逃亡癖
逃げられない…
逃げられない…
逃げられない…
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青い空から、逃げたいと思った。
輝く太陽から、逃げたいと思った。
空を行く雲から、逃げたいと思った。
母なる大地から、逃げたいと思った。
世界に広がる海洋から、逃げたいと思った。
僕の人生は逃げることが前提だった。学校、友達、教師、果ては両親兄弟。
僕はその全てから逃げ出した。
今も逃げている真っ最中。最初は軽い気持ちだった。宿題を忘れて、軽い嘘をつくような、友達をからかうために小さな嘘をつくような、そんな感覚。
でも、世の中はそんな僕を排除しようと動き出した。
僕は逃げた。
消される前に、僕と言う存在を証明するために。でも違った。どんなに逃げても、どんなに主張しても、世界は僕を受け入れてはくれなかった。
激しい怒りと後悔が、次から次へと溢れてきて、僕の感情は、宛もなくさ迷う亡霊のよう。
浮かび上がってきた自分という人間の本性は、おぞましく、穢らわしく、はっきり言って見ていられるようなものではなかった。
そうして僕は、自分からも逃げ出した。
果てなき逃亡はしかし、呆気ない巻く引きを迎えた。
自殺したのだ。
嘘をつき、嘘をつかれ、騙され、殺した。
贖罪は、できなかった。
逃げ切れなかったのだ。
とうとう自分さえも、信じられなくなったのだ。
今僕は、この、賽の河原で石を積む。
一体どこへ、逃げれば良いのだろう。




