第11話 赤ずきん 森の狩人
夜、片付けの手を止めて、僕はぼんやりと本棚の中を眺めていた。
中には、色々な童話の本が、普通に並んでいる。並び方に規則性があるようにも、ないようにも見える。不思議なのは、月に一度のあの夜になると、タイトルが見えなくなる本と、逆にはっきり見えるようになる本があることだった。何度観察しても、そのルールだけはさっぱりわからない。
わかっているのは、月に一度、扉が開くこと。そして、その本の中から誰かが召喚されてくること。うらちゃんも、カグヤも、それぞれに何かしらの問題やトラブルを抱えていた。最初にあの一文で伝えられた「手助けになる」という言葉が、今のところ、なんとなく形を成しつつある気がしていた。
(まあ、考えてもわからないもんは、わからないか)
僕は結論を先延ばしにすることに慣れつつあった。とりあえず今日も、近くにあった一冊を手に取り、枕元に置いて眠ることにする。
次に目を覚ましたのは、チャイムの音だった。
時計を見ると、まだ朝も早い時間だ。この町でこんな時間に訪ねてくる相手には、もう驚かなくなっている自分がいた。寝ぼけ眼のまま、階段を下り、玄関の戸を開ける。
そこに立っていたのは、八歳くらいだろうか、赤い頭巾を目深にかぶった、小さな女の子だった。
朝の光の中、こちらをじっと見上げてくる瞳は、その幼さに似合わず、ひどく冷たかった。




