表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/78

書物

更新遅くなりましてすみません!!

ユラに案内してもらい、私達は地下室へと入っていった。

案の定、地下室はほこりだらけでとても使えそうにない。

私達は口に布を巻いてたけど、それでも埃っぽくて敵わなかった。

「お、お嬢様…。」

ユラが不安そうにこちらを見てきた。

そうだよね。やるべき事は一つだよね。

「うん。掃除しよっか…。」



3時間後

「どう!?めっちゃ綺麗よね!!」

極度の疲れにより、肩で息をしながらも、声を張り上げてそう言うと、

「はい!すごく綺麗になりました!!」

負けじとユラも大きな声で言った。

こびりついた汚れを取るのには流石に時間がかかり、2人がかりでも3時間ぐらい時間がかかってしまった。

ようやく、これで本が読めるわ…。

そう思いながらも、体は疲労でいっぱいだった。



「でも、こんなに素敵な部屋になるとは思いもしませんでした。」

ひと段落付き、一緒に座り込んでいるとユラがポツリともらした。

そう。

最初にこの部屋を見た時は使えるのかも微妙だったけど、今ではとても品のよいお洒落な部屋と化していた。

「本当よね。まさか、こんなお洒落な部屋になるとは思ってもなかったもの。」

私もそうもらすと、

ユラはにっこり笑って、

「これで、お嬢様も好きなだけ本が読めますね。」

と言った。

その笑顔に一瞬固まる。

あー。やっぱり、ユラの笑顔尊い。可愛い。

いつもはキリッとしててかっこいい感じだけど、時々見せるこの笑顔がたまらないんだよね。

可愛すぎる。

そんな事を思っていると、

「はっ!」

ユラが腕時計を見て声を上げた。

「申し訳ありません!お嬢様。仕事に戻らねばならない時間になりました。」

ユラはかなり忙しい人なのだ。侯爵夫人の浪費のせいで使用人の数が減ったせいだ。

そのせいでユラも私のメイドじゃなくなったしね。

ユラは有能だから、色々と仕事を掛け持っているらしい。

「全然いいわ!むしろごめんね。面倒なことに付き合わせちゃったし。」

申し訳なく思い、ユラにそう言うと、

「いいえ。全然、大丈夫です。また、ご用があればなんでも言ってください!」

ユラは優しい言葉を私にかけてくれた。

「フィンではなく私に!」

という言葉と共に。



ユラが仕事に戻り、私は1人で本を読み始めた。

まずは、この国の歴史、地理、政治、貴族、そして聖女について。

この国は約1000年前から続き、世界でも1、2を争うほどの発展国らしい。

地域的には、夏は涼しくて過ごしやすいが、冬は極寒となる。

政治は王が行い、貴族がそれの補佐。

貴族は上から、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵がある。

うちは侯爵家だから、結構高位。まあ、私の立場は結構微妙だけど。

ゲームにはちゃんと書かれていなかったことがたくさんあり、やはりここは現実なのだと実感する。

そして、聖女。

最初の聖女が、この国を造ったとされている。それからも5人、聖女が誕生しているけど、共通しているのは額にある薔薇のあざ。

神が聖女と認めれば、出てくると言われている。

まあ、そこらへんは伝説だからよく分からない。

ゲームでも詳しく書かれていなかったし。

ヒロイン、もといミリアナは攻略対象への恋心に気づいた時にあざが現れ始めていた。

でも、思う。

聖女って何らかのすごいこと行ったから、なれるもんじゃないの?

ヒロイン、何もしてないじゃん。と。

まあ、可愛いし、攻略対象の癒しにはなってたと思うけど。

神様の考えることはよく分からない。

でも、攻略失敗すれば聖女のあざは消えてなくなってたし、この事と何らかの関係はあるのかもしれない。

ただ、これまでの聖女との共通点のもう一つは…

全員、王族か高位貴族と結婚してるって事!!

例え、元の身分が平民であってもだ。

それだけ、聖女というのは尊いものらしい。



これだけの情報を読み取るのに午後の時間をかけてしまい、読み終わった頃にはすっかり夜になっていた。

「マジか…。もう、こんな時間。」

50冊ほど読んだから、仕方がないか。

もう、この部屋を使う事ってあんまないだろうな。

読みたい本もう読んじゃったし。

せっかく掃除したのにもったいない。

そう思いながら、本を片付けて部屋へと戻った。

これから.かなり活用することになるとも知らずに…。



翌日

「セリス、ちょっと来い。」

いつもの稽古が終わると、

「はい。何ですか?」

師匠に奥の方へと呼ばれた。

奥に入るの初めてだなと思いながらも、入っていくと、

すごい分厚そうな本を10冊ほど手渡された。

「えっ、あっ、重っ!!」

急に渡され、体制を崩しそうになったが、鍛えた甲斐あり、踏みとどまった。

そして、戸惑いながら、

「これは何ですか?」

と聞くと、

師匠はそれに答えず、

「いいか、セリス。お前は賢いし、物覚えもいい。だが、男と戦ったとして力勝負になれば負ける。」

真剣にそう言った。

思わず、下を向いてしまった。

分かっている。それくらい。私は女だし、力では敵わない事くらい。

でも、それがこの本と何の関係があるというのだろう。

「だが、お前の動きは速い。今の時点で、一般騎士の平均は軽く超えてる。だから、それを使うんだ。

人間の弱点、急所を覚えろ。」

師匠のその言葉でハッと顔を上げた。

「どんなに鍛えたって、力が強くたって、人間の基本機能は変えられない。お前のその速さで、急所をつけば、どんな相手だって勝てる。俺にもな。」

師匠はそう言って笑った。

そうか。だから、師匠はあんなにも動きの速さにこだわっていたのか。

教えてくれることは、体の動かし方、急所つき。

普通の剣の扱い方ももちろん、教えてくれていたが、短剣を使った稽古が多く、スピードに特化していた。

師匠は私がどうすれば強くなれるかを考えてくれていたのだろう。

「師匠…。」

私は少し涙ぐみながら、礼を言おうとすると、

「その本は医学書だ。1週間、いや3日で叩き込め。一言一句間違えずに暗記しろよ。」

師匠は話は終わったとばかりに歩き出した。

その言葉を理解するのに数秒かかった。

はっ?この量を3日で?

「鬼ですか!!?」

あまりの鬼っぷりに師匠の背中にそう投げかけてしまった。

「異論は認めない。」

「し、師匠ー!」

私の感謝の気持ちは一瞬で消え失せたのだった。



帰り道、私は怒っていた。『理解しろ』じゃなく、『暗記しろ』だと!?

鬼以外の何でもないだろうが!!

むしゃくしゃしながら歩いてると、

「セリスちゃん?」

誰かに声をかけられた。我に帰って振り向くと、

アンナさんが立っていた。

「アンナさん!」

久しぶりに会ったから、嬉しさのあまり少し声が高くなってしまった。

「久しぶりだね〜!ちょっと、うちに寄ってかない?」

そんな嬉しい誘いを受け、私はアンナさんについていった。

店に着くと、

「まだ、お母さん仕事してるし、裏から入ろ!」

アンナさんはそう言って裏口の戸を開けた。

そして、上へと上がっていき、アンナさんの部屋に入った。

思いのほか、整理整頓されておりきっちりとした部屋だった。

「意外って思ったでしょ。」

アンナさんがジトッとした目でこちらを見てきたから、

「いやいやいや!そんなことないです!!」

そこは激しく否定しておいた。



「やっぱり、レイスさんって偏屈オヤジじゃん!!」

今日の話をアンナさんにすると、さっきの私みたいにアンナさんは怒り出した。

「ですよね!?」

私は同じ様に思ってくれたことが嬉しくて、思わず同意してしまった。

「っていうか、何なのこの医学書…。子供が読むもんじゃないよ。知らない単語いっぱいあるくない?」

私が持っていた医学書をペラペラめくりながら、アンナさんは呆れた様子で言った。

私は慌てて、医学書を読み始めると専門的な用語はたくさんあったが、知らない単語はなかった。

っていうか、この世界の文字、英語でよかった!!

フランス語とかだったら、専門用語分かんないし!!

私は改めてそう思ったのだった。

「まあ、辞書で調べて読むから大丈夫ですよ。」

そう答えると、

「そうだよね。セリスちゃんなら、こんな本10冊くらい3日で暗記できるよ!!」

急にアンナさんは納得した様に言った。

あまりの変わり様に、

「えっ?何でそんな風に思うんです?」

びっくりして聞き返すと、

「だって、何かと規格外だし!」

アンナさんはビシッとグッドサインをしながら、どこか誇らしげだった。

その様子を見た私はとにかく、頑張ろうと思ったのだった…。



アンナさんの家から出て、屋敷に戻ると本館の方が何かとバタバタしていた。

何かが起こっている様子に見える。

「ああー、なんか荒れそうな予感。」

私は不吉な予感がして、思わずそう呟いた。

まあ、その予感が当たっていることに次の日には気づくのだけれど…。



波乱の香りですね…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ