3-5 彼女は一六歳?
西側に面した部屋に移動する。
リルドナが居た部屋と反対側の部屋だ。
日は傾き西日が差し込んでいる。
カーテンなんて気の利いた物は無いので、やけに眩しい。
射光と横向きにヤツは腰掛ていた。
「一体何だったんだ?」
「あれが素のリウェさ」
「あの子供っぽい喋り方が本来のリウェンってことか?」
「もう、俺の前でも見せなくなっていたが」
応えながらも、手早くテーブルにチェス盤を広げていく。
俺も向かい座り、準備に取り掛かる。
結局のところ俺もチェスが好きなようだ。
「お前、リウェいくつに見える?」
「何?」
唐突な質問に駒を並べる手が止まる。
ヤツの表情は読み取れない。
「十五、六歳くらいかな、十代半ばって感じだった、」
「うむ、肉体年齢はそんなところだ」
「ついでに言うと、お前は二十代半ばだ」
「そっちはどうでもいいさ」
おかしな受け答えだった。
いくつだ?
肉体年齢だ?
おかしくないか?
「頭の中は十…いや十二歳くらいか」
「十歳ってことはないだろう?」
リウェンを思い浮かべる。
丁寧な言葉遣い、
優雅な立ち振る舞い、
上品な仕種。
とてもじゃないが、子供に出来るようなものじゃない。
十六歳と見積もってもやはりお釣りが来る。
「あいつは頭がいいからな、
そう見える様に色々学んだし、そう演じるように努力したんだ」
「勉強や努力で出来るもんなのか?」
西日を浴びる顔に苦笑いを浮かべながら応えてきた。
「お前にそう見えたんなら、見事成功しているということだろう?」
「うーん、そうだな」
「つまりそう言う事だ、
本人の希望だ、そこは触れないでやってくれるか」
「俺はどうしたらいいんだ?」
「先程のは見なかった事してやってくれ」
「構わないさ、そもそもなんでそんなコトする必要あるかは気になるけどな」
「仮にあいつが、五百と十六歳だったとしたらどうする?」
「はぁ?」
「冗談だ、これ以上の追求を止めてくれると嬉しい限りだ」
絶対、まだ何か隠してるな。
「ちなみにだ。」
ヤツの陣地には黒の駒、
俺の陣地には白の駒が並び終える。
「俺も、素のリウェを見るのは久しぶりだ」
そういうヤツの顔はどこか嬉しそうだった。
「とりあえず、始めるぞ。
まずは昼間の目隠し対局のおさらいだ」
なんだ結局やるのかよ。
お陰で不安を塗り潰せそうだった。




