第三章 非公開記録
旧新聞部室に戻った時、空はまた雨の色をしていた。
まだ降ってはいない。
けれど、窓の外には低い雲が垂れ込め、校庭の砂は湿気を吸って黒ずんでいる。放課後の新校舎からは部活動の声が聞こえていた。体育館のボールが床を跳ねる音。吹奏楽部の音階練習。誰かが友人を呼ぶ声。
名前を呼ぶ声。
そのたびに、真昼の胸の奥で小さな棘が動いた。
雨宮紗良。
望月莉子。
御影レイ。
白瀬真昼。
真木彼方。
K-117。
零番線。
名前と番号と場所が、頭の中で順番に並ばない。
並べようとすると、濡れた切符のように滑る。
真昼は旧新聞部室の扉を閉め、鍵をかけた。
普段なら鍵などかけない。
旧新聞部室に盗まれて困るものは多いが、誰かが盗もうと思うようなものは少ない。壊れかけのプリンター、古い切り抜き、剥がれかけた都市伝説マップ、真昼が貼った付箋だらけのホワイトボード。どれも、価値があるようで、世間的にはほとんどない。
だが今日は違った。
鞄の中には、雨宮紗良の部屋で撮った切符の写真がある。
机の上には、相談メールの印刷。
ノートには、名前を捨てたいとまでは言わなかったが、名前を持っているほうがつらいと語った少女の言葉が残っている。
それは、誰かが勝手に見ていい記録ではなかった。
御影レイは、部屋の隅にある古い椅子を引き出して座った。
椅子は軋んだ。
いつもなら真昼が文句を言うところだが、今日は何も言わなかった。
レイはそれに気づいたのか、机の上にコンビニ袋を置く。
「食べる?」
「何?」
「おにぎり」
「差し入れ二回目?」
「昼、あんまり食べてなかった」
「見られていた」
「見てた」
「御影くん、最近ちょっと保護者目線が強い」
「霧生さんから業務委託された」
「嫌な業務委託」
「本人も嫌そうだった」
真昼は少しだけ笑った。
笑うと、胸の奥の重さがほんの少し動いた。
でも、消えはしない。
机の上にノートパソコンを置く。
電源を入れる。
起動音が、いつもより大きく聞こえた。
画面が明るくなるまでの数秒が、妙に長い。
《アガルタ観測録》の管理画面には、天沢灯里の記事がまだ表示されていた。
アクセス数はさらに増えている。
コメントも増えている。
新着通知が赤く光っている。
真昼は、一度だけその通知へカーソルを合わせた。
指が止まる。
開けば、また何かがある。
天沢灯里を知る誰かの言葉かもしれない。
批判かもしれない。
零番線に関する新しい投稿かもしれない。
すぐに読みたい。
でも、今読むべきなのはそれではない。
真昼は通知を閉じた。
レイが、少しだけ目を上げる。
「見ないの?」
「今は」
「珍しい」
「今日だけで何回珍しいって言われたかな」
「記録する?」
「しない」
「成長」
「茶化してる?」
「半分」
「もう半分は?」
「少し安心してる」
真昼は返事に詰まった。
レイのそういう言い方には、まだ慣れない。
無表情で、静かで、けれど妙にまっすぐなことを言う。
真昼は、照れを隠すようにノートを開いた。
ページの上部に、すでに書いてある。
零番線/未公開記録
その下には、箇条書きで情報が並んでいる。
匿名コメント。
零番線では、名前を捨てられる。
相談者:望月莉子。
対象者:雨宮紗良。
症状:署名不能。プロフィール名消失。学生証名欄の薄化。
本人発言:名前が消えたら、楽になった。
本人発言:今は、持っているほうがつらい。
部屋内の無名切符複数枚。
切符裏面にK-117の文字。
夢の中で「先生」という声。
真昼はペンを握った。
書いた文字を見ているだけで、胸が痛くなる。
名前が消えたら、楽になった。
その一文は、今まで真昼が書いてきたどんな記録よりも扱いが難しかった。
古河千景は、自分のメモ帳に何度も名前を書いていた。
天沢灯里は、自分の署名を残していた。
エミー・グレイス・ハーパーは、レイの中から個人名として戻ってきた。
名前は救いだった。
そう思えた。
少なくとも、そう信じることができた。
けれど雨宮紗良は違う。
彼女は、名前が消えた時に安心した。
真昼は、その事実を無理にねじ曲げられない。
「記事にしたい?」
レイが聞いた。
真昼はすぐに答えなかった。
ノートの文字を見つめる。
零番線。
無名切符。
名前を書けなくなる少女。
旧地下鉄へ向かうかもしれない危険。
記事にすれば、情報提供が集まるかもしれない。
同じ切符を見た人が連絡してくるかもしれない。
失踪を防げるかもしれない。
同時に、名前を捨てたい誰かに「行き先」を教えてしまうかもしれない。
零番線という言葉を広めてしまうかもしれない。
真昼は、ゆっくり息を吐いた。
「したい」
正直に言った。
「今すぐ?」
「うん」
レイは何も言わない。
真昼は続ける。
「だって、危ない。雨宮さんだけじゃないかもしれない。切符が増えてる。零番線って言葉を知ってる誰かがコメントしてる。K-117まで出てきた。放っておいたら、また誰かが下へ行くかもしれない」
「うん」
「記事にすれば、同じ切符を持ってる人が気づくかもしれない。相談してくれるかもしれない。莉子さんみたいに、誰かを止めようとしてくれる人がいるかもしれない」
「うん」
「でも」
真昼は、ノートの一文を指で押さえた。
名前が消えたら、楽になった。
「この記事を読んで、零番線に行きたいって思う人もいるかもしれない」
「うん」
「名前を捨てたい人にとって、これは警告じゃなくて案内になるかもしれない」
「うん」
「それが怖い」
真昼は、ようやくレイを見た。
「名前を消したがってる人の名前を、私が勝手に残していいのかな」
その問いは、旧新聞部室の中で静かに落ちた。
窓の外で、まだ降っていない雨の匂いがする。
レイは、すぐには答えなかった。
彼は、真昼のノートを見ている。
雨宮紗良の名前。
K-117。
零番線。
そして、その横に小さく書かれた、真昼自身のメモ。
今は呼ばない。
でも、忘れない。
レイは、しばらくして言った。
「分からないなら、まだ公開しなくていい」
真昼は、その言葉を聞いて、胸の奥が少しだけほどけるのを感じた。
解決ではない。
答えでもない。
でも、今立っていい場所が見えた。
「書かないんじゃなくて?」
「うん」
「記録しないんじゃなくて?」
「うん」
「公開しない」
「今は」
「また今は」
「便利だから」
「便利だから」
二人で同じ言葉を言って、真昼は少しだけ笑った。
レイも、ほんの少しだけ表情を緩めた。
真昼はノートパソコンに新しいフォルダを作った。
公開記事の下書きフォルダではない。
《アガルタ観測録》の管理画面とも切り離した、ローカルの暗号化フォルダ。
ファイル名を打つ。
零番線/未公開記録
スラッシュは使えないので、実際のファイル名は、
零番線_未公開記録
になった。
それが少しだけ間抜けに見えて、真昼は眉をひそめた。
「スラッシュ使えない」
「ファイル名だから」
「雰囲気が落ちる」
「安全性は上がる」
「情緒がない」
「ファイルに情緒はいらない」
「記録にはいる」
「バックアップにはいらない」
レイは淡々と返す。
真昼は少しだけむくれながら、フォルダの中にファイルを作った。
001_匿名コメント_零番線
002_相談メール_望月莉子
003_雨宮紗良_聞き取りメモ
004_無名切符_写真記録
005_K-117記載切符_拡大画像
006_公開保留判断メモ
最後のファイルを作った時、指が止まった。
公開保留判断メモ。
そんなものを、自分が作る日が来るとは思わなかった。
以前なら、下書きファイルを作っていた。
仮タイトルをいくつも並べていた。
零番線の怪。
名前を捨てる切符。
旧地下鉄に現れる無名駅。
そういう言葉が、頭に浮かばないわけではない。
でも、打たない。
真昼は、006のファイルを開いた。
白い文書画面。
そこに、ゆっくり書く。
現時点では公開しない。
理由。
一、対象者本人が名前の消失に安心を感じているため、本人の名前を公開記録として扱うことが危険。
二、零番線という言葉が、名前を捨てたい者への誘引になる可能性。
三、K-117との関連が確認されるまで、観測局・市警への共有を優先。
四、記録は継続。ただし、公開は保留。
五、本人が戻れる場所としての記録を維持する。
真昼は最後に、少し迷ってから一文を追加した。
記録することと、公開することは同じではない。
書いてから、胸が痛くなった。
それは、逃げのようにも見えた。
公開しないことで責任から逃げているのではないか。
自分だけが記録を握ることも、別の暴力ではないのか。
けれど、今の真昼にはそれ以上の答えはない。
レイが画面を見る。
「いいと思う」
「ほんとに?」
「うん」
「甘くない?」
「甘くはない」
「厳しくもない」
「保留」
「便利」
「便利だから」
真昼は、小さく笑いながらファイルを保存した。
*
黒江透子と霧生仁が旧新聞部室に来たのは、それから一時間後だった。
真昼は、最初オンライン通話で済ませるつもりだった。
だが、K-117の文字が出た切符の画像を送った直後、透子から電話が来た。
画像を開いたまま待っていてください。
現物はどこですか。
本人の状態は。
切符は何枚ありましたか。
旧地下鉄入口へ向かう兆候は。
雨宮紗良という名前は、今どの程度記録上に残っていますか。
質問が速すぎて、真昼は途中でペンを落とした。
その五分後、霧生からメッセージが来た。
今から行く。勝手に増やすな。
何を増やすななのか分からなかったが、たぶん事件のことだ。
旧新聞部室の扉が開くと、霧生は開口一番言った。
「お前は本当に事件を拾うのが上手いな」
「褒めてます?」
「褒めてない」
「ですよね」
「拾うなとは言わん。拾ったならすぐ渡せ。自分の机で温めるな」
「温めてません。保全してます」
「言い方を覚えるな」
霧生は、机の上に置かれた印刷資料を見た。
真昼がすでにまとめた資料。
匿名コメント。
相談メール。
聞き取りメモ。
無名切符の写真。
K-117記載切符の拡大。
公開保留判断メモ。
霧生は最後の一枚で手を止めた。
「公開保留判断メモ?」
「はい」
「お前が?」
「はい」
「熱でもあるのか」
「ないです」
レイが横から言う。
「少し成長した」
「御影、お前が言うと妙に重いな」
「本当なので」
「そうか」
霧生は真昼を見た。
目つきは相変わらず鋭い。
だが、いつものようにすぐ怒鳴る雰囲気ではなかった。
「記事にしなかったのは正解だ」
短く言った。
真昼は、少しだけ胸を撫で下ろした。
「まだ、です」
「そうだ。まだ、な」
霧生は椅子に腰を下ろす。
「この件は、通常の行方不明未遂としても危ない。本人が自分で旧地下鉄へ向かう可能性がある。加えて、名前欠落、無名切符、零番線、K-117。役満だな」
「麻雀ですか」
「俺はやらん」
「じゃあ例えが雑です」
「雑でいいんだよ。嫌なものが揃いすぎてるって意味だ」
透子は、すでに資料へ目を通していた。
彼女は霧生ほど言葉を荒くしない。
しかし、顔色はよくなかった。
K-117の画像を、何度も拡大している。
「この筆跡」
透子が言った。
「真木彼方さんのものですか」
真昼が聞くと、透子はすぐには答えなかった。
「断定はできません。ですが、類似しています」
「どの記録と?」
「私が保管していた録音資料に添付されていた、彼方くんの手書きメモです」
透子の声は静かだった。
だが、その静けさが痛い。
真木彼方。
彼女が救えなかった少年。
名前を呼んでほしかった少年。
その痕跡が、雨宮紗良の机の切符に現れた。
「雨宮さんは同魂者ですか」
レイが聞いた。
透子は首を横に振る。
「現時点では、その反応は薄いと見ます。御影さんの報告とも一致します。レイ系アニマの混線ではなく、名前欠落誘導に近い」
「名前欠落誘導」
真昼が繰り返す。
「零番線が呼んでいるということですか」
「仮説です」
透子は言った。
「ですが、危険な仮説です」
霧生が、透子を見た。
「零番線ってのは、観測局の資料にあるのか」
「あります」
その一言で、部屋の空気が変わった。
真昼は思わず前のめりになる。
「あるんですか」
「はい」
「どこに?」
「境界観測局アガルタ支局の旧記録です」
「内容は?」
「詳細は、私の手元にはありません」
「黒江さんでも?」
「私が閲覧できた資料には、名称と一部の索引だけがありました。零番線。無名駅。記録沈殿層。無記性境界物質採取関連。Null-03との関連記録あり」
言葉が増えるたび、真昼の手の中のペンが重くなる。
零番線。
無名駅。
記録沈殿層。
無記性境界物質。
Null-03。
全部、つながっている。
「待ってください」
真昼は、ノートへ書きながら言った。
「無記性境界物質って、黒刃の素材ですよね」
透子は、少しだけ目を細めた。
「その可能性が高いです」
「零番線は、その採取場所?」
「観測局の旧仮説では、そう扱われています。ただし、これも断定ではありません」
「また断定できない」
「できません。関連資料が封鎖されています」
霧生が低く言う。
「封鎖ってのは、観測局の都合か」
「おそらく」
「おそらく?」
透子は、端末を操作しながら答えた。
「零番線関連は、通常の制限記録ではありません。私が在籍していた頃も、ほとんど話題に出ませんでした。Null-03事故に関する資料以上に、閲覧制限が厳しい」
真昼は、胸の奥がざわつくのを感じた。
Null-03事故以上。
真木彼方が観測不能状態へ移行した可能性のある事故。
それ以上に、零番線は封じられている。
「そんな場所に、雨宮さんは引っ張られてるんですか」
「その可能性があります」
真昼は、手の中のペンを握った。
「じゃあ、急いで止めないと」
「はい。ただし、記事ではなく保護で」
透子は、真昼を見た。
「白瀬さん。今回は、あなたの記事が引き金になる可能性があります」
真昼は、息を止めた。
分かっていた。
それでも、透子の口から言われると重い。
「零番線という言葉が広がれば、名前を捨てたい人が自分から近づく可能性があります。雨宮さんのように、名前が傷になっている人にとって、その言葉は警告ではなく救済に見える」
「分かってます」
「だからこそ、公開を保留した判断は適切です」
真昼は、少しだけ目を伏せた。
褒められた気はしなかった。
適切。
その言葉は、冷静で、必要で、少しだけ冷たい。
だが、今はその冷たさが必要だった。
霧生が資料をめくる。
「雨宮紗良の安全確認は?」
「莉子さんが一緒にいます。本人も、少しだけ待つと言いました」
「少しだけ、な」
「はい」
「信用しすぎるな。名前を捨てたい奴は、夜に一人になると動く」
その言葉は、妙に現実的だった。
真昼は頷く。
「本人の家族には?」
「莉子さんが伝えています。ただ、家族との関係が少し複雑で」
「家族が名前で呼ばない件か」
「はい」
霧生は舌打ちした。
「名前を呼ばない家族と、名前を捨てたい本人と、名前を拾いたい友人。そこへ零番線の切符。嫌な事件だ」
レイが静かに言う。
「誰も完全に間違ってない」
部屋が一瞬静かになった。
その通りだった。
莉子は友人を覚えていたい。
紗良は名前から逃げたい。
家族は、もしかすると悪意なく役割名で呼んでいたのかもしれない。
真昼は記録したい。
透子は保護したい。
霧生は現場から生きて連れ戻したい。
誰か一人だけが悪いわけではない。
だから、難しい。
透子の端末が短く鳴った。
彼女は画面を見た。
その瞬間、表情がさらに硬くなる。
霧生が気づく。
「黒江」
「観測局からです」
「早いな」
「照会したためです」
「誰から」
透子は画面をこちらへ向けた。
差出人。
藍沢環。
境界観測局記録保全部。
真昼の胸が冷える。
以前の事件で会った、あの静かな記録保全官。
名前より番号を信用し、C-04の名前を開示しなかった人。
だが、古河千景の名前が戻ったことを、完全には否定しなかった人。
メール本文は短かった。
零番線関連記録は、観測記録保全上の最高制限対象です。
当該名称の公開、拡散、未承認調査を控えてください。
記録保全部による協議が必要です。
添付資料の閲覧権限は、現時点で黒江透子氏に付与されていません。
霧生が、低く笑った。
「ずいぶん親切な脅しだな」
「藍沢さんらしいです」
透子は静かに言った。
真昼は、メールの一文を見つめていた。
当該名称の公開、拡散、未承認調査を控えてください。
つまり、観測局も零番線という言葉が広がることを恐れている。
それが被害を広げるからか。
自分たちの失敗が掘り起こされるからか。
あるいは、その両方か。
「白瀬さん」
透子が言う。
「はい」
「非公開記録の判断は継続してください」
「はい」
「ただし、記録は続けてください」
真昼は顔を上げた。
「続けていいんですか」
「必要です」
「観測局は控えろって」
「公開と未承認調査は控えるべきです。ですが、あなたの記録反応は、この件において重要な手がかりになる可能性が高い」
霧生がすぐに言う。
「黒江。便利に使うなよ」
「使いません。管理します」
「その言い方も嫌なんだよ」
「では、守ります」
透子は言い直した。
霧生は、それ以上言わなかった。
真昼は、ノートを見る。
零番線/未公開記録。
その文字が、さっきより重く見える。
公開しない。
でも、記録する。
それは、半分だけ灯里に似ている。
名前が怖いなら、今日は呼ばない。
でも、名前がない人ではないと記録する。
真昼は、自分のペンを握り直した。
「分かりました」
彼女は言った。
「記事にはしません。まだ。でも、記録します」
レイが、横から静かに言った。
「白瀬真昼」
真昼は、すぐに返す。
「御影レイ」
「戻ってる?」
「戻ってる」
「よし」
霧生が眉をひそめる。
「お前ら、それいつまでやるんだ」
「必要な間」
レイが答えた。
「便利な返事だな」
「便利だから」
真昼とレイが同時に言った。
霧生は、ほんの少しだけ呆れた顔をした。
透子は、画面の藍沢からの通知を見つめている。
最高制限対象。
零番線。
その言葉が、旧新聞部室の空気を深く沈めていく。
窓の外で、ついに雨が降り始めた。
最初の一滴が、ガラスを叩く。
ぽたり。
真昼は、ノートの端に書き足した。
零番線。
公開不可。
記録継続。
その下に、もう一行。
名前を捨てたい人のための記録とは何か。
答えはまだない。
だが、今はその問いを消さない。
真昼はペンを置いた。
雨音が、旧新聞部室を満たしていく。
その音は、地下から聞こえる水音と、少しだけ似ていた。




