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フィンとユラと文字

ブクマ登録50超え、ありがとうございます!!

「何かいうことは?」

私はフィンに問いかけた。

「すいませんでした。もう、しません…。」



何をしているかというと、フィンを土下座させている。一見、いじめているみたいに見えるだろう。

でも、全然違う!!

問いただしたところ、フィンが私の素を知ったのは2年前だし、ユラに言ったのも2年前だったらしい。

それを、今まで黙って見ていたのだという。

私が演技しているのにも気づいていたというわけだ。

腹立つでしょう!?

フィンには最近バレたと思ってたのに!!

私が怒りを露わにしていると、

「お嬢様、そこらへんにしといてあげてください。この馬鹿…いえ、フィンは確かに私に言いましたが、他の誰にも言ってません。話していい人とダメな人の違いは弁えております。」

側に立っていたユラが間に入った。

確かに、他の人にバレている様子はない。

だから、そこまで大きな問題はない。

でも、

「どうして、私の素を知った時に言ってくれなかったの?」

私が一番疑問に思った事を問いかけると、

フィンはしばらく黙っていたが、

「俺とお嬢様はあんまり接点もなかったですし、何よりお嬢様が隠している事をわざわざ聞き出すのもどうかと思ったので。」

気まずそうにフィンは答えた。

私は、何が何でも隠したかったし、2年前にバレているのを知ったらちょっと、いやかなりテンパっていたかもしれない。

余裕なかったし。

フィンも私の事を考えた上で黙ってくれていたのかなと思い、

「じゃあ、もういい。とりあえず、他の人には絶対に言わないでよね!!」

念を押すように捲し立てた。

すると、

「はい。」

安心したような笑顔でフィンは答え、立ち上がった。

これからは何か頼む時にこれで脅そう。

そう思っている私にも気づかずに。



「そういえば、さっき俺のこと馬鹿って言ってなかったか?」

思い出したように、フィンがユラに聞いた。

その質問に、

「何を言ってるの?身に覚えがないわ。」

澄ました顔でユラはフィンから目を逸らした。

そんなユラに、

「絶対言ったな。だが、俺は馬鹿じゃない!」

フィンは怒ったように言った。

「何を言ってるの?すぐに墓穴掘るところとか、馬鹿としか言いようがないじゃない。」

呆れた表情でユラは肩を竦めた。

「なっ、何だとー!」

言い合いを始めたフィンとユラを私はしばらく呆然と眺めていた。

絶対、私がいる事忘れてるよね。一応、2人を呼び出したのは私だし、この部屋は私の部屋なんだけどなー。でも、なんか仲良さそうで羨ましい。

そう思いながらも何となく、

「2人って仲良いよね。付き合ってる?」

と聞いた。

その瞬間、2人はビクッとして言い争いをやめた。

顔が少し赤くなっているように見える。



えっ?マジで?

本気で付き合ってんの?この2人。

本気で聞いたわけでもないのに、何これ?

まさかの展開すぎるわ。

でも…。

これから、この内容で2人をからかえる!!

私が顔をニヤリとさせていると、

「何で分かったんですか?」

フィンは照れた様子で聞いてきた。

照れてるフィンなんてレアすぎるわ。

新鮮に思いながらも、

「いや、ただ単にカマかけただけ。」

正直に答えると、

フィンとユラはキョトンとして

「何なんだ。このお嬢様は。ひどすぎる。」

「本当に、普通じゃないわ。」

2人して嘆き始めた。

えっ、もしかして私、ディスられてる?



「オホン。まあ、フィンへの追撃は終わった事ですし、文字の勉強を始めましょうか。」

ユラがわざとらしく咳払いをして、話を変えた。

そうだった。今日から、ユラに文字を教えてもらうんだった。

学園で文字読めなかったら、論外だもんね。

今のうちに読めるようになっとかないと。

そして、

「では、お嬢様。これで俺は失礼しますね。」

フィンは仕事に戻っていった。

仕事だったのに、呼び出して悪かったな。

一瞬そう思ったけど、すぐに打ち消して、

いや、秘密をばらしたフィンが悪いんだよね!

と思った。うん、自業自得だ。



「では、お嬢様。これがまず文字です。」

そう言ってユラは私に本を差し出した。

どれどれ。この国の文字は一体どんなのだろうと思って、本を開けた。

そこには…。



英語が書いてあった。

本当にそのまま、普通の英語だった。

そういえば、レイスさんの店の看板も英語だった。

他のことに気がいってて全然、気付かなかった!!

私って馬鹿なのかもしれない。普通気づくよね。

というか、言語は日本語で文字は英語って…。

この乙女ゲーム、細かい設定雑すぎない?

1人でころころと表情を変えていると、

「お嬢様。お嬢様ならすぐに覚えられますよ。」

難しくて私が不安になっていると思ったのか、

ユラは私に励ましの言葉をかけてくれた。

そんなユラに、私は少し気まずいと思いながらも、

「ユラ、申し訳ないんだけど…。私、文字読めたわ。普通に。」

と言った。

その言葉にユラは一瞬固まり、

「えっ?読めるんですか?」

と問いかけてきた。

だって私、前世でかなりの金持ちだったから英才教育受けてたんだよね。

だから、英語の読み書きは完璧。ちなみに、フランス語やドイツ語もいける。 

ただ…。

どうやって説明したらいいの!?

前世の話とか出してもおかしい子って思われるだけだし!

「いや、街で看板とか見てたから!!これが文字って事を知らなかったというか…!」

自分でもかなり苦しいと思う言い訳をすると、

「大丈夫です。お嬢様の規格外には慣れてますから!」

ユラは完全に思考を放棄して、元気よく答えた。

それにしても、慣れてるって…。

とにかく、納得?はしてくれたみたいでよかった。

「ところで、ここって図書室みたいなところはある?」

文字の問題が解決したところで、次の問題はこの世界の歴史だ。

数学は前世にもあったけど、歴史はまず国が違うから、全く違うだろう。

15才になったら、学園に通うけど騎士団にも通いたい。ぶっちゃけ、テストとヒロインのイベント以外は学園を休もうと思ってる。

だから、学園で習うことは終わらせておきたいのだ。

そう思って尋ねると、

「確か、この別館にもありますよ。難しすぎて使われなくなった歴史書とかが地下室に眠ってるはずです。」

ユラは思い出したように言った。

この別館にもあると聞いて、少しびっくりした。

本館まで行かないといけないと思ってたから、ちょっと楽になって嬉しい。



でも、地下室ってことは…。

「まあ、とても使える部屋じゃないと思いますけどね。汚すぎて。」

ユラはそう付け足した。

そうだよね。

まずは、掃除からか…。

セリスお得意の掃除です笑笑

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