々と蛇行する。

 ガシャガシャと一定間隔で金属音を響かせていた足音が急に途絶える。

 グリーヴで身を固められた大きな足が石段に深く沈みこんでいた。

「くっ、ゴメン踏んじゃった!」

「はいはい、かしこまりーっ!」

 仕掛けを踏んでしまったロイが叫び、素早くリルドナが迎撃へと対応する。

 彼女はロイから離れた位置に立っていたが、そこは信頼と安心のノラネコ的アクティブモーションで一足飛びで一気に間合いを詰め、そのまま空中で大太刀を構える。

 そして飛来する魔法弾を一閃し、今度はロイの肩へと着地する。

「ゴメンね、

 はしたないことはわかってるんだけど、迂闊にそこへ着地したくないの」

「うん、リルちゃん軽いから大丈夫だよ」

 なるほど、他人の肩へ着地するのにも意味はあったんだな。

 いくらこの女が軽量といっても、俺は乗られて支えられる自信はない。

 先に釘を刺しておこう。

「おい。頼むから俺には乗るなよ?」

「はぁ?」

 何故か睨まれた。

「――しないわよっ!バカ」

「な、なんで怒るんだよ……?」

 リルドナは太刀を持っていない右腕で胸を庇うようなポーズをとり、顔を真っ赤にしながらジトりとさらに睨みつけてくる。

 そしてポツリと呟いた。

「――――――――――――――――――――――――――――アンタには二回も……されたからね」

 彼女には珍しく、蚊の鳴くような小さな声だったので上手く聞き取れなかった。

「え……なんだって?」

「な、なんでもないわよっ!ネコ踏んで死ねば?」

「……なんで俺が怒られるんだよ……」

 俺は何故か顔を赤くしたリルドナの一方的な罵声に首を捻らざるを得ないのだった。

 何か言い返したいところだが、余計に拗れてしまいそうなので口を紡ぐしかなさそうだった。

 

「ふむ、お嬢さん。

 こちらは私がカバーする、任せて貰って構わんよ」


 顔は前を見据えたままのブルーノがそう告げた。

 その意見に他者も追従する、

「んだな、ねーちゃんはチョット頑張りすぎだ」

 ――頑張りすぎ。

 ゼルの言う通りリルドナは一人でほぼ全員の迎撃フォローをしていた。

 いくら魔力を吸収する魔法剣を使って常に魔力を補給してるとはいえ、それを振り回す体力の方は確実に消耗する。

 分担できることは分担すべきなのだ。

 リルドナを肩に乗せたまま、ロイが申し訳無さそうに言った。

「ボクも何か手助けできることがあったら良かったんだけどね」

 それは他の人間もそうだったのだろう。

 誰も何も言わなかった。


「よし、この調子で登りきるぞ」


 ブルーノの言葉に再び一団は石段を登り始める。

 その後、誰もが仕掛けを踏み、罠を作動させてはリルドナやブルーノの世話になった。

 罠を踏んでいないのはルーヴィックくらいのモノで、皆揃いも揃って罠を作動させている。

 もう、誰がどれだけドジを踏んだとか、そういうレベルの話はとっくに超越している。

 だからお互い責めるようなことは言わないし、その気配すら見せずに一心に登っていく。

 見上げる頂上の景色はすっかり変貌してしまって、先程からこちらへ砲撃してきた鉄柱がズラリと並んでいた。

 仕掛け一つに対して一本という割合ではないが、散々仕掛けを作動させてしまい、その数はゆうに両手の指では数え切れないほどになっている。

 不意にその鉄柱が新しく一本生えた(・・・・・)

 ちっ!という舌打ちに目を向ければ、苦虫を潰したような顔をしたゼルがいた。

「またやっちまった!」

「構わん、私に任せろ」

 そう言うや否や、ブルーノはゼルと場所を入れ替わる。

 数瞬遅れて飛来した魔法弾を『赤い剣の鞘』で斬り払った。

 淡い光を放ちながら魔法弾は霧散する。

「ふぅ……面目ねーっす」

「ふむ、気にするな」

 もう何度と繰り返し、何度と見た光景。

 幸いなことに一度たりとも魔法弾が着弾したことはなかった。

 果たしてこの仕掛けを構築した人物はどういう狙いだったのだろう?

 不可解な作動から発動までの猶予。

 何故こんな回りくどい罠にするのだろう?

 思考を盤面の相手側から見つめ直――

 ―――――――――――――――――――――せなかった。


「なぁ、ロイ。アレ壊せねーか?」

「どうかな、やってみるよ。

 ――――この憎たらしい鉄柱め!」


 そんな会話が聞こえた気がした。

 何を壊す?

 それはあの鉄柱なような仕掛けだろうか。

 確かにロイのもつマスケット銃ならば、その大口径な弾丸の質量と速度で相当な衝突力があるだろう。

 あんなあからさまに聳え立つ鉄柱だ、邪魔なら壊そうという発想には至るだろう。

 それは、ごく自然な思考の到達だ。


(……ごく自然な?)


 どうして自然なんだ?

 モノがあれば壊すのが自然な発想なのか?

 なんでそうなる?

 ……。

 …。

 嫌な予感がした。


「ロイさん待ってください!」

「えっ?」


 一瞬、素っ頓狂な声を上げたが、ロイは構わず発砲。

 雷鳴のような轟音を響かせ、マスケット銃が火を噴いた。

 吸い込まれるように弾丸は鉄柱に見事命中、ガゴン!と鈍い音を立てて弾かれる。

「あっちゃ、随分と頑丈だね」

 ロイは壊せなかったのは、まぁ仕方ないか。という程度にしか思って居なかったに違いない。

 だから、その直後に鉄柱に赤い光点が灯り、周囲の鉄柱も連動して点灯しだしたことに頭が回らなかった。


「ロイさん伏せて!」

「うぁっ!?」


 俺はロイに体当たりをし、そのまま二人とも倒れこむ。

 首だけ動かし、辛うじてソレが見えた。


 ――――ロイ目掛けて、鉄柱が魔法弾を一斉掃射したのを。




母譲りの髪量の多さで、毎回髪をすかなければ(・・・・・・)、夏を乗り越えられないあせこさんです、こんばんは。

はい、そうです。思い切ってバッサリ髪を切りましたヨ。

ちなみに父親の血が濃い兄と妹はそんなこと無いのです――てこの話題はいいですね。

12-1~3はどうにも歯切れが悪くてこんな形となってしまいました、文字数もなんか半端ですし。

いつまで登ってるんだよ!と言われそうですね。12-4で石段登りシリーズ(何だそれは……)を終わらせたいトコロです。

屋敷の本館ではもう何ヶ月も前から考案してた『彼女』がついに出番を貰えるというのに……進まない!

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