カグヤ姫?
さて。どうしてこうなったんだろうか。
日向は心のなかで思った。
どうして自分はこんなところにいるのか。
.........なんで目の前で、あの女の子が座っているのか..
時は30分前にさかのぼる。
ふと、日向が目を覚ますと、見知らぬ場所にいた。
目線の先には木の天井。視線だけ動かして辺りを見回して見ると、ここが畳の上であることがわかった。それに今、日向は布団に寝かされていると言うことも---。
「なんだとっ!?」
日向はがばっと起き上がった。
改めて辺りを見回す。
畳の部屋。いくつかの障子。1つだけの窓。回りにほとんど家具などは備わっていない。
のわりに結構広い。
「...........」
日向は頑張って状況を整理しようとした。が、整理どころか何も理解できない。まず最初に......。
「ここはどこだぁぁぁ!!」
「騒がしい。それが目が覚めて一番始めに言うことか?」
その声にはっとした。
日向の後ろのほうから聞こえた気がした。日向が自分の背後を見ようとした瞬間、障子が勢いよく開け放たれた。
そして----。
「ま、元気そうでなによりか」
イタズラっぽい笑みを浮かべた、女の子が立っていた。
「......って、君...」
「ふむ。記憶ははっきりしておるな。ここがどこかわかるかの?」
「イエ、全く......」
日向がため息混じりにいうと、突然女の子はスタスタと日向の前まで歩いてくる。そして、日向の目の前まで来た瞬間、ストンとその場に座る。
日向の目の前に。
「..........え」
「うーん...どうにもわからん。そなた...何物だ?」
女の子が向けてくるのは相変わらずの視線。だが、前とは明らかに違う。
そこにはすでに敵意はなく、ただ純粋な疑問の目を向けていた。
「そなた、本当にここがわからぬのか?わらわのことも知らんのか?自分が誰かわかるかの?」
「え、ちょ...」
「わらわの問いに答えよ。そなたは何物で、どこから来た。一体何の目的だ」
女の子の視線に鋭さが含まれ、思わず日向は腰ひとつ後退りした。が、すぐにその間は詰められる。
「言え!!そなたは何物だ!!」
最後の強い一言が、逆に日向の背を押した。
日向は、腰ひとつ下がった分開いた自分の前の空間に両手をついた。
思わぬ行動に女の子がたじろくが気にしない。
「そんなに知りたいならこの際はっきり言う!だが......そう簡単に信じられる内容ではないと思う。それでもいいのか?」
日向の言葉に、なぜか一瞬女の子が驚いた気がした。だが、日向が新たな言葉を紡ぐ前に、女の子はにっと笑った。
「いいだろう。話してみるがよい」
日向は女の子の目を見て、ここまでの経緯をはっきり告げた。
----10分後。
「あはははははははははっ!!!」
なぜか爆笑されていた。
「全く持って突飛な話だ!そなたがここの時代の人間ではないとな!そんなことを言われるとは思うてなかったぞ...っ!」
.........自分が話せっていったくせに、それはひどくないだろうか。
日向がむっとした顔をしているのがわかったのか、女の子はひとしきり笑ったあとで、改めて日向と相対した。
「あーあ。悪かったな。別になはから信じていないわけではないのだぞ?ただな...あまりに唐突すぎて...っ!」
「......結局笑ってやがる」
日向はとうとうそっぽを向いた。
しかし、すぐに女の子は立ち上がり、そっぽを向いた日向の前に座る。
今度はずいっと顔を近づけた。
「な、なんだよ...」
「...そなた、本当にこの時代の人間ではないのだな?その...たむりっぷ?」
「タイムスリップ」
「と、やらをしてこの平安町の町へ来たと言うのだな?」
「......俺だって、信じたいわけじゃねぇんだからな。悪い夢ならどれだけいいか...」
日向はくしゃっと自分の頭を抱えた。
夢ならいいのに...。全部、夢なら----。
「ふむ。よいだろう。信じてやろうではないか」
「......いいよ、別に。無理して信じなくても」
「何を言う。本当に信じておるのだぞ?現に、わらわにも確証があるからな」
「なんだよ、お前の確証って」
日向が聞くと、女の子はにっと笑った。
「何。簡単なことだ。そなたはわらわを見ても、動揺1つしない。ただそれが普通ではないが故の、確証」
「意味がわからねぇ......」
日向が眉を寄せると、女の子はなぜか立ち上がり、仁王立った。そして、これでもかと言わんばかりに胸を張って言った。
「わらわの名は夏九家御影!正真正銘、あのかぐや姫の血族者なんだ!!」




