第26話:強制終了と証明
――死の瞬間さえ、私の論理は許容しない。
カチ…カチ……。
どこかで聞こえる、時計の針の音。
最も早く、最も確実で、最も単純な最適解。
――原因を、消去する。
(……怖い)
(非力な私が、届くはずがない)
「……無理よ、そんなこと……」
弱気な私の素直な本音。
けれど――。
(積み上げた試行錯誤も)
(諦めなかった時間も)
(――私という“個”を信じてくれた人たちの思いも)
(全てを、捨てるの?)
――プツリ。
スイッチの音と、
湧き上がる――激情。
恐怖が、怒りに塗り潰される。
「……そんなの、認められませんわ」
ゆらり、崩れる身体に力を入れる。
「それに――これまでの火薬代も、国家予算も……」
ぎりッ、奥歯を噛み締める。
「――全部、無駄になりますもの……!!」
ゆっくりと、顔を上げる。
『……そう、それでいい』
『貴女の答えを――回しなさい、エヴリン』
共鳴の声は、命令ではなく。
血に刻まれし、継承された“癖”。
「これは、背負わされたものではありません」
「――私が、選んだものですわ」
掌の中で、魔力が唸る。
握りしめたのは、臨界を超えた魔力で暴走寸前の――
『予算確保』。
ギュィイイイイイイイ――ッ!!
「計算? 最適化?」
「そんなもの――後から合わせれば、よろしくてよ!!」
(リトニアの業)
(誇りと、ロマンと、技術)
(それを――)
「私は、“使う”と決めたのですわ!!」
一歩、踏み込み――そして駆け出す。
「――予算は有限!」
「だからこそ――」
――世界が、止まる。
「この一撃に、迷う時間などありませんわッ!!」
――ギュィィイイイイイイッ!!!!!!
火花が散り、魔力が爆ぜた。
私のドリルが、ゴーレムの剥き出しの自爆装置を貫く。
――ドォォォォォォォォォンッ!!!
純白の閃光が、広間を塗り潰す。
これは破壊ではなく、強制終了。
リトニアの“意思”。そしてーー。
「これが、私の選んだ答え。……私の証明ですわ」
――……カチリ。
歯車の音が、鳴った。
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