4-1 補助輪な姉に感謝です
■赤き少年と呪われた騎士
むかしむかし。
この街には代々続く領主の家がありました。
しかし、真っ先にその家は黒き魔王の餌食となりました。
生き残った少年は、呪われた自分の人生を嘆きました。
青の魔道師は、不憫に思い、彼を自らの屋敷に招き入れました。
少年は青の魔道師より知恵を授けました。
少年は白銀の姫より剣を授かりました。
少年は戦場を駆け、
横切る敵兵を倒し、
迫り来る戦車を避け、
敵陣に深く切り込み、
ついには呪われた騎士を打ち破りました。
その功績から栄誉得ました。
後に少年は赤の騎士とも赤の勇者とも呼ばれるようになりました。
勇者は魔王の手下を次々と討ち取りました。
あまりにも多くの敵を討ち取った為、
いつしか呪いにその身を侵されました。
呪われてしまった勇者は、
赤き魔王の前に倒れ、
親友を失い。
授かった剣を失い。
そして白銀の姫とも引き裂かれてしまいました。
おいたわしやおいたわしや。
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夕焼けに染まる森。
その中を歩く四つの長い影。
その内のひとつはとても歩みが重かった。
「ず、随分と転落人生なんだ…な」
「はい…悲しいお話です」
律儀に感想を述べながら、背中に掛かる荷重に息を切らせる。
涼しげな秋の夕焼けの中にも関わらず、すっかり汗だくだ。
俺が背負っているのは、先程の獲物である大猪だ。
「ほら、危ないからもう本閉じて、ちゃんと前見なさいよ?」
「もうっ姉さん、わたしはそんなにドジじゃありませ――にゅ?!」
ガシっと咄嗟にリルドナが手で止める。
さすがはミス・ハイスペックだ。
リウェンがバランスを崩した、その瞬間には手が出ている。
そして、もう片方の手には折りたたまれた布の塊。
俺のコートだ、さすがに上だけは脱いだ。
ちなみに、お話を読み聞かせてる最中に何度も転びそうだったのは言うまでも無いよな?
「アンタが話題振るからいけないのよ?」
「この期に及んで…俺のせいかよ……」
背中に圧し掛かる重量のせいで、うまく毒を吐き返せない。
事の始まりは、俺がお伽話の質問をしたからだった。
実は話題はなんでも良かった、リルドナが「ノミノミ♪」「痒イ痒イ♪」と連呼するから、とにかく話題を変えたかった。
ルーヴィックが「剣の不在は教えん」と言ったのも、少し気になってたこともある。
「お前が運んでくれてもいいんだぞ。」
「やーよ、アンタ何も獲ってないんだから、それくらいしなさい」
獲ったけど、リウェンが逃がしたんだ!と言いそうになるが、踏みとどまる。
言えば、彼女を責めることになるしな、同様にルーヴィックも獲物ゼロのはそういう理由。
ヤツは籠を手を森に自生していた山菜を運んでいる、意外にもリウェンが採ったモノだ。
もう片方の手で、先程のリルドナの長い弓を持っている。
「リウェンも頑張ったんだな」
「はい、こういうの見つけるの得意なんですよ」
向けられた賞賛に顔に笑みを浮かべる。
日頃の失態を希薄させる、プラス評価だった。
「それはそれで、大したモンだな~」
「そりゃそうよ、この子には『サボリなし』と『高速採取』付いてるからね~」
「姉さん、わたしはネコじゃありません」
代わって貰える気配はまるで感じられず、諦めて脚にもう一度力を込め直す。
早く戻って汗を拭かないと風邪を引きそうだ。
真っ赤に染まる森に一陣の風が吹きぬける。
日はもうその役目を終えようとしていた。




